15話 快挙と恋心
それから作成したリボンはサロンですぐに間に売れた。
「えっ、もう完売したんですか?」
「はい。またリボン作ってくれないかって今サロンから電話がありました」
リボンは一昨日、サロンに届けたのであっという間の事で、これにはカイもリボンを一緒に作ったエミリーも驚いて三人で顔を見合わせた。
「すごいや二人とも!」
カイは予想以上の売れ行きに喜んだ。
「この調子なら輪島にもリボンを置いてみようかな」
「あら?カイったら思い切った事をするのね」
でも賛成と言わんばかりにエミリーは頷いたが燈子には意味が分からなかった。
「輪島は主にインテリアを取り扱ってるんだ。写真立てや雑貨も扱ってるけど。まさか自分の店がリボンを置くなんて思ってなかったなあ」
どこか遠くを見るようにカイは呟く。
「たくさんのお客様に手に取ってくれるといいですね」
「そうだね・・・。でも二人に頑張ってもらう事になるけど大丈夫?」
「私は一日中時間があるからいいですけどエミリーさんは大変じゃないですか?」
「そうねえ。たくさん作るとなると家事が疎かになるかもしれないわねえ」
「だよね。じゃあこうしよう!」
数日後カイの提案により、リボンの作成時間は大幅に短縮した。
「新聞の求人を見て来ました千代といいます」
そう名乗った歳は十五、六の少女の登場は最初は慣れない洋館や異国の雇い主であるカイ達やその夫人であろう燈子にも緊張した様子だった。
「千代ちゃん、本当に縫い目が綺麗だわ」
と燈子が褒めると
「そんな。奥様の方がお上手です」と返す千代の言葉に反応した燈子がただの居候である事を伝えると千代は理解が追いつかない様子だった。
「嘘でしょう。じゃあ輪島様はご好意で居候をさせてくれているんですか?」
「そうなの。だからせめて仕事をもらえて私嬉しいから千代ちゃんも敬語はなしで話してもらえると嬉しいのだけど」
駄目かしら?
「でも、燈子さんだって高柳家のお嬢様ですから」
(確かにそうゆう事にしていたわ)
「私、高柳にいた頃友達がいなくて学校にも行ってないの。だから千代ちゃんと仕事ができて嬉しいし
今は仕事仲間なんだからよかったら仲良くしてほしいの」
「・・・ええ?でも、社長やエミリーさんから見たら感じが悪くみえるんじゃ・・・」
「そんな事ないわ!二人ともとても気さくなの」
「じゃあ、その燈子ちゃん?と呼んでいいんですか?」
「ええ。できたら普通にお友達と話してるみたいに話してほしいのだけど」
これには千代は躊躇したが燈子の期待の眼差しに耐えきれなかったのかしびれを切らしようやく
「分かったから。燈子ちゃん次を作らなきゃ・・・。もうすぐお昼だし」
と遠慮がちに答える千代に燈子は口の端が上がりっぱなしだった。
そうして完成したリボンは輪島に置くと即日で完売した。
「すごいよ。他の商品より回転率がいいんだもん」
と売れ行きを聞いたカイは屋敷での昼食時に燈子や千代の前で嬉しそうに語るので燈子は千代と喜び合った。
そんな事があった週末。
千代が休みの日にカイに声を掛けられた燈子は戸惑っていた。
「リボンのお礼がしたいんだけど燈子さん欲しい物とかない?」
「欲しい物ですか?」
特に思いつかない。
「大丈夫です」
「燈子さんなら少しそう言うと思ったよ」
カイは少し拗ねた表情でため息をつく。
「ええ、すみません!」
何か落胆させてしまったらしいと燈子は勘づいたもののカイの機嫌が直る術は思いつかない。
そんな彼女の心境がカイは目に見えて分かるからか
一歩譲歩して質問を帰る。
「じゃあ燈子さんの行きたいとこはある?」
そう聞かれ、着いた先は夕方の三ツ橋だった。
「燈子さん、やっぱり買い物がしたかったの?」
「いえ。あの輪島のお店を見に行きたかったんです。
リボンの売れているとこが見たかったから」
通路から輪島を見るとそこには年頃のご令嬢達がリボンを手に取り合っている。
紙袋に包装されたリボンを持ち店を出ていく彼女達を遠目に見送りながら燈子達も店の側を後にした。
「さあて、次はどこを見ようか?」
物欲がない燈子の行きたいとこに着いて行くと決めたカイは次の彼女の言葉に驚いた。
「あの・・・、また食事がしたいです。
洋食に詳しくなりたいし、輪島様と食べたいのですけど・・・」
自分から誘ったのが勇気がいったのか気恥ずかしさと戸惑いの表情が彼女から伝わり、カイは自分の紳士らしからぬ態度を恥じた。
「では行きましょうか。お嬢さん」
せめてエスコートできるように彼女の前に腕を出すとそこにそっと彼女は触れる。
(そこは素直に腕を組むのが正解なんだけど)
奥ゆかしい彼女らしいし、悪い気はしない。
(おかしいなあ)
仕事では、はっきりしない返答やお世辞は勘弁な性格をしてるはずなのに。
彼女がそれをするとそこに自分がいたいと思うなんて・・・。
なんて事だ。
異国の女性に絆されるなんて。
惹かれたタイプは違うものの、やはり父と同じ様な人生を送る事になるのか・・・。
彼女が自分に送る視線が恋慕の気持ちかは定かではない。
だけど
「燈子さんが家に来てくれて本当によかった」
と帰りの車の中伝えると彼女は照れた様な悩んだ様などっちともつかない仕草をした。
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