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デブブサメンが生かされてます  作者: 霧野 カナタ


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10/12

その10 【異世界でオーダーメイド】

 ギィィィィィィィィッ………


 古めかしい木製の扉が軋みながら開く。

 まさにお化け屋敷の入り口だ。


 扉を開くと、薄暗い部屋の中に人影が一つ。

 完成した服がいくつか飾られているが、素材や生地の方が圧倒的に多い。

 雰囲気は、少し高級なオーダーメイドショップといったところである。


『ミレイ、居る?』

「Ah… Lú-shel… tal-en-lu」


 そこには、シルバーの髪色のクール系のお姉さんがいた。

 女性らしい、しなやかな曲線が際立つタイトなワンピースに身を包み、高めのヒールを履いている。

 そのためか、ルーシェルより背が高く胸部装甲は慎ましやかだ。


「Lu… nira-thal? Viera-sor… nira-valen-ri.」


 オレを舐めるように見てほほ笑む。

 お嬢さん、オレに惚れるなよ?


『………不細工だって言われてるのよ。』


 なんてこった!ルーシェルの言葉は理解できるが、他はダメなのか!


『彼女はミレイ、私と同じ第一世代よ。

 この服も彼女が作ってくれたの。

 それと、この不細工なのは………うちで飼うことになったオスのサーガ。』

「Siron… viera-lu?」

『すごいでしょ?』

「Viera-nor… thal-en… siron-lu… nira-os… méra-lu.」


 なんていってるんだよ!


 オレはルーシェルの手を掴みながら訪ねる。


『えっとね………』

「Viera-os… siron-lu… nira-thal… viera-sir-en.」

『オスだからかしら、不思議な言葉を使うのね。』


 !?


『そう、この子よく喋るの。』

『でも、ちゃんと意味のある言葉を話してるのかしら。』

「この風貌でブツブツ独り言ばかり言ってたらヤバイヤツ確定だろ。」

『フフッ。』

『あら、何か言ってるわよ?』

『えっ?あっ、うん、そうね…』


 オレの言葉は理解できていない?

 てか、お前は聞こえとるだろが!


 オレは腕を組み考える…


「Hú-hu… talen-véra… siron-lu… méra-thal.」

『ね、かわいいでしょ?』


 また分からなくなったな。

 老化しつつある脳みそをフルに使って考える。

 さっきと何が違う?




 もしかして!

 オレは慌ててルーシェルの手を掴む。


『じゃあこの不細工なオスに服を作る気なの?やめた方がよくない?』


 聞こえないほうが幸せなのかも………




 なるほどね、細かいことはよく分らんままだが、ルーシェルに触れていると、彼女と会話してる人の言葉も理解できるっぽい。

 ただし、オレの言葉の意味はルーシェルにしか分からないようだ。


 ってことは、あのミレイって子に触れれば、首輪の力も加わって、みんなで話すことができるって事じゃん。


 そう考え、ルーシェルのを放そうとした…


『やだ。』


 えっ?


『いやだ。』


 力強くルーシェルがオレの手を掴む。

 オレを見るその目は怒っている感じこそ無いが、顔は真剣そのもの。

 と同時に、オレの防衛本能が音のない警笛を鳴らす。


 わかった、お前の手を掴むのはいいのか?


『うん。』

『どうかした?』

『あ、この子がね、何か悪さしそうだったから…』

『そんなこともわかるの?すごいわね。』







 ………


『どう頑張っても市販のものは無理ね』

『やっぱりダメかぁ、高くなるけど作ってもらうしかないね』

『ただのオスでしょ、別にそれでいいんじゃない?』


 オレは頭を大きく左右に振り回す!


『あら、少しは言葉が理解できてるのかしら。』

『ちょっとワガママなんだよね、この子。』


 言葉は分からないふりをしろなんて言われたが、黙ってたら何されるか分からんじゃないか!

 この格好でいいだと?冗談は………オレの顔だけにしろ!


『ククッ…』

『どうかした?』

『ご、ごめん!何でもない。』


 銃のようなもので謎の光を浴びせられ、採寸をされた。


 特に腹回りが標準的なオスよりデカいので、市販のものは多少改造しても無理らしい。

 メートル級のウェストだ、当たり前だろ。


 となればオーダーするしかないが、手の込んだものは値段も時間もかかってしまうので却下。


『やっぱりこれかな…』

『値段は手ごろだけど、ちょっと時間が必要よ。』

『そっかぁ、他になんかない?』

『めんどくさい客ね。』


 机の上に映し出された3Dのホログラム、キーボードやマウスのようなものは見当たらないが、眼鏡をかけたミレイが空中で指を動かし、何やら操作している。


『これなんてどう?値段も手ごろで、時間もそこまでかからないわよ。』

『悪くないけど、なにこれ?』

『アリスの時代よりもっと古い世界で流行ってた服みたいね。』

『アリス時代って、この服よりもっともっと古い時代じゃない!』

『手に持っているものはオプションになるわよ。』

『んーーーー。そのオプションは却下で!』


 オレの服なのに、オレの意見は全く無視かよ!


『色はどうするの?。』

『これと同じでいいや。2着だとどのくらいでできる?』

『そうね、生地はあるから3、いや4日かな。』

『じゃあ4日後に取りに来るからこれにして。』


 しかもこれって………服と言えば服だけど…


『先払いだからね。』

『わかってますぅ!』


 ホログラムには、毛皮っぽい生地のワンショルダー、いわゆる原始人服が映し出されている。




 オプションのこん棒も付けやがれコノヤロー!

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