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恋愛日常!  作者: 雪鈴空斗
第一章 すべての始まり
9/27

夢の中

あり。

気がついたら、変なところにいた。

色とりどりの花が咲いている、庭園だ。美しい、という言葉がピッタリなくらい、綺麗なところだ。

っていうか、あれ。

なんで私、こんなところにいるんだ?私たしかにベッドに入って寝たよね。明日誰を攻略しようと考えながら…。


あ、そうか、これは夢なのか。

なるほどなるほど、納得だ。

それにしても本当に綺麗なところだなぁ。こんなところが夢にでるなんて、良い夢だなぁ…。


ぼんやりとそう思ってると、足音が聞こえた。なんだか、急いでるみたいだ…。

音の方を向くと、どこかで見たことのある顔だ…。

優しげな顔立ちに、翡翠色の瞳の、中性のヨーロッパ風の服…って、


『ああっ!私が前に転んだときの青年!って、あれ…』


今私、声だしたはずなのに、出なかった。そろどころか、


「どうしたの、そんなに急いで」


別の言葉が私の口から出た。

なにこれ…私の声のはずなのに、私の声じゃないみたいな…。

戸惑う私をよそに、目の前の青年は少し怒ったような様子で口を開く。


「どうしたの、じゃありません!貴女様を探しに来たのですよ!」

「そうなの?なにかあったのレイン」


青年は名前はどうやらレインというらしい。

レイン…はのんびりとした私の言葉を聞くと、毒気を抜かれたように、ハアと大きくため息をついた。


「あのですね、貴女様はいつも騎士をつれていないと駄目な身分なんですよ?刺客がいつ現れるとは限りませんからねっ。分かっているのですか!?」

「あぁ…そのこと。大丈夫よ、私だって戦えないわけないし」

「………」


私がそう答えると、レインは苦い顔をした。

というか、今刺客とかいうすごい物騒な言葉が聞こえた気がするんだけど…。


「あのですね…そういう問題ではないんですよ…」

「えー、でもさすがにお風呂とかまで一緒にいるのはなぁ…」

「おふっ…」


一気に顔を赤くしたレイン。まるでトマトのようだ。…ちょっと可愛いかも…。

ぼんやりとそう思っていると、レインはあのですね、と明らかに怒りを圧し殺しているであろう声音でしゃべる。


「貴女様は本当に…」


そこで言葉を切り、再びため息をつく。

そして、次に声をだした時には疲れはてたようなものに変わっていた。


「まったく…本当に貴女様という人は…」

「あ、でもどうしてもというんだったら、レインについていてもらいたいな」

「……え?」

「お風呂とか、そういうの!」


…私は意味分かって言っているのだろうか…?


「…」


ああっ、ほら変なこと言うから彼固まっているじゃないか!

しかし、私であり私じゃない誰かはクスリと笑った。なぜか、悪戯が成功した子供のような、そんな気分だ。


「なーんて、ね。冗談よレイン」


クスクスと、私の口から笑い声が漏れる。

レインの顔は、みるみると真っ赤になっていく。そして、


「し、シセリア様あぁぁっっーーー!!」


レインの絶叫が響いた。





そこで、夢は終わった。

目を開くと、見慣れた自分の部屋の天井。

時計を見ると、いつも起きている時間帯だった。


「リアルな夢だったなぁ…」


思わずぼんやりと呟いてしまう。

本当にリアルな夢だ。最後は私、シセリア様とか呼ばれていたし。

…変な夢だったな。本当に起こっているのを体験しているような、そんな夢だったな。

……。


「あ、時間…!」


やばい、ボーッとしてたら結構時間経ってた…!

私は慌てて準備をして家を出た。

残念ながら、朝食を食べている時間はない。パンを食べながらいきたいところだが、昔それをやった父がパンにつけたジャムでスーツを汚してしまい、大事な会議にみっともない姿ででてしまい上の人から怒られた、という体験談を聞いていたので、実行することに抵抗がある。

家を出ると、いつも家を出る時間よりも遅くなってしまった。


「間に合うかな…」

「走ればギリギリ間に合うだろう」

「そっか、なら大丈夫かな…って、え!?」


独り言に返事が返ってきたことに驚き、声の方向を見ると、意外な人物がいた。


「風斗!?」


名前を呼ぶと、彼はぶっきらぼうに、おはようと言った。


「あ、おはよう、じゃなくて、どうしたのこんな時間に出るなんて。いつももっと別の時間に出てなかった?」


いつも私が出る時間に会うから、てっきりもう行ってたと思ったんだけど…。

風斗は誤魔化すように目をそらし、少し何かを考える間をおき、それからポツリと言う。(もちろん走りながらだ)


「…宇宙人に連れ去られていた」

「宇宙人!?」


なんかすごいことに巻き込まれてた!?


「それで…ちょっと宇宙救ってて…」

「なんで宇宙人に連れ去られて宇宙救う流れになった!?」

「ええと…『YOUちょっと宇宙救ってくれYO!』って言われて…」

「軽いっ!ノリがすごく軽いっ!」

「それで、ちょっと魔王倒してきました」

「なんかRPGっぽくなりましたが!?」

「で、そっから宇宙船を奪って帰ってきました」

「うん、すごい壮大なことやったきたんだね君!」


なんか幼なじみがすごすぎて怖いです。

とかなんとかやっているうちに、学校に着く。辺りには生徒もまだいて、チャイムがなった様子はまだなさそうだった。

そこで、風斗が視線を私からそらしながら、そして申し訳なさそうに呟く。


「まあ、嘘だけど…」

「まあ分かっていたけどね…」


本当だったら怖いわ。


「…っていうのも、嘘」

「…へ?」

「ちなみに、今のも嘘。というのも、嘘」

「え、ちょ…」


混乱して訳が分からなくなってきた…!

風斗は、そんな私を見てクスリと笑い、


「早く行くぞ、遅刻する」

「…うん」


なんだか、すごく懐かしい気がした。

昔はよくこんな会話してたなぁ…。

その時々で、からかう側とからかわれる側が違っていたけど…。


その時、ふと頭に今朝の夢が浮かぶ。

シセリアと呼ばれていた私と、レインという青年。

なんだか、二人の会話って今の私たちの会話と似ていたような、そんな気がした。






ここで一応第一章は終了です。

次回から、物語は急展開!!するかどうかは分かりませんが、引き続き恋愛日常!を読んでいただければ嬉しいかぎりです。

誤字や脱字などを発見しましたら、ご報告していただけると助かります。大助かりです。

それでは、恋愛日常!を引き続きよろしくお願いいたします!

雪村空斗

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