その2 【羞恥は神に近づくための儀式】
「Soron viera-lu… valen. Siron tala-haren!」
『少しでも人として扱われたいんなら、もう少しデリカシーを持ちなさい!』
「……ふぁい……」
ズタボロになったオレは今、美少女と手を繋ぎながら会話しているシチュエーションに涙している。
これは耳だ!あの耳がすべて悪いのだ!
コスプレシスターのベールから、尖った耳がのぞいていた。
エルフだ!これはエルフのコスプレだ!
いや、ちょっと待て……体のラインが丸わかりでどちらかと言えばエロフだ!ドエロフだ!
しかしあの耳よくできてるな、たまに動くぞ!どうなってるんだ?
そう思った瞬間、オレは本能の赴くまま耳に手を伸ばしていた。
夢だからこそ、大胆な行動に出てしまったのだろう。
プニプニ……
「よくできてるな、触り心地も本物の耳と変わらんぞ?先の方は耳たぶと同じくらい柔らかいんだな。どうなってるんだコレ?」
スリスリ……
「Kyaa●aa★aa———!!!」
『きゃああ●ああ★ああーーーー!!!』
!?
次の瞬間、様々なものが飛んでくる!
彼女が投げているのではない、飛んでくるのだ!
「おい!ちょ!まてよ!おhw!」
カァーン!
何かが息子にクリーンヒットし、オレは悶絶してしまう。
「Nira-tala… run-haren! Tena nira-melun!」
『変な触り方しないでよ!この劣等種!』
「あ…あり…がとう…ございま…す…」
そして今に至る。
ほんのり彼女の顔が赤いのはうれしい誤算だ。
しかし、あの耳はホンモノ?そんな訳ないよね?
「Tena-viera valen-haren… ri!」
『本物に決まってるでしょ!』
「Tala-run lu… tala-valen! Run-haren!」
『触るなら触るって先に言いなさい!てか触るな!』
「ありがとうございます」
気にはなっていたが、触れているとオレの思ってること全てが伝わっちゃうのか?
「Nira-solun valen-ru… lu. Sorin tala-valen!」
『隠し事はできないんだからね、正直に言いなさい。』
なるほど、そういう事か。ならば……
「Ruu…?」
『ん?』
「Tena-lu… nira-sorin-ri? Sorin-lu… nira-talun-lu.」
『こんなものが気になるの? 邪魔なだけなんだけどなぁ。』
「Deus-lan lu… siron valen-tara… solun-ri…」
『デウス様も、もう少し考えて作ってくれればよかったのに…』
たわわに実った果実を片手で掴みながら彼女が言う。
しょぼん…
「Nira-talen… sorin-ri?」
『なにがっかりしてるのよ』
思ってた反応と違いすぎる……
「Sérai… el thal… méren-nor-ri?」
『だって、これはただの肉の塊よ?』
「違う!男のロマンが詰まっとるんじゃ!」
「Viera-melun… nira-román-ri?」
『オスにロマンなんて不要でしょ?』
マジか!最近の若者はこんな感じなのか!
「Lu… siron… tala-sorin-haren!」
『それより!ちゃんと正直に答えなさい!』
「はい」
「Viel-en… thal-ruen… nira-len-ri?」
『あなたは何処から逃げてきたの?』
逃げてきたわけじゃないんだけどなぁ。
まぁ頭の中で思ったことが伝わるなら、ここに来た説明は難しくないか。
嘘も付けず全て伝わってしまうのが問題だが……
「Méra-thal… siren-ri?」
『記憶、改ざんされた?』
「されとらんわ!」
若い娘に食い気味で突っ込むおっさんの姿は少々痛々しい。
が、メチャクチャ疑われているのはあのジト目を見れば一目瞭然である。
「Lu… viera-thal… sorin-ri!」
『違う世界からとか、ありえないんだけど!』
「嘘は言っとらん。」
彼女は手を放し、腕を組んでブツブツと何かを考え始めた。
やはりあれはホンモノの耳なのか?考え方にズレが有るのは理解したが、いまいち信じられん。
それにさっき「作られた」とか言ってたよな、どういう事だ??
そういえばココは何処だ?
剣山とは全く違う場所だぞ?
オレは遠くまで運ばれちゃったのか?
ガシッ!
唐突に彼女はオレを掴むと
「Lu… anar tala-lira!」
『しかたない、全部脱ぎなさい!』
「はい!?」
「Tala-lira… talen-haren!」
『脱げって言ってんのよ、早くしなさい!』
マジか!いきなり野外プレイとかどんなご褒美だ!
しかしここは断固拒……
「Nira-valen… tal-ri?」
『拒否権は無いのよ?』
目の前にはフワフワと浮く複数のナイフのようなものがこちらを向いている。
どんなマジックかは知らんが、これはマズイ。
仕方なく着ているものを脱ぐ。
「thal-en…」
『もう1枚』
「へッ?」
「Siron… thal-en… nira-lu-ri?」
『もう1枚残ってるでしょ?』
パ、パンツまで!
オレのメタル……いやメタボボディが全て晒されてしまうじゃないか!
「Talen-haren!」
『早くしなさい!』
ズルッ
「おわぁ!」
無情にも剝がされたオレのパンツ!
その瞬間、少しだけ膨らんだオレのショートソード(中)がこの世界に晒される!




