俺、もう疲れたよ・・・
すみません。更新おくれました。
明日も予定通りに更新します。
「・・・おかしい」
転移から一週間と二日後。
俺は今だに海の上を走っていた。
最小の島を出た時はまだまだ暖かかったが、最近はだいぶ寒くなってきている。
おそらく、それなりに北部まできたのだろう。
だというのに・・・
「・・・今だに陸地が見えないとか・・・どうなってんだよ」
そう、今だに陸地が見えないのだ。
船を超える速度で一週間ちょっと走っているのにである。
そんな事を思いながら走っていると・・・
「おっ。あれは船か?」
俺の進行方向に二艘の船が見えた。
良かった。これで現在地がどこなのかがわかる。
・・・ん?
よくよく見てみたら、海賊船と商船だった。
海賊船に商船が襲われているようだ。
・・・よし。たすけて恩を売って礼金がっぽり稼いで情報をゲットしよう。
俺は走りながら背中のカタストロフを取り出し、そのまま空高く跳躍した。
空中で息を吐いて逆噴射をかけ、スピードを落とす。
そして、海賊船の真上でカタストロフを高く振りかぶって───
ズバキィッ!という凄まじい音と共に一撃で海賊船が沈んだ。
船底が完膚なきまでに破壊され、ゴボゴボと沈んでゆく海賊船。
商船の甲板の上で戦っていた海賊共が皆動きを止め、ポカンとした顔でその様子を見ていた。
そりゃあそうだろう。
なにしろ、絶対に援軍が来るはずもない海上に突如として現れた1人の人間に一撃で自分達の船を破壊されたのだから。
俺は、間抜けな顔をしている海賊共を船の残骸の上でチラ見したあと、商船に飛び移った。
飛び移ってきた俺に海賊共(だいたい30人ぐらい)がハッとして慌てて武器を構える。
だが、遅い。
時すでに遅く、グシャッという何かがひしゃげる音と共に全員まとめてお空にホームランした。
俺は海賊共が全滅したのを確認してから、あたりを見回した。
甲板の上はまさに地獄絵図だった。
木でできた甲板は生き血を吸ってヌメヌメと光り、護衛と思わしき者達のなきがらがそこかしこに落ちていた。
・・・生き残りは居ないのだろうか?
取り合えず甲板から船の内部へと移動し、船長室を探す。
・・・お。あったあった。あの一番奥の部屋か。
「失礼しまーす」
一応挨拶をしてから中に入る。
そこには・・・
船長と思わしき青年が居た。
背丈はだいたい175~180で目鼻立ちはすっきりしていて肩幅は結構あって・・・早い話しがイケメンだ。
・・・爆発すればいいのに。
「おや。もしかして、襲撃者を撃退してくれた方ですかな?」
俺がそんなアホなことを考えていると、いきなり質問をされた。
俺は悟った。
───こいつ、出来る!
「ええ、まあそうです」
俺は助けるべきでは無かったかもしれないなあと思いながら答えた。
「ほお・・・。一体、どうやってきたのですか?ここは海で、絶対に他者の手助けが入ってこないところだった筈です」
・・・うーん。どうやって答えたらいいのか・・・。
ええい。いいや。面倒くさい。話しちゃえ。
「ちょっと水面を走って」
「・・・は?」
目が点になる青年。
そりゃあそうだろう。水面を走ると言うのはまず不可能だからな。
「・・・まあ、いいです。で、あなたがこの船をたすけてくれた理由は何ですか?」
理解不能だったが、嘘を言っている顔つきじゃないから置いておく。彼の表情はそう語っていた。
「んー・・・報酬と情報・・・かな?」
俺が欲しいのは、主に情報の方だ。
「わかりました。報酬は何か一つだけ好きな物をタダで与えましょう」
こ、この野郎・・・。金を払い渋りやがったな?
「次に、情報なのですが、どの様な情報がご所望で?」
もちろん、
「ここからの魔王城への道を教えてくれないか?」
*
西。
ひたすら西に行けば、魔王城につきらしい。
そして、報酬なのだが・・・
「・・・(虚な目)」
「おお。これいいな」
俺が手に入れたのは鑑定ルーペ。
生物、非生物関係なく対象の能力値をみることが出来るルーペである。
かなり値が張る物らしい。ちゃんと素直に金を払わないからだ。ふん。
ま、それはともかく。
これがあればカタストロフの能力値を見るとができる。
俺はルーペでカタストロフを見てみた。
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カタストロフ(鎚)
攻撃力:所持者の攻撃力を二乗したもの
防御力:無し
特殊効果:精神生命体攻撃可能
防御無視
特殊能力:エンドブレイク
効果:自分の時間を代償に相手の存在をHPを無視して破壊する。必要な代償は破壊する相手か強ければ強いほど多くなる。
装備資格:攻撃力が無量大数越え
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滅茶苦茶か!
さすがは伝説の武器。特殊効果もアレだが特殊能力が余りにもチートすぎる。
存在を破壊って・・・魂まで破壊するってことだろ?
でも代償が怖いんだよなあ・・・。
よし。止むを得ない場合以外は使わないことにしよう。
あ、そうそう。攻撃力は何かもう・・・ツッコんじゃいけない気がする。
うん。確認出来て良かった。
俺は機嫌を良くして、商船を出発した。
*
特訓一日目。
「今日はまず、凄い木の棒の能力を説明しましょう!」
ハイエルフの女の人・・・なまえはナターシャというらしい。
その人は今、凄く生き生きしながらボクに説明をしている。
「まずは、仕込み武器機能!コレは所有者の性格や行動から読み取った情報で仕込み武器が形成される能力です。女王様、ここを引っ張ってみて下さい」
示された場所には、よくよく見るとうっすらと線がついている。
「わかった。えいっ!」
ボクが引き抜いたものは───
───ハリセンだった。
「何でにゃああああ!?」