夜顔
ある晩とある屋敷に立ち寄った探偵、夕顔密。
殺人鬼と呼ばれる女、御伽里は彼を追っていた。
姿を隠して御伽里は中の様子を探る。
三日月が昇る夜、薄暗い庭園の中、御伽里は少女の身体が引き裂けるのを見た。
血を流して横たわる少女の前には刃物を持った密の姿が。虚ろな目をして立ち竦んでいた。
密は血のついた刃物を落として立ち竦んだ。
御伽里は動き出す。
これは初めてのことではない。倒れた少女の髪を切り、少女のハンカチを血で濡らし、凶器の刃物を回収する。
密に新品のシャツを手渡し、これに着替えるように囁いた。血のついたシャツは燃やしてしまいなさい。そしてさっさと眠りなさい。
催眠術にかけられたように密はその通り動き出しました。
朝が来て目が覚めたら、あなたはきっと名探偵。
狂った悪夢は繰り返す。止められるならやっている。
彼はきっとまた殺すだろう。朝になれば全てを忘れ、探偵気取りで犯人を生む。
だから彼女は繰り返す。証拠を集め、殺人鬼という名の真紅のドレスを身に纏う。
痛む心も、言えない秘密も、いつ捕まるかなんてそんなスリルも蜜の味。
彼を誰にも渡しはしない。彼女は未だに夢見てる。
鬼ごっこはいつ終わる? 捕まるのは彼か彼女か。
「いつか訪れるその日まで、あなたの罪を盗みましょう。」