13話 デート
小一時間後、そう言われて連れられて来たのは三ツ橋だった。
「燈子さん、すごく綺麗だ」
試着室から出て来た燈子は何故か美容院に来て行く小紋袖を選ぶはすだったが何故か着物を着ている。
「あのぅ、今日は美容院に行く着物を選ぶんですよね?」
綺麗な着物に袖を通せるのはやはりドキドキするが着物は晴れの日や舞台やパーティーに着て行く物で
つまりは燈子にとって着る機会というのがないように思えたのだが。
「薔薇柄は派手なのしかないかなって思っていたけどその柄本当に似合うよ!」
とカイはクリーム色に桃色の蔦や葉の付いた薔薇の柄を着た燈子を絶賛した。
褒めてくれるのは燈子としても嬉しいのだが、そんな燈子をよそにカイはいろんな着物を進める。
「燈子さんは淡い色が似合うから寒色系のこの牡丹柄も似合いそうだからこっちも着てみない?」
そう聞きながらカイは今度は水色にクリーム色の牡丹柄の着物を見ながら定員の話を聞く。
「あのっ、お着物の試着をしてますが今日買うのは小紋袖ですよね?」
確認のようにもう一度聞くと
「うん。まあそのつもりだけど着物も買うよ」
ケロっとなんて事ない様にカイが答えたので燈子は驚いた。
「でも、お着物なんて高いですよ」
定員に配慮し小声で言ったつもりだがカイは聞き入れなかった。
「まあ、それはそうなんだけど燈子さんあまりにも着物持ってないじゃない?」
確かに道中、カイが運転する車の中で「三ツ橋の会合以外でここに来るなんて久しぶりだよ」
という会話に「私もです」と令嬢らしい暮らしをして来たアピールをするため嘘を付いたが。
「その割には燈子さん荷物は少ないみたいだし。
喪服も色無地も無いなんて、ここでの暮らし何着て過ごすつもりだったの?」
ため息まじりに話すカイにグウの音も出ない。
「だから最低限の物だけでも買わなきゃね」
(最低限・・・)
その量は着物二着から始まり、喪服、小紋袖を二着、色無地を二着買い、燈子の人生の中で実に初めて買い物という買い物をした日だった。
「こんなにお買い物したの初めてです」
一度荷物を車に置きそう言う。
「いつもはこんなに買わないの?」
「はい。着回しとかを考えてしまって時間がかかるので」
それとない言葉で誤魔化す。
「お洒落さんなんだね」
お洒落さんではないけどカイが素直に信じてくれてほっとする。
「さあ、沢山買い物したから次はランチかな」
そう言いながらカフェがある上の階に行こうとした途中、通りかかったブティックでなんとなしに
「そういえば燈子さん、手袋も買わない?」
カイに聞かれる。
「よそ行きに何枚か持っていた方がいいかと思うんだ。もう暑いからレースとかどうかな?」
マネキンがしているレースの手袋を指差され聞かれたが
「私、すぐに汚すから大丈夫です」
サッと理由を話し先を急ぐ。
(レースはダメだ。汚しそうで駄目なのは本当だし、視えやすいから)
「ああ、燈子さん待って」
カイは早足で燈子に追いつく。
「燈子さん欲しいのが、あったらその時教えて」
「はい・・・」
優しく笑うカイの笑顔を何故か正面から見れなかった。
「・・・美味しい」
初めてのオムライスは燈子には衝撃的だった。
「よかった。やっぱりお腹が減っちゃ元気無くすよね」
「ふふ・・・」
気にかけてもらって申し訳ないと思う最中、
「燈子さんが洋食気に入ってくれてよかったよ」
と言われて
「確かに、そうですね。お米が入っているのにこれも洋食なんですよね。不思議」
また一口食べたがら燈子は関心した。
そう喜びあう中、カイは
「燈子さん、しばらくしたらアレックスをうちに呼ぼうと考えてるんだ。せっかく融資してもらったからね。まあ、輪島屋は再軌道してないんだけど燈子さんもうちに来てくれたから色々あったから僕なりに祝いたいんだ」
「ありがとうございます。私もアレックスさんに会えるの楽しみです。どんな方なんですか?」
「一言で言うと強引な奴だよ」
とカイはため息を分かるでしょと言いたげな感じで吐きながら話す。
確かに強引で気前はいい。
「楽しい奴ではあるんだけどね」
そう話すカイはどことなく楽しそうだ。つられて笑みがこぼれる。
「でも久しぶりに会えるの楽しみですね」
「そうだね」
カイは嬉しそうな燈子の笑みにつられてまた笑った。
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