22話 高柳家へ
カチ カチ カチ。
輪島邸のリビングの時計は規則正しい時間を今日も
刻んでいる。
それとは正反対にカイとエミリーはそわそわしていて落ち着かない時間を過ごしていた。
昨日の夕方にはてっきり帰ってくると思っていた燈子とが帰って来ない。
そして今朝になって随分大人しくなったユキが久しぶりに朝の散歩をしたいと駄々をこねた。
「トーコさんが来てからはお庭で満足してたのに」
エミリーはそう言いながら渋々ユキをケージからだしてやったのにもうすぐ昼になるのに一人と一匹は帰ってこない。
心配になったエミリーが電話を掛けたが一向に繋がる気配はない。
ガタン!とテーブルを叩き我慢の限界を迎えたカイは
「俺っ、燈子さんを迎えに行ってくる!」
と落ち着くように嗜めるエミリーをよけ、上着を羽織り外に出ようとしたその時、ちょうど一匹が玄関に弱った姿で帰ってきた。
「ユキ!大丈夫か!?」
あまりのユキの変貌に二人は正気じゃいられない。
「誰がこんな事をしたの?」
エミリーにいたわっては涙目になってユキを抱え上げる。
「トーコ カゴニイル カゴイヤダ」
「なんだって!?」
言葉を疑ったカイはエミリーにユキを任せた。
(お願いだ。燈子さん、無事でいてくれ!)
そう願いカイは車を走らせた。
「体調不良?」
高柳の屋敷に着いたカイは一瞬呆気に取られた。
女中が言うには彼女は昨日風邪を引き、床に伏せているという。
「では挨拶だけでも」
とカイは申し出たが女中は顔を曇らせ
「うつると悪いので、また後日お伺い願います」
と一向に引かない。
なにか引っ掛かる。
しかしカイには何かが分からない。
玄関を閉め出され、小さな違和感が拭えない自分がいた。
ユキのあの言葉が引っ掛かるのだ。
「カゴにいるって燈子さんは鳥じゃないだろ」
広い屋敷だ。
自分の、表向きの婚約者だとはいえ、彼女の実家に来たのは初めての事で改めて彼女の事は知らない事が多い。
この砂利を敷き詰めた庭園も立派で輪島の家の二倍はあるであろう。
入ってくる時は気づかなかったがこうしてみるとやはり風格のある屋敷だ。
そうして砂利を見るうちにカイは見覚えのある物を見つけた。
白い羽が砂利に、庭の奥にも落ちている。
(ユキのものだ!)
そう確信したカイはすぐにその落ちている羽を追った。
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