8防衛戦②
この戦いで、俺達は皆の信用を失った。勇者とその一行と期待されていた分、その影響は大きく、冒険者たちによって、一般人にも知れ渡ってしまった。その結果、この戦いによって死んだ者達の遺族の、怒りの矛先となった。本来モンスターに対し向けるべきその怒りは、俺達の心の傷を容赦なく抉った。
「なんで、戦いに参加しなかった!」
「なんで、夫を助けてくれなかった!」
「臆病者!」
町を歩けば殺意や憎しみの籠った視線を向けられ、罵声を浴びせられた。ときには物を投げつけられた。そんな状況は、俺達にとっては地獄そのものであった。特に陽花には。自分達が感じていた罪悪感と、周りの人間に対する恐怖は、陽花の心を簡単に押し潰し、大きなトラウマを与えた。やがて、陽花は部屋に閉じこもるようになった。
反面、圭は、その悔しさをバネに、より1層訓練に励んだ。ただ我武者羅に。
そうして5日後、また、モンスター軍団が現れた。俺達はそのモンスターを迎え撃つ。ただ、今回この場には、陽花はいなかった。前回の反省を活かし、俺と圭は、モンスターを迎え撃つ。俺が城壁の上から攻撃した。貫通力が高いファイアショットは、ゴブリンを4、5体同時に貫いた。魔力の高い俺は、ひたすらゴブリンを撃ち殺し続けた。圭は、前線でモンスターの相手をし続けた。圭が剣を振るうと、ゴブリン2、3体が倒れ、前回とはうってかわってこちらが優勢で戦いは進んだ。圭は、ゴブリンを突き抜け、オークの軍団まで突っ込んだ。圭は、単純魔力エンチャントと、身体能力強化を使い、オークを切り伏せていった。俺は、圭がなるべく1対1で戦えるよう、魔法で牽制し、圭の周りになるべく寄せ付けないようにした。
そうして、敵軍団を半分程減らした頃、圭の様子に異変が起きた。いきなり倒れたのだ。まだ剣に単純魔力エンチャントの光があるので、魔力切れでは無い。攻撃も特にくらっていた様子はなかった。何が何だか分からないが、とりあえず圭を助けなければいけない。念力で圭を浮かせたが、今のレベルでは、あまり早く動かせない。
『ストーンウォール』
地面から土がせり上がり、急造の石壁ができる。しかし、急造の為、所々ひび割れていて、オークの力なら壊すことは簡単だ。しかしオークが石壁を砕こうと持っていた棍棒で殴った時、石壁が崩れ、周りのオークやゴブリンを押し潰した。 その間に圭を城壁の上へ避難させる。しかし、攻めの要であった圭がいなくなり、このまま勝てそうというところで撤退を許してしまった。だが少なくない被害を与えたので、しばらくの猶予は得られただろう。
この戦いで俺達のレベルが一気に23まで上がった。陽花は戦闘に全く参加していないので上がっていないが、戦闘に参加した俺は、圭が倒した沢山の経験値が1部分けられている。パワーレベリングは成功と言えるだろう。俺達それぞれのステータスはこうだ。
名前 月樹圭
種族 人間族
職業 勇者
Lv 23
力 3830(+150)
俊敏 2710
防御力 3155
体力 3330(+150)
魔力 2260
知力 1990
魅力 2280
特殊スキル
勇者
パッシブスキル
主要言語理解 剣強化Lv5
魔法系スキル
身体能力強化Lv3 身体硬化Lv1
単純魔力エンチャントLv3
称号
救う者 殲滅者
*スキル・称号説明
身体硬化
自身の耐久力をあげるスキル。外部からのダメージだけでなく、許容量を超えた運動にも耐える事が出来る。効果はスキルレベルと消費魔力量に依存し、発動中常に魔力を消費し続ける。
殲滅者
一日に500を超える生物を殺した者。力、俊敏が+30%
どうやら、レベルが上がると、稀にスキルのレベルも上がったり新しいスキルを貰えたりするらしい。
名前 大神英治
種族 人間族【放浪神】
職業 賢者
Lv 23
力 4930(-2350)
俊敏 4650(-2350)
防御力 4230(-2350)
体力 5580(-2350)
魔力 6400(-2200)
知力 7160(-2200)
魅力 3700(-2350)
特殊スキル
【魂操作 無限蘇生 死後の世界 3級神の権能】
成長限界突破 賢者
パッシブスキル
主要言語理解 魔法強化Lv6
アクティブスキル
鑑定Lv2 アイテムボックスLv1
魔法系スキル
念力Lv5 土操作Lv3 探知Lv3
称号
【神に至りし者 特別3級神】救う者 邪神の呪い(封印)
殲滅者
*スキル・称号説明
アイテムボックス
異空間に物体を収納する事が出来るスキル。生物は収納不可。許容量は、スキルレベルに依存し、また、クールタイムは、スキルレベルの上昇に伴い短縮される。
土操作
土に干渉するスキル。干渉力はスキルレベルと消費魔力量に依存する。土を無から創り出すことは出来ない。また、質量を変化させることは出来ない。
ちなみにステータスが3000を超えているのは、C~Bランク冒険者並で、救う者発動時の約1万のステータスは、もはやこの国には数える程しかいないレベルだ。その域に圭は半年と経たずに達したのだ。
俺も達しているのだが、それ以上にステータスのマイナス効果が高すぎる。邪神の呪いというのはことごとく厄介なものだと改めて思った。いずれは邪神を殺してやりたい。
その後、圭が倒れた原因を知るべく、騎士団長に聞いてみたが、どうやら極度の疲労らしい。アフターケアや休息を取らずにトレーニングばかりして、そのまま戦闘し、さらにその戦闘で身体能力強化を乱用したことによって倒れたとの事だ。
身体能力強化はただでさえ身体を酷使するので、身体硬化等と併用して使うのが普通だ。だが身体硬化がない状態でさらにトレーニング後で疲れているとなれば倒れるのも無理はないだろう。
とりあえず住まわせてもらっている辺境伯の屋敷に圭を寝かせ、戦いの後処理をする。相手にも大きな被害を与えたが、すぐに戻ってこない保証は無いので、最低限の修復が必要だった。俺はその後、1人で修復の手伝いのために奔走した。




