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11防衛戦⑤

 ノースシティでの防衛戦を終えた俺達は、勝利を手に王都へと凱旋した。勇者として支持を集め、希望となるため、俺達は、じぶしぶその役目を引き受けていた。今回の戦いでは、犠牲者も多く出てしまい、手放しで喜べるようなものでもなかったからだ。


 王城では、国王との謁見を行った。

 

「勇者御一行よ。よくぞノースサイドを守り通してくれた。その成果を讃え、今からそなたらには、男爵の位を授ける」

「いや、俺達、この戦いが終わったら元の世界に戻りたいから、要らないんだけど」


 圭がもっともな返答をした。

 

「む、そうか。しかし、多大な功績を挙げたものには貴族の位を与えると言うのは昔からのしきたりでな。あって困るものでもないので出来れば貰ってくれると助かる。もちろん、貴族としてこの国に縛り付けようなんぞ考えていない。叙勲式も社交会も勇者は多忙な身ということで控えればよい」

「分かった。貰っておくとする」

「ありがとう。さて、皆疲れているであろう。しばしの休暇を与える。存分に体を休めてくれ。」

「助かる。」


 3人での話し合いではいつも俺が仕切っているし、戦闘中は陽花が指示を出すことになっている。しかしこのような場では、圭が主に話す。勇者一行と言っても、やはり周りから見たら勇者というのは特別なのだ。


 俺達は、その後、食事を済まし、各々の部屋で休息を取った。


 王都に戻ってきてから2ヶ月が過ぎた。俺達は、その後も特訓とモンスター討伐を続け、レベルは俺と圭が41、陽花が34となった。更には、いくつかの魔法を習得し、俺と陽花は、オリジナル魔法の創造にまで励んでいた。特訓をしているところに、慌てた様子の兵士が伝令を伝えに来た。

 

「森の中に、魔物の駐屯基地を見つけた様です。王が、今後について話したいので、集まって欲しいとの事です」

「分かった」


 会議室に行くと、王と王女が既に座っていた。

 

「来たか。座ってくれ」

 

 会議室には、王と王女、俺達3人が座り、部屋の隅では兵士が数人控えている。

 

「それで、魔種の駐屯地はどこにあった?」

「うむ、森の東側との事だ」

「東側?」

 

 人間の国は小さく、森の中心部分しか面していない。東側は荒野だし、西側は平野でどちらも見晴らしがいいので、攻めてくるなら基本的に森の中心からだった。ギリギリまで身を隠し攻めてくるのが定番だったので、この攻め方は想定外だった。

 

「魔種はなにを考えているんだ?」

「分からない。だが、そこには四天王クラスらしき存在が確認されている。もしかすると、堂々と現れ、力押しで勝つつもりなのかもしれぬ」

「なるほどな。だとしたら、絶対にこちらの兵士と衝突させる訳には行かないな。一般の兵士じゃあちらが上だ」


 その後も会議は続き、魔王軍への対処についてはっきりとした指標が定まった。


 今回は、兵士ではなく、勇者一行と、王国騎士団長のみの少数精鋭で迎え撃つ。出発は明日の朝。なるべく早い方がいいのでこの時間になった。駐屯地に向かい、魔種がこちらに攻めてこようとしているなら連絡して応戦。駐屯地にいるようなら不意打ちで四天王の首を狩る。


 翌日の朝、軽く体を動かし、体調面に問題ないことを確認した俺達は、贅沢にも騎士団長が御者をする馬車に揺られながら、改めて自分達で細かな作戦を立てる。正面衝突になった場合、圭と、騎士団長で戦い、その間に俺が遠距離からファイアショットを撃つ。それで四天王を倒せたら良し、倒せなかったらストーンウォール等で身を隠し、ヒットアンドアウェイで攻撃を続ける。正直倒し切れるとは思っていないが、圭達を囮に見せかけて俺が四天王を狙っていたと相手に思わせるのが狙いだ。そして、俺が四天王を引き付けている間に、敵の数を減らし、相手に撤退の判断を取らせることが出来れば御の字だ。


 もし駐屯地にいた場合、俺が思案中の魔法を試して見て欲しいらしい。俺はもう既に既存の魔法を大半は習得しており、新しい魔法を覚えたければ創造するしか無い。技術の進んでないこの世界では、魔法をつくれる程魔法使いは少数で新しい魔法は生まれにくいらしい。


 俺の思案中の魔法とは今までの単体魔法とは違って大規模の高火力が望める魔法だ。その為、王都では練習すらできなかった。練習すらしていない魔法をぶっつけ本番というのもどうかと思うが、基本魔法はイメージと魔力操作さえしっかりすれば発動できるので、不可能ではない。いい練習台というわけだ。


 結果的に魔種と鉢合わせることも無く、駐屯地の近くまでやって来た。後は森の中を進むので馬車は降りるしかない。俺達は馬車を降り、森の中へと足を進める。朝早くに出発したのだが、いくら魔法で強化しても所詮馬だ。新幹線なんかより圧倒的に遅いし、森の中へ入る頃には日が傾いていた。俺達は、見つかりにくいよう少し森の中に潜り、野宿をする事にした。


 煙で見つからないよう火は使わない。干し肉とパンと、栄養補助食品が今日のメニューだ。技術が発達していない割に、栄養補助食品といった戦闘食の類はしっかりと作られているあたり、この時代の特色を感じる。

 平和になれば、魔法技術を使って、いくらでも便利な道具を生み出せるだろう。街同士を繋ぐ新幹線の様な乗り物だったり、なんなら町自体を繋げてしまってもいい。通信機器や、日用品でも生活を遥かに便利にしてくれる。それをしないのはそこに割く費用と時間、人員が無いからなのだ。

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