暗中模索(2)
「職業ピエローズを辞めます、決断しました」
懺悔室から出ると清々しい気分だとサスケ・イッセイは思った。
がすぐにその気分は胡散霧消した。
相方のヒジカタ・ニセイが教会の机を弾いていた。
覚えのあるリズムだ。
「おい、教会だぞ、やめろ」
サスケ・イッセイが注意すると、笑みを浮かべながらいい知らせがあるといった。
「契約が決まった、遊び人の神になれるぞ」
相方は封筒をずいっと突き出してきた。
森の中を逃げ回っていた。
現実がやってきた。
黒い四つ足の動物が迫ってくる。
壁際に追い詰められた。
もうだめかと思ったとき、トラップが発動し、黒い四つ足は宙ぶらりんになった。
「グッジョブだ、イッセイ!見事な囮役だ」
「そりゃよかったよ、麻薬を返してくれ」
「君は自分が思っているより強い、それを証明してやる、3回欲しいと言ったら渡そう」
「なぜだ?絶対に渡さんといえばいいだろ」
「選択の自由は尊重したい、本能ではなく理性があるのがこのイノシシとの違いだ」
ドラッガー師はトラップにかかったイノシシの喉をナイフで割いた。
サスケ・イッセイは思わず顔をそむけた。
海岸ではガルマ主導のもと、発信源を突き止めるべく作戦を指示していた。
「スペル書のページを三枚とり、一枚ずつ、上空からみて三角形になるように置く、一枚目はこの海岸、二枚目は森の中、三枚目は高地だ、もしリピート音声の発生源が三角形の中だったなら発生源の位置が分かる」
モナカ・パピコとゲイルは頷いた。
「しかし、ページの効力は非常に小さいし、不安定だ、時間にして機能するのは1分程度かも」
「位置についた後、一斉に発動させると」
「しかし位置についた後、どうやって合図をする?」
ガルマは道具袋から何かを取り出して二人に渡した?
「花火?」
「拾ったものだ、みたらすぐ打ち上げて、三本上がったら発動させよう」
「互いの位置を知らせるスペル書があれば一番いいんだが」
「ねぇコソコソ集め回っているくせに一冊も持ってないの?」
モナカ・パピコはリクに責めるようにいった。
「イライラするな、レズと別れたせい?」
「もううんざり、寄生虫のように奪うだけの人」
「まあいいようだな」
「戻る理由がないから、帰りたくないのね、待ってくれている人はいない」
「同情かそれ」
「哀れんでるの」
リクはにやりと笑うとスペル書を取り出した。
サスケ・イッセイは洞窟の前で演奏の練習をしていた。
「ふう重いな」
「必要な分しか入れてないはずよ」
シン・ホマレとソウタが荷物を担いでいた。
「手伝おう、下積み時代は会場の機材を運んでいた、人が雇えなくて」
サスケ・イッセイは道具袋を持ち上げると、中身を全部ぶちまけてしまった。
すまんというと、まだ荷物があると二人は立ち上がった。
その隙にサスケ・イッセイは薬の箱を調べ始めていた。
「何してる?」
シン・ホマレが近づいてきた。
「いや、ちょっと頭が痛くて」
「これは抗うつ作用のある薬、頭痛薬としてはきつすぎるわ」
「そうなんだ」
「大丈夫、顔色が悪いわ」
シン・ホマレはサスケ・イッセイが汗だくなのが気になった。
「脱水症状かも、休んでて、手伝わなくてもいい」
記憶が蘇ってきた。
「お前が必要なんだよ、芸人の神になれる」
「言葉を慎めよ」
修道女が前を通り過ぎた。
誰もいない中庭に来ると、ニセイが説得し始めた。
「有名になれるぞ、そうなったら超大物の大スターってわけだ」
「俺は純粋に音楽をー」
「お前の作曲のおかげで俺は歌える、契約もできた、俺の成功の邪魔をしたいわけか?」
「ニセイ、そうじゃない、音楽は愛している、ただ自分が何者なのか見失いそうになる」
「俺が守ってやる、俺たちは兄弟じゃないか」
「俺がもう終わりと行ったら解散だ、ニセイ約束だ」
「解散する、お前はLv99の芸人の神だ」