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デブブサメンが生かされてます  作者: 霧野 カナタ


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その9 【ボロ服とパッソルと小悪魔と】

『ププっ!……ブハハハハハハハ!』

「笑い事じゃねぇ!どうすんだよ!」




 風呂に入った後、大変なことに気が付いた。

 オレは服を1着しかもっていない。しかもその一張羅は…


『ごめん、洗ったらね、ちょっとボロボロになっちゃった。』

「ちょっとじゃねぇ!粉々じゃねぇか!」


 このポンコツドエロフが!何をどう洗ったらこうなる!


『着れそうなもの持ってくるから、ちょっと待ってよ。』


 ここまで一緒に旅してきたオレの服よ………アーメン。




 あまり期待はせず待ってはみたが……… 


「これはなんだ?大きめのホットパンツか?

 オレはオマエより育ちが良いんだ!こんなもん入るわけ無いだろが!」


『…ブッ』


「次はなんだ?大きめのダメージシャツってヤツか?

 確かにオマエはデカイものを二つもぶら下げてるさ。

 だが基本は細いだろ?オレが着たら……

 穴から肉がはみ出て、ボンレスハムみたいになるだろが!!」


『……プププッ…』


「で、これか。これは普通丈の…伸びるワンピースか?

 オレが無理やりこれを着たらなぁ!

 ……見ろ!ボディライン丸出しのキモいミニスカオヤジになるだけだろが!!」


『ププっ!……ブハハハハハハハ!』

「笑い事じゃねぇ!どうすんだよ!」

『アハッ!アハハハハハッ!エクスカリバーさんが…チラチラ見えてる……』

「勝手に見るんじゃねぇ!」





『もう、機嫌直してよ。あんなになると思わなかったんだから。』

「で、どうするんだよ。」

『新しい服、買ってあげる。』

「まさか、オレにこの状態で外に出ろって言うのか?」


 先っちょがOBしてんだぞ?こんなんで出られるか!


『プフッ…さすがにそれじゃぁ怒られちゃうと思うから……コレ巻いちゃおう。』




 ということで、オレはタイトでベストフィットな元ワンピースに、カラフルなバスタオルの腰蓑で買い物に出かけることになった。


『プッッ、似合ってるじゃん。』

「てめぇ、ふざけんなよ!」

『でも、わたしってこんなに笑えちゃうんだね。』


 クスクスと笑う姿が可愛く腹立つ……が、なんだよそれ。




 本日のルーシェルはメイド服。

 そんなもん、どこで手に入れてるんだ?なんて突っ込んだら負けだろう。

 ロングスカートで少し暑そうに見えるがそうでもないらしい。


『これを作ってくれた子の所に行ってみようと思うの。』

「オレの服も作ってもらうって事か?」

『普通に売ってるものは、着れそうにないじゃない。』


 そういえば、男は飼育・管理されてるって言ってたな。

 って事は、男の服だってあるんじゃないのか?


『オスが少ないってのもあるけど、こんなに大きなオスって見たことないもん。』


 そう言いながら、オレの腹をタプタプしやがる。


「触っていいのは、触られる覚悟がある奴だけだぞ?」

『ん?嬉しそうにすぐ触りに来るけどダメなんて言わないでしょ?って事は、わたしが触っても問題ないわよね。あっ、でも他の子の前では止めてよ、恥ずかしいから。』

「おまえの羞恥心はどうなってるんだ?まぁ良い、いいことを聞いた。」

『変な事するなら、その辺に捨てちゃうんだから!』


 ?!……ゴメンナサイ……。


『口に出して言いなさいよね…まあいいわ、分かればよろしい。』


 ドヤ顔がムカつくが、この勝負は負けておいてやる。


『それじゃあ、行ってみよう。』


 ルーシェルとオレは、昨日も載ったバイクのような乗り物、パッソルに乗り込む。




 新しい発見があった。

 触れてない状態で目を瞑っていると、オレの思考は漏れていない気がする。

 もう少し試してみるか…。




 次第に自然が薄れ、モダンな建物が現れてきた。

 地平線の向こうまで並ぶ建物群に、懐かしい整いすぎた世界の気配が漂う。

正直、元の世界とあまり遜色ないが、なんだろう、ちょっと寂れちゃってる?

技術的にはこっちの方が高いと思うが・・・、不思議な感じだ。




 進んでいくと、建物の影から、ぽつりぽつりと人影が現れてきた。


 雰囲気は違うが、どの子もルーシェル同様に整った顔立ちをしているが──


『…ごめんね、ちょっとだけ我慢して。』

「なにかあるのか?」


 ルーシェルを見ると、軽く唇を嚙み締めているように見えた。

 周りを見渡してみるが、少し冷たい感じがするだけで特に変わった様子は無い。


 ここにいる子たちは表情が硬いって言えばいいか?どことなく機械っぽく感じる。

 今のオレの姿を見ても、驚いてはいるようだがルーシェルのような反応はない。

 音もなく浮いているあの機械たちは、この街を監視でもしてるのか?


 気になったのは、男がいない。

 これは予想していたことだが、老人や子供たちの姿もないのは予想外だった。

 監視用と思われる機械が徘徊する、整った顔立ちの女性だけの街。


 全てとは言わんが”生きている”というより”生かされている”。

 街はとても奇麗だが、過疎化が始まった都会のような印象だ。


「……みんな静かだな。」


 オレの感想は、それ以上でもそれ以下でもなかった。




 やがて裏路地に入り、しばらく進んだ建物の前でルーシェルはパッソルを止める。


『さぁ、着いたわよ。』


 ホッとした表情を見せつつ、その建物を指さす。




 あのさぁ…この建物を作ったヤツ、頭おかしいだろ。


 そこには、今は亡き某とし〇園の西洋のお化け屋敷のような建物が、大きく口を開けて待ち構えていた。






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