化け物たち
神の視点が途中入ります。
さて、目的は達したし、帰るとするか。
カタストロフを手に入れた俺は帰ろうとして・・・はたと気づいた。
どうやって帰ればいいんだ?
ワープパネル見たいな物はみたところ存在しないし、ドアも無い。
ここが恐らく地下にあることはかろうじて解るんだが・・・
ふむ。
ここって、壊して良いものかな?
地下にあるなら天井を破壊して、外に出ればいいよな。
カタストロフの威力も調べたかった所だし、ちょっくら壊しますかね。
*
結果から言おう。
ちょっとじゃ済まなかった。
本気で天井殴ったら、爆音がして周囲一帯が吹っ飛んだ。
・・・え?人間とかを巻き込んで居ないのかって?
いやいや、それがなあ・・・
絶海の孤島だからなあ。巻き込んでも何もどもそも生き物が居ない。
だって目の前は真っ青な海だし、なんも生き物いないし。
っていうかどこまで飛ばしてくれやがってんだよあのクソ魔王。
海とか船なきゃ渡れないだろ。
もう一つ言わせてもらうと、どう考えてもここって・・・
ヤバイ物の封印地って感じだよな?
ていうか、絶対カタストロフのせいだよな?
おれが手に入れた称号『破壊神』って絶対に本来なら復活しちゃいけない感じの存在だよな?
でなきゃこんな所に隔離する必要性は無いもんな!
・・・はあ。
「本当、どうするかねえ・・・」
解決方法は三つ。
一つ目。救助を待つ。
二つ目。船を作る。
三つ目。泳いで渡る。
・・・どれもこれも絶望的過ぎる。
一つ目はまず持って人がここが人のくる所なのかどうかわからない。
二つ目はそもそも木が生えて無い。
三つ目は方向がわからない。
・・・やるなら三つ目かな。
ここは結構暖かいから南の方だろうし、太陽の位置と腹の好き具合で方角が解る。
で、魔界は北の方角だからあとは、北に向かってひたすら泳いでゆけばいい。
うん。やろう。直ぐにやろう。
・・・決して、思いっきり泳いで遊んで見たかったからでは、無い。違うったら、違う。
*
「イイイイイイイヤッホオオオオイ!!」
俺は今、大笑いしながら走っていた。
・・・水面の上を。
昔、俺は水面を走って見たいと思って方法論を調べて・・・絶望した。
水面を走る方法。簡単だ。
足が沈む前にもう一歩踏み出せば良い。
それだけだ。
もちろんそんなことは出来るはずもなく、当時の俺は絶望したのだった。
だが、今の俺の驚異的なステータスならば可能だ。
それだけの力が俺には、ある。
何にせよ、泳ぐよりも遥かに速いので助かっている。
これなら、そうかからずに帰れるだろう。
*
甘かった。
俺は今、途中にあった無人等で休んでいる。
幸いここには動植物があるため、船を作れないこともないのだが・・・
いかんせん、走った方が速いため作るのを辞めた。
ただ、次はいつ島に出会えるかわからないので食いだめをしまくった。
二日。
それが、俺の走り続けた時間だ。
その間はねむっていないし、何も食べれていない。
そのため、この島についてからは寝て食ってをしばらくしていた。
そろそろ、この島を出発しようと思う。
・・・早く帰りてえな。
俺は満天の星空を見上げてそう思った。
*
一方その頃。
フウトの後を追ってワープパネルに乗ったリオは・・・
伝説の武具に戸惑っていた。
何故ならば・・・
「・・・私に適合したのが死神の鎌ってどういうことよ・・・」
リオに適合したのが死神だったからである。
・・・なお、この部屋にはちゃんと扉があること以外は基本的にカタストロフの部屋と一緒だ。
「・・・まあ、いいか。強そうだし」
リオはそう呟くと、死神の鎌を手に取った。
とたんに鳴り響くシステムメッセージ。
《称号『死神』を手に入れました》
《ユニークスキル『HP吸着Lv10』を手に入れました》
《ユニークスキル『MP吸着Lv10』を手に入れました》
《ユニークスキル『物理攻撃無効』を手に入れました》
《一般スキル『暗殺者Lv10』を手に入れました》
《レベルが1まで下がりました》
《特技を全て失いました》
こうして、リオは人間から死神になった。
*
私の名前はリオ・アルケイル。
『元』人間の死神よ。
武器のなまえはデスサイス。そのまんまね。
唐突で悪いのだけれども今、私はとても困っているわ。
なぜなら・・・
辺り一面が銀の世界。
そこに私は1人で立ち尽くしているのだから。
私は地下室でデスサイスを手に入れた後、階段を登って魔王城に帰るために外に出たのだけれども・・・
何も、無かった。
辺り一面、静かで美しい・・・死の世界。
あるのは私と雪と雲に覆われた空のみ。
幸い私は人間を辞めたので、何も食べる必要性がない。
だから、魔王城まで歩けばいいだけなのだ。
・・・どれくらいかかるのかな?
*
五日後。
私は、生物が転移以外では入れない領域から脱出しました。
何と、生物が侵入出来ないように結界が張ってあったのです。
どうりで生き物を見かけなかったわけですね。
そうしてしばらく歩いていると・・・
「グルルルル・・・」
狼の魔物の群れに捕まってしまいました。
私はめんどう臭いなあと思いながら、背負っていた(背負うための道具は地下室にセットで置いてありました)デスサイスを取り出しました。
私が取り出したデスサイスの放つ威圧感に狼たちは戸惑いましたが、すぐに飛びかかってきました。
私は飛びかかってきた狼を難なくデスサイスで斬り殺しました。
それを見た他の狼たちは恐れ慄き、方々に散ってゆきました。
取り合えず私は斬り殺した狼を地面に埋めて、また歩き出しました。
私という化け物を襲う生き物がいないことを願いながら。