勇者、家を買う
冬休みも明日で終わりです!新楽器に入っても最低2日に一回は更新して行きたいと思っています!
500万G。
それが今回の魔物の群れ退治の一人一人に支払われた報酬だった。
この金額は、膨大な金額だ。
有効に活用するのがいいだろう。
「・・・というわけで、3人で共同の豪邸を買おうと思う」
「ちょおおおっと待ったあああ!何で私まで!!」
いきなり非難の声を挙げたのは、臨時パーティーメンバーのリオだ。
「だって仲間だし・・・」
「臨時でしょ!?」
「そんなこと無いよ!もう立派な仲間だよ!」
「ああ、その通りだ。すでにリオは俺達のパーティーメンバーに登録してある」
「私なにも聞いてないよ!?」
「「当たり前じゃん?」」
「・・・何でこのパーティー、まともなのがいないかなあ・・・」
リオが肩を落としていた。まあ、いいや。
「それに、どうしてもリオにいてもらう必要がある理由もある」
「・・・すっごくいやな予感がするけど・・・何?」
「俺とフィーは、料理が出来ない!よって、料理が出来る人物が必要不可欠!」
「私はメイドじゃなああああああい!!」
「「ゑ?」」
「素で驚かれている!?」
掃除洗濯料理金勘定ができる人材は欲しい。
そして、リオは全てこなせている。
これほど一緒に居てくれて安心できる人材は珍しいだろう。
「それに、フィーはいいのっ!?フウトと一緒の家で!」
リオがそういうと、フィーは満面の笑みで言った。
「うんっ!みんなと一緒の方が賑やかで楽しいからねっ!」
・・・うん。確かに(悲鳴とかで)にぎやかだろうな、うん。
だが、この言葉に心を動かされたのか、リオは承諾した。
*
俺達は、不動産屋の案内で、王都の東の外れにある屋敷を1100万Gで買った。
決め手は巨大浴場(温泉)と豊富な部屋だ。
家には変わった部屋がいくつかある。
鍛治室。
鍛治ができる部屋だ。
訓練場。
地下にあり、サンドバックやカカシ、ダンベルやランニングロードなどがついている。
プール。
地下にある。かなり広い。
遮音室。
中の音が絶対に外に出ない魔術がかかっている部屋。別名、密談室。
モニター室。
庭の状態を映像表示水晶で把握できる部屋。
まあ、こんなところだ。
特に俺が期待しているのはプールだ。
夏にみんなで入るのは、マジで期待している。
・・・え?今?まだ秋だよ。
俺は、これからやってくる生活にワクワクしていた。
*
そのころ。
魔王は、すごく驚いていた。
「なんだとっ!?魔物の大群をたった三人で一匹残らず倒しただと!?」
「ええ・・・正確には、殆ど一人でたおしたようなものらしいですが・・・」
「凄いじゃないかっ!面白いなっ!ぜひとも会ってみたい!」
アスデモウスは、今まで退屈だったのだ。
やってくる勇者がみんなして弱いのだ。
だからこそ、興味を持った。
自分よりも強いかもしれない存在に。
「な、なりません!相手は勇者です!きっと殺しにきます!」
「その時はその時だ!やっほーーーぅ!!」
魔王は叫ぶと、窓から飛び出して行った。
「ま、魔王様ああああああああ!!」
*
「おお、リオ!似合ってるぞ!」
「うるさい!」
「照れるなって。あと、喋り方な」
「う・・・ご、ご主人様・・・」
リオは現在、メイド服を着用していた。
事の発端は、家具やら何やらの設置の際のフィーのとある報告であった。
それは、
「ねえねえリオ。このフリフリした服なーに?」
といって、リオの洋服入れからゴスロリ服を取り出したものだった。
まあ、ようするに.・・・
リオは、フリルの付いた服を着るのが趣味だったというわけだ。
因みに、リオの反応は薄い本を親に見つかった高校生そのものだった。
曰く、自分には似合わないと思っているが、可愛い服を一回だけと思って身につけた結果、思いのほか楽しかったので、それ以来ストレス発散用にたまに着ているらしい。
因みに、リオにメイド服はお世辞じゃなく似合っている。
陽光に長い金髪が煌めいて、メイド服のモノトーン色に映えている。
もちろん、みんな大好きガーターベルト付きだ。
「じゃあ、これからも宜しく!」
「うう・・・御主人様・・・」
こうして、我が家にメイドが出来た。
*
家財道具が全て揃い、配置も済んだところで事件は起こった。
家に賊が侵入し・・・ようとして、酷い目に合ったのだ。
全身の皮膚が焼けただれ、虚な目をしていた。
原因は、うちの冥土さんことリオ。
なんと、泥棒除けの極悪非道な罠をタップリと仕掛けたらしい。
泥棒の話によると、開いた窓に向かって歩いている途中、強制移動の床に足を踏み入れてしまい、そのまま焼却炉の中をしばらく動かされ続けたようだ。
しかも、他にも草陰に巧妙に隠された毒の沼地や落とし穴IN剣山、スイッチを踏むと飛び出してくるモンスターのフンが先っぽに塗られている竹槍、簡易式の地雷などなど、沢山の罠が仕掛けられているようだ。
因みに、リオは警備用の魔物の卵を買ってきたらしく、大事に育てている。
それらのとてつもなく高い防犯意識は大変良い。大変良いのだが・・・
「・・・さすがにやり過ぎだろ?」
「そうですか?」
「せめて死なないようにしろよ。非道が過ぎる」
「ふふっ。・・・侵入者には、死を」
「や、やめなよ!物騒だよ!」
リオは邪悪な笑みで笑っていた。
・・・若干、病んでいる気がする・・・。
俺は思わず怯えてしまったのだった。
魔王フラグ発生です。