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暗中模索(3)

「これあんたの?」


ソウタがサスケ・イッセイのところにギターケースを持ってきた。


「ああ芸人だが、音楽もやるんだ、ギターも弾く、曲も描くんだ」


饒舌に話すサスケ・イッセイにソウタは辟易した。


「ホマレが片付けてくれってさ」


ソウタはケースを置くと、さっさと行ってしまった。


サスケ・イッセイはプライドが傷ついた気がした。


ホマレのところにいき、文句を言おうと思った。


洞窟の奥で片付けをしているホマレ見つけた。


「俺は今まで尊敬されてきたんだ、だがあんたは俺を役立たずのガキ扱いしている」


「何の話よ?」


「イッセイお前は邪魔だ、そればっかり!」


「落ち着きなー、診ようか?」


「黙れ、俺はプロの芸人だ!遊び人の神だ!」


その時地響きがした。


洞窟が崩れ、サスケ・イッセイは飛び出した。


シン・ホマレは中に取り残された。


「どうした!?」


ソウタが駆け寄ってきた。


「落盤だ!ホマレが取り残された」


「海岸から人を読んでこい!パピコもだ!」


ソウタはサスケ・イッセイに叫んだ。



その頃、モナカ・パピコとガルマは森の中を歩いていた。


「ねぇ、成功する確率ってどのくらい?」


「助かる確率と同じくらいだ、きっと助かる事故も多いだろ」


船内で事故に遭った時のことを思い出す。


「しかし今回の事故は異常事態だ、船が真っ二つに割れたのに生きているなんて、普通は全員死んでた、いや事故の痕跡すら残らない、どれどう思う?」


「ただ単に運が良かっただけよ、事実は小説より奇なりでしょ」



「おい、助けてくれ!ホマレが閉じ込められた!」


サスケ・イッセイの声にゲイルとライアス、シャロン、他数名が立ち上がった。


「ええと、あんたテスラ?」


「テスタだ」


「ついてきてくれ」


ライアスはテスタという男を連れて先に洞窟に向かう。


ゲイルは仕事を妹に託すことにした。


「シャロン、合図があったらこの花火を打ち上げてくれ」


「パピコはどこだ?」


リクは焦り顔のサスケ・イッセイに応えた。


「森の中に向かったぞ、焦るなって俺が伝えておくから、お前は行きなよ」


またサスケ・イッセイの脳裏に記憶が蘇る。



記憶の中でイッセイとニセイは群衆に囲まれ、歓声と拍手の中悦に浸っていた。


だが、イッセイは冷たい怒りがニセイに対し湧き上がっていた。


全員笑顔のスタッフをかき分け、ニセイに噛みつく。


「一体何なんだ?」


「? お前良かったぞ」


「俺が歌うところだったろ」


「すまん、悪かった、興奮して間違えた」


「俺が先に歌うはずだったのに」


ニセイはなあなあでイッセイを宥め、女を部屋に招き入れた。


「よう、今日もかわいいね」


サスケ・イッセイは女と親しげにしながら話すニセイが小さな袋から麻薬草を出したのを見逃さなかった。


「気にするな」



あの時、自分は何もできなかったと無力感が襲ってきていた。



洞窟では10人ほどの人が、崩れた岩を取り除いていたのをライアスが止めに入った。


「私は建築業だ、地盤がどうなっているか調べるから、みんな離れてくれ、ロン、ケルベロスを連れて離れてろ」


「ドラッガー師は?」


「ご馳走を獲りに森の中だ」


ライアスは見分し、崩しても大丈夫な個所を見抜いた。


「よし、ここに穴を掘ろう、一度に3人、交代で慎重にやろう、残りのものは堀った土を運び出す、さあ急いで」



「やあ」


リクはモナカ・パピコとガルマに森の中で合流した。


「何よ、私があんたの話を聞くとでも思っているの」


「・・・確かに俺は自分勝手だったが反省した、だから手伝おう」


「本気かしら」


モナカ・パピコは鼻息を荒くし、スタスタと先を歩く。


「おい、少しは感謝しろ」



ドラッガー師は仕留めたイノシシの革を剝いでいた。


そこへサスケ・イッセイが消沈した表情でいたのを見逃さなかった。


「何か問題でもあったのか?」


「ホマレだ、彼女が・・・洞窟に閉じ込められた」


「救助は?」


「みんなでやっている」


「君は?」


サスケ・イッセイは息が詰まった。


何も答えることができない。


「ただ報告しに来ただけか?」


「預け物を返してくれ、もう耐えられない」







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