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とある日の高校・屋上にて。 後


ちなみに、注意書きをつけたのは飯島である。


飯島は、クラスメイトから『被害者』と呼ばれることが多々ある。それはもちろん昼休みに起こる‘おかず戦争’に巻きこまれるからだ。しかし、飯島が運動能力に秀でた幼馴染たちに体術でかなうわけはない。無論、それはクラスメイトにも当てはまるわけで、戦争を止めるものはいない。


そして、今日の昼休みも、







「森谷いいいいいいい!」

「ぎゃああああ! 馬鹿笹沼! 女の子に向かってボディブローかますってどーゆーことよッ!」

「ぶふぅぅっ! てンめ! どこに『女の子』がいるってんだよ、ラリアットしやがって!」


箸をカチカチ、と鳴らして今日の飯島家のおかず――――――しょうが焼きを奪い合いつつもプロレス技を掛け合う二人は、もうすでに常人が入っていったら、マウントとられてタコ殴りにあうほどにメンチをきりあっている。


周りにまとうオーラと憎しみのこもった目線、それからおかずが飯島の元へと戻れば見つめ合っている男女というなんともロマンティックな構図になるのだが、この二人に要求してもできるわけがない。


毎日こうなることがわかっていて飯島がこの屋上に来るのは、なんだかんだいわれつつも、この二人と自分の中には友情があることを知っているからだ。おしめを変えるところだって見てきた自分たちは、やっぱり仲がいいと思うのだ。


「なぁ、飯島」

「わたしのだよね!?」

「……ごめん、聞いてなかった。それからそれは俺のだよ」


お互いの髪の毛を引っ張り合っている幼馴染たちを見ると笑いがこぼれる。二人はきょとんとしてから、にやりと笑った。なんていう悪人ヅラだ。


「飯島の癖して生意気なんだよ」

「このー頭ぐりぐりしてやる。そして弁当取ってやる」

「ごめん、謝るから。せめて白米は、」

「どうするよ、森谷」

「どうしようね、笹沼」


秀でたところを持つ二人が、飯島のそばで笑って焼きそばパンを投げた。飯島が受けとると、森谷が弁当箱を奪って取ったどー、と再び悪人面をした。女の子がそんな顔するのやめなさい。


「そのパンあげるから、飯島の弁当はもらうね」

「意味わかんねぇ! そのパン半額俺が出したじゃねぇか!」

「ここは紅一点の私にささげなさい」

「理不尽!」

「いや、俺が一番理不尽。でもパンもらったからいいや」

「飯島、一生のお願いでもかまわねぇ。半分くれ」

「……やだ」


頭を軽く殴られて、しょうがないから笹沼に半分あげた。彼は後ろから森谷に蹴りをいれられて、また戦争が起こりそうになった。


雲ひとつない空は、真ん中におおきな太陽を浮かべてひたすら蒼く輝いている。


僕らは狭い世界で、小規模な戦争を今日も平和に続ける。




fin.










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