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17話 友の来訪とパーティー



「水臭いなあ、カイ。知らない内にこんな綺麗なお嫁さんと暮らしていたなんてなんで言ってくれなかったんだ」


納涼祭二日目。

カイはイギリスから来日したアレックスに恨めしそうに絡まれていた。


「いや、違うから」

大事な事なので否定するがアレックスは若い夫人が一つ屋根の下そんな事はないだろうと話を聞こうとしない。


(ほら、やっぱり輪島様は言葉通りの事を言っただけよ)


カイの否定に一瞬、燈子の気持ちに影が出た。


「こんな可愛いお嫁さんがいたって知っていたらドレスなり送っていたのに!」

なんでお前教えてくれなかったんだとまだカイに対してアレックスは憤慨している。


そんなアレックスを宥める為、カイは彼を納涼祭に連れ出した。


「ちょっと二人で出かけてくる。アイツ着くなり次から次へと俺の事聞いてくるからさ」


今の輪島を見せればアレックスあっての今って事もあるからとやかましいと言いつつカイは内心どこか嬉しそうだ。


二人が旧知の仲なのは彼らを見れば明白だ。

きっと語り合いたい事は山ほどあるだろう。



エミリーと二人、燈子は彼らを見送る。


あんなにあどけなく笑うカイを燈子は初めて見た。

「いってらっしゃいませ」


喧嘩しながら車で話し合う二人。

燈子には昔からの友人はいない。


(なんだろう。前は悲しいとか思わなかったのに。

すごく二人が羨ましいわ)



二人は屋敷に帰ってきても一緒にいる時間は長かった。



そうして数日後、納涼祭最終日。


今日は各店舗の納涼祭での売上順位が分かる日だった。


「輪島の売り上げが164店舗中63位だったよ」

その日は輪島邸は千代も呼び、納涼祭の労いとアレックスが来日した為ちょっとしたディナーでパーティーを開こうと燈子は料理をテーブルに運んでいる最中だった。


三ツ橋から帰って来てからカイが皆に告げたのだ。


ホールはシンと静まり空気は微妙になった。


(あ、この光景)

燈子が視ていた景色が現実のものとなった。


肩を落としたカイがどこか遠くを見ている。


これには良い話を期待していたエミリーや千代も残念そうに肩を寄せ合っていた。


「まあ、そう肩を落とすな」

「そうよカイ。今日はとにかく食べて英気をつけましょう」


アレックスとエミリーはそれぞれカイを励ました。


(どうしよう。なにか気のいい言葉を掛けたい)

しかし、燈子は思いつかない。


だが、次の瞬間

「でも、朗報!売り上げ点数では飲食店を除いて俺達は十二位だよ」


「やったじゃないか!」

アレックスの声がホールに響く。

「私達を驚かせようと企んでたのね」

とエミリーがやられたわと言いたげにため息をついた。


「しかも、一番売れたのはやっぱりリボンだったんだ」

そう言われやっと燈子は千代とエミリーと抱き合い喜びあった。


「やった、やったわ!」

こんなにやりがいを感じたのは燈子は初めて感じた。


「やだ、燈子ちゃん涙拭かなきゃ」

千代に言われやっと燈子は自分が泣いている事に気づいた。

「トーコさん、ティッシュ使って下さい」

エミリーに渡され、涙を拭く。


「それじゃあ、納涼祭の成功と皆に乾杯!」

カイの合図で輪島邸の空気は和やかになった。


「こんな気分見習いの時以来だ」

懐かしそうにカイは久しぶりに手に入れたワインでアレックスと乾杯しながら語り合っていた。


燈子は千代とジンジャーエールで乾杯だ。


「トーコさん、ダンスしましょう!」

突然、さっきまでカイと話していたアレックスは鳴らしていたレコードに合わせダンスを申し出た。


「え、でも私ダンスなんてやった事なくて」

今日の燈子はカイに買ってもらった薔薇柄の着物だ。


「大丈夫。俺に身体を預けて」

とウインクするアレックスに

「燈子さん困ってるだろう。ほどほどにしとけよ」とカイが苦言する。


「うわ〜、嫉妬深。

意気地がないのに嫉妬深いなんてカイはお子様だな」

「ナンパ野郎に言われたくないね」


そう言い合いながら燈子はアレックスに手を取られ辿々しくもステップを踏もうとする。


テーブルから離れた場所でアレックスはヒソっと

「アイツ、ああ言ってるけどすごく楽しんでますよ」

ニカッと笑い燈子にささやく。



なんだかんだで彼は友達思いなのだ。

「アレックスさんがいたからですよ」

燈子は首を横に振る。



「いや、アイツ昨日ずっとトーコさんの事ばかり話してたんですよ。

久しぶりに幼なじみが故郷から来たのに口を開く度に惚気られたら反応に困るから俺としては早く結婚してほしいんだけど」


「けっ」

(結婚!?)


「だからトーコさん。カイをよろしく」

笑いかけられ返答に迷う。


(いや、確かに家に来てくれてよかったと言われて嬉しかった。


だけどー。これって「そういう意味」として受け取っていいのかしら)


ダンス踊り終わりアレックスは食事に戻る。


*・゜゜・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゜・*


ここまで読んでくださりありがとうございます。

蔑まれ令嬢ものが好きな方はいいね、ブクマ、感想よろしくお願いします。


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