11話 いい話と悪い話
「100万ドル!!?」
エミリーはカイの言葉に驚いた。
「アレックスの奴、どれだけ稼いでいるんだか・・・」
封筒に入っていた小切手と手紙を交互に見ながらカイは呟いた。
燈子にはまだ状況が分からない。
その様子を察したカイが燈子に分かる様に話した。
「アレックスっていう奴は俺の国の親友でアパレル・・・、夫人服の買い付けと社長をしていてね。
セレクトショップって日本語で言うと何て言うんだっけ?とにかく同業者。
で、そいつが俺の状況を見兼ねたアイツが援助してくれたって訳。
気前良すぎだろ・・・。100万だぞ・・・」
「日本円にするといくらくらいでしょうか?」
「2500万くらい?」
「!!!???」
聞いた事ない金額に燈子はまた、倒れそうになる。
「落ち着いて、高柳だって三ツ橋の老舗なんだから確かにこの金額は大きいけど」
(そうなのかしら?)
燈子には家の売上や総資産額までは分からない。
かくして、輪島の苦しいお財布事情はアレックスにより黒字に右肩上がりした。
「まあ、そう考えると悪い話は安い話になるのかな?」
「「?」」
燈子とエミリーがまた首を傾げる。
カイがアレックスが送って来た大きな箱を開け中身を取り出す。
「カイ、この傷んだドレスは何?」
何枚もあるわとエミリーは嫌々それに触り、カイに質問する。
「これはどうやら向こう(英国)での売れ残りさ」
「何で、売れ残りを送って来たのかしら。まさかー!?」
エミリーはカイに聞きながら何かに気づいたらしい。
「そう。つまり100万やるからこれを輪島で売ってくれとの事だ」
「そんな、少し古いデザインのドレス、しかもリップや化粧の汚れが付いたドレスなんて日本でも手に取ってもらえないわ!」
確かにそうだ。
でも燈子には古いデザインかは分からない。
「私には綺麗に見えますけど・・・」
そう言う燈子を見て二人は燈子を見るとああ、まあそうだよねといいだけにため息を溢された。
「すみません!素人が口を出して」
と謝る。
「いいや、いいよ。顧客目線は大事でしょ」
カイは昨日、テラスで話した様に燈子の方を向いて言った。
「はいっ」
カイの言葉に燈子の気持ちはまるで高柳とは違う。
落ち込んで倒れた身体を手を握って引き上げられた心強い気持ちになる。
燈子は拾われっ子で本当の家族を知らない。
養子に迎えられて戸籍上は幼女だが高柳の娘として公に知らされているのは真莉だ。
けれどー
(家族がいて、認められて過ごせるとこんなに過ごしやすいのね)
カイは家族でも婿でもないが、そんな考えが燈子の胸をよぎった。
(そうだわ!)
何か輪島様に返したい!
そう思った燈子は手袋を外し、ドレスを触る。
「燈子さん、そのドレス気に入った?」
まじまじとドレスに向き合う燈子にカイは声を掛けた。
すると燈子はカイに、ある事を提案した。
「リボンにするの?これを?」
「はい。このドレスは英国では流行らせるには難しいんですよね?
でも日本ならこのレースやバラの模様を端切れにして無地のリボンに縫い付けると日本の女性には受け入れられると思うんです!」
「成る程。端切れにすれば小物のデザインのアレンジはし放題だね。燈子さん、すごいや!」
「ありがとうございます」
燈子に視えたのは可愛らしいレースがリボンの両端につい物や、ドレスと同じ柄や和布に縫い付けられたバラ模様の端切れやレースが付いたリボンを付けた女性達の姿だ。
(このドレスがリボンになるのね。よかった・・・。お役に立てたわ)
「よし、決めた。試しに一つ作りたいのだけど・・・」
誰に作らせようと思ったのだろう。
カイの動きが止まった。
「あのっ私、試しに一つこしらえてもいいですか?」
「ありがとう、燈子さん」
そう決まると朝食後、燈子は持って来た裁縫道具を使い昼時には一つの上品なリボンが完成した。
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