何でボクがこんな目に会うのさ!?(by猫耳様
フィーさんオンリーのお話です
「・・・」
ボクの名前はフィー。
猫精族の生き残りだ。
突然で悪いんだけど、今、ボクは森の祭壇見たいなところにいる。
適合する伝説の武具のあるところに飛ばされたんだけど・・・この武具が問題なんだよね。
だって・・・
ひのきの棒にしかみえないんだもん。
いや、確かに出している雰囲気は一級品・・・もしくはそれ以上だよ?
でも外見が・・・はあ。
強くなって邪神を倒すためって言われても・・・この武器と適合したボクにちょっと恨み言を言いたくなっちゃうんだよね・・・。
まあ、ウジウジしていてもどうにもならないから早く終わらせて帰ろう。
そう思ってボクはそれを手に取った。
《称号『妖精女王』を手に入れました》
《ユニークスキル『危険察知Lv10』を手に入れました》
《ユニークスキル『索敵Lv10』を手に入れました》
《ユニークスキル『行動予測Lv10』を手に入れました》
《ユニークスキル『見下ろす視点』を手に入れました》
《ユニークスキル『魔術効力SアップLv10』を手に入れました》
《ユニークスキル『全禁術魔術適性』を手に入れました》
《ユニークスキル『魔術無詠唱化』を手に入れました》
《一般スキル『ヒーラーLv10』を手に入れました》
《伝説の武具『凄い木の棒』を手に入れました》
《レベルが1まで下がりました》
《特技を全て失いました》
「システムメッセージが無駄に多い気がするよ!?」
あと、手に入れたスキルの量が異常だよ!
しかも何!?凄い木の棒ってどこがどう凄いの!?
・・・まあ、いいや。
「はあ・・・。早く帰ろう」
そう言って、ボクはとぼとぼと歩き出した。
魔王城の場所は・・・多分あっちな気がする。
理由?勘だよ!
それにしても・・・歩くの面倒くさいなあ・・・。はあ。
*
しばらくボクが歩いていると、結界の様なところから出た。
今まで歩いてきた道を振り返ってみると、そこには鬱蒼と茂った木々があるばかりで道がなくなっていた。
・・・何か大切なところだったのかな?
まあ、いいや。
気を取り直してボクがまた歩き出した。
さらに進むと、鎧を着た人がボクに背を向けて立っていた。
多分門番とかだと思う。
って事はやっぱりここって入っちゃいけないんじゃないかな!?
ここはコッソリと通過して・・・
「・・・おい、そこのやつ。何をこそこそとして居るんだアアン?」
速攻で見つかっちゃった☆
「べ、別にコソコソ何て「思いっきりしてんだろ」」
むう。どうすれば・・・
「ったく。フード付きマントを着て顔を隠しているやつのどこが怪しく無いんだよ?」
失礼な。猫耳と猫しっぽを隠しているだけなのに。
「 ・・・ふん。まあ、いい。それよりも貴様。神域になにをしに行っていたんだ?いったところでなにも無いだろうが?」
・・・?何も無い?
「いや、ボクはこれを取ってきただけだから」
そう言ってボクは木の棒を取り出した。
「なっ・・・!?それは・・・凄い木の棒!?」
「そうだよー?適応したんだー」
ふっふっふ。門番さん驚いてる。
でも、このあとの言葉は予想外だったんだ。
「しっ、失礼いたしました!女王さま!」
って言って敬礼したんだもん。
「え?え?え?」
女王さま・・・?
ボクが?お姫様?
「さあさあ女王さま!一族の者たちが待っておりますぞ!!」
そう言ってボクを引っ張って行く門番さん。
「えっ、ちょっ、まっ───」
ボクは強く引っ張られたせいで・・・
「・・・猫・・・精・・・族、だと・・・?」
耳としっぽを門番さん=エルフに見られてしまいました。
*
「くっ・・・!妖精女王が我らがエルフではなく、全滅したはずの猫精族から出ただと・・・!?」
ボクは今、広い会議場の様なところにいた。
門番さんにしょっ引かれたからね。
今ボクの目の前の机で話し合っている五人のエルフが、エルフの民の最高意志決定機関らしいです。
今、この場所で話し合って出てきているボクに対する対処法は主に三つ。
一つは
「この娘は非情に可憐で、愛くるしい。我らの一族にもそろそろ外の血が必要だろう。村の者たちとお見合いさせてはどうだろうか?」
という取り入れる派。
二つ目は
「この娘は外の者だ。エルフの純血を失わせるわけにはいかん。だから、無視してとっととほっぽり出すのが一番じゃ」
という無視派。
3つ目は
「この娘は危険性だ!直ぐにでも始末してしまうべきだ!」
という抹殺上等派。
ボクの意見は勿論聞かれていない。
そもそも今は鎖で厳重に縛られているし。
・・・はあ。
そんなこんなでどんどん白熱していく議論。
そんな彼らを止めたのは・・・
「辞めなさいあなた達。それでも誇り高きエルフなのですか?」
と言って突如乱入してきた女性エルフだった。
目が覚める様な長い銀色の髪。
血のように紅い瞳。
しろい肌。
瞳と同じく紅い色のイヤリング。
つまり───
「───ハイエルフ、だとっ!?」
ハイエルフ。
エルフの上位種族。
基本的に妖精女王の次にエルフに信仰されている種族。
紅い瞳と紅いイヤリング、銀色の髪が特徴。
ちなみに、エルフは金髪碧眼。
「あなた達、妖精女王に対してなんと言う無礼をっ・・・!!すみません、女王様。この者たちが無礼を働きました」
ハイエルフはボクが鎖で厳重に縛られているのを見ると、激昂した。
「いいよ。直ぐに居なくなるから、解いてくれさえすれば」
早く魔王城に行ってフウトに・・・じゃなくて、みんなに会いたいもん。
しかし、それを聞いた彼女は慌てて、
「いえいえ!そんなこと仰らずにいつまでもここに居てください!」
むう。
「でも、仲間のところに早く帰らないといけないから・・・」
あんまりフウト・・・ゲフンゲフン。みんなを待たせるわけには行かないしね。
「・・・では、お言葉ですが女王様はその凄い木の棒をちゃんと扱えるのですか?まだ能力の把握もできていないのでは無いですか?」
「うっ・・・それは、そうだけど・・・」
たしかにそうだ。ボクは凄い木の棒の能力を全く把握できていない。
「そんな状態で旅に出たら、盗賊に捕まって売られるのが関の山ですよ?攻めて、凄い木の棒の能力とあらゆる魔術に関しては覚えてからにして下さい。いいですか?!」
「でも・・・」
「い・い・で・す・か?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
こうして、ボクはエルフの里にしばらく滞在するハメになった。うう・・・。