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デブブサメンが生かされてます  作者: 霧野 カナタ


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その5 【無能の楽園】

 いわゆるあれだ、こいつはロリババァって奴だ。


『ロリババァってなに?誉め言葉なの?』

「そうそう、ルーシェルはかわいいって事だよ。」


 少し得意げに頬をふくらませる仕草が妙に子どもっぽくて、逆に怖い。

 この風貌で三百年以上生きてるだと? 1年の周期が早いだけじゃないのか?

 それにこの肌の張り……どう考えても三百年物のアンティークじゃないぞ!


『だからくすぐったいって!危ないから後にして!』

「…はい」


 この無垢な感じが逆に罪悪感を誘う。

 欲望に素直な行動は、たとえ夢の中とはいえ少し控えたほうが良いかもしれん。


『そうなの?それはそれで構わないけど、夢なんかじゃないと思うわ。

 お子ちゃまなのは分かったけど、現実はちゃんと受け入れたほうが良いわよ?』


 ロリババァに年齢マウント取られる屈辱と喜びの共存!ありがとうございます!


『フフフッ。』


 ただ何となく生きていたらいつの間にか年を重ねてしまい、気が付けば大人として振舞わなければならなくなっていただけだ。

 好きでおっさんになったわけではない。

 それなりに経験を積んできたハズだが、見た目小娘のロリババァにお子ちゃま扱いされるとか……


 にしても、300年もこんな生活をしてるのか?


『デウス様たちがまた来るはずだから、それぞれ与えられた叡智を使ってこの世界を持続させなきゃね。』


 デウス――オレたちの世界の神みたいなモノなのだろう。

 それぞれ与えられたって事は、違うことしてるヤツもいるって事なのか?


『そうだよ、叡智を基に建物を建てたり、ヴェラ・ミロンを作ったり、世界をまとめたりしてるの。

 そんな当たり前のことも忘れちゃったのかな?ボクちゃんは。』


 ドヤ顔がメッチャ腹立つ!

 それにヴェラ・ミロンってなんだよ!


『でもサーガはオスだもんね、何も与えられていないか。』


 男=無能って刷り込みはデウスってヤツのせいか!


『元から無能なだけでしょ?』

「うるせぇ!確かにオレは無能だよ!」

『いいじゃん、役に立つならちゃんと飼ってあげるから。』


 そういえば「役に立たないなら捨てる」とか言ってたな……

 こんな所で放り出されても生き抜いていく自信はないし、無能を装って飼われた方が楽できるか?


『十分無能だから装わなくても大丈夫よ。』


 コノヤロウ……。

 ババァのクセに!かわいいから今は許してやる。


「でもさ、与えられた叡智を基にしてるんなら、薬や食べる物の原料なんて作らなくても他に何か選択できたんじゃないか?」

『無理無理!私たちはこれしか貰ってないもん。服は好きだから頑張って覚えたけど、難しいことはできないし。』

「それ、もしかして自作なのか?」

『半分くらいね。旧世紀よりもっと古い別次元で流行ってた服なんだって、かわいいでしょ。』


 旧世紀とか別次元とか、設定がぶっ飛びすぎてて思考が追い付かん!

 それにあれか?このロリバは自ら進んでドエロフシスターになってるって事か!けしからん!!!


「その叡智ってのがあれば、服も簡単に作れるんじゃないのか?」

『知ってるだけじゃ作れないのよ?わかってる?』


 たしかに……技術的なものは経験で身に付けるか、それを補助できる機械に頼るしかないよな。


『今作ってる物もそうよ、他の娘たちより知識は豊富だけど、オートクリスに頼らないと作れないもん。』


 その横顔は、どことなく寂しそうだった。


『そのオートリクスが動かなくなって数が減ってるから、サーガに手伝ってもらおうって魂胆なのよ』


 なんだそのギャルピースは。


 ……ちょっとまて、オレにあの機械の代わりをしろって言ってるのか?


『衣・食・住がタダで手に入るのよ?ありがたく思いなさい。』

「おまえ、このメタボボディのオレに務まると思ってるのか?」

『がんばって結果が出たら、うちのオスとして正規登録してあげるわ。登録料高いんだからね。』

「どう考えても無理だろ!」

『ダメなら捨てちゃうだけよ。この星の肥料にでもなれば?』


 クソッ!反論できん!


『あっ、でも番号ないのよねこの子。そこは誰かと相談が必要かぁ……。』


 どうやらヤツの脳内では話が問題なく進んでいるらしい。




「ところで、もう少し早く進めないのか?」

『このパッソルが古いのもあるけど、わたし能力値があまり高くないからこれが限界かな?最近の子なら倍以上の速度が出ると思うけどね。』

「能力って差があるのか?」

『第一世代だから汎用性は高いと思うけど能力値は低いの。』


 ステータスは見た目に全振りって事か……


『フフッ、ありがと。』

「頭をなでるな!髪が抜ける!」


 オレの思考が正確に伝わってるのか疑問だな。

 まあ第一世代って言うのがちょっと特別だって事は理解した。




『ふう、もう一回休憩しなきゃダメかと思ったけど、何とか着きそうよ。』

「家が近いのか?」

『あれ見える?あれがわたしん家よ』


 ……おい、あれが家…なのか?


『なに?不満でもある?外で寝る?』


 不満は…ないけどさ、ありゃなんだ?


「アレも旧世紀よりもっと古い、別次元のものってヤツか?」

『かわいいでしょ、予算オーバーしちゃったんだけどさ、ちゃんと最新のデザインをしてもらって建てたんだ。』

「最新のデザインだぁ?」

『さっき言ったでしょ?建築系の叡智を持ってる子にちゃんとお願いしたんだから。』


 そこには大きさはそれほどでもないが、見た目は日本昔話に出てきそうな純和風的な古民家っぽいものが建っている……。



「この世界の叡智って、どうなっとるんじゃ!」

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