第2話 『異世界に慣れたい』
3週間ほど経って、結構こっちの生活に慣れてきたと思う。
今日も、街の方に出て、異世界を見てこようと思う。
今日も、ステークストさんはついてきてくれるだろうか。
聞いてみるか。
寝室に来てみたが、ステークストさんはいなかった。
おっ!言っていなかったな。
今は、この街『アース大陸 アクト王国のリカリス領』にいて、そこで、宿を借り、住んでいる。
なんとこの宿、ステークストさんが全額出してくれているので、俺はタダで、宿を借りている。
ほんとに優しいお方だべ。ありがたやぁ。
でも、あの人は少し内気な人だと感じる。
誰かと話すときは、いつも目を離して話しているし。
表情も、あまり変えず、ずっとムッとした顔をしている。
人に慣れていないのだろうか。
お世話になっている分、少しは、あの人のお役に立ちたいものだな。
そんな優しいステークストさんは、どこにいるのだろうか。
あっ!そういえば、一昨日に『明後日の朝は、王都の方に行くから、朝は、宿にいろ』と言っていた。
この世界では、前の世界よりも、倫理観というものが欠けているらしい。
簡単に人殺しや強盗が行われているらしい。
きっと、それを心配して、1人で宿にいろと言ったのだろう。
もちろん、そんなことが起きないように、国は、街に兵を送ったり、法律を作ったりして対策をしているよだ。
しかし、その対策は虚しく、国の手の届かないところで、殺人や強盗があるらしい。
また、多くのは輩は、強盗をして、お金や金目のものを取ったら、襲った人間を拉致して、売るらしい。
人間売買だ。
襲ったのなら、最後まで、金をしゃぶり取ろうってことだ。
こんな話は、寒気がする。
そんなことは、置いておいて、俺は、外の世界を自由に歩いてみたいと思っている。
今までは、ステークストさんが一緒についてきてくれて、世話を焼いてくれていたが、言葉がわかるようになった今、自分がどれだけ、街の中で人の中に入り込めるか。
言い換えたら、自分には、もうこの世界を生きてくだけの力があるのか、とても気になっている。
ばれなければ、大丈夫だ。
そもそも、あの人が怒っているところなんて見たことがない。
大丈夫。
今は、朝の9時ごろだ。
ステークストさんが帰ってくるのが、昼頃ってことは、2時間くらいは、歩いて回れるんじゃないか。
じゃ、内緒で、ちょっくら行ってくるか。
黒髪は目立つから、以前ステークストさんにもらった帽子とこの世界のお服を着ていこう。
あと、ステークストさんのお金をちょっと借りていこっと。
これは、盗みじゃないぞ!
借りてるだけだ。ちゃんと返す。
さあ!出発だ!
ーーー
街は、いつも通りだった。
「へい!そこのかっこいいお兄ちゃん!買ってかないかい?」
ほら、俺はこの世界の言葉の一つである人語がわかるようになっているぞ。
どうや!
で何を売ってくれるのだろうか。
「何を売っているのですか?」
「へへへ、これを見な。」
そこには、おしゃれな入れ物に入った、液体が入っていた。
俺は、それがなんだか、わからなかった。
「これはなんですか?」
「これはな、すっごい薬だ。」
「どんな薬なんですか?」
「この薬を飲ませるとな、女でも男でもなんでも一つ、いうことを聞かせらる薬よ」
ほぅ、つーてっとなにかい?これはいわゆる媚薬ってやつかい?
「これは、媚薬なんですか?」
「いいや、使い方は、君次第さ。これは、相手を洗脳する薬だから、一般人にはなかなか手に入りにくい物なんだぜ?」
そんな薬、世の中に出て、本当に大丈夫なのだろうか。
でも魅力的だな。
ぜひ、欲しい。
これは、エロ目的じゃないぞ。
一応、将来、誰かに襲われてしまった時に、それをくぐり抜けるようにだ。
「買いましょう」
「お!さすが旦那!ついてるぜ」
よし、これでその辺にいる、、、、、ごっほん
「で?いくらですか?」
「金貨15枚だ」
「金貨15枚??」
いくらんなんでも、高すぎるじゃないか今の持ち金じゃ買えないや。
「なんだい、金がないのか?」
「すいません、今は、持ち合わせがないです」
「冷やかしか?買わないなら帰ってくれ」
いや、ちょっとひどくないかい?
あんたが呼び止めたんだろ。
確かに、お金は持ってないけど、もう少し優しくしてくれてもいいじゃないか。
もし、元の世界の日本って国だったら、ネットで炎上するかもしれないぞ?
「すいません、またの機会に買わせていただきます」
「おう!」
店主は、さっきまでの態度がなかったかのように、笑いながら言ってきた。
きっと、口が悪いだけで、優しい人なのだろう。
兄貴キャラみたいだな。
ちなみに、この国では、『金貨』『銀貨』『銅貨』が使われている。
日本円に直すと、
『金貨』=1万円
『銀貨』=1000円
『銅貨』=100円
ってところだ。
だから、あの媚薬は、15万円の値段ってことだ。高い!!
15万円あったら、元の世界で、一ヶ月は、生活できるだろう。
今、俺の手元にあるお金は、銀貨3枚だ。
しかし、このお金は、使わない方がいいだろう。
お金が減ってたら、外に行ったって。バレるかもしれない。
俺は、店をを離れて、また、歩いた。
すると、俺は、とても気になるところを見かけた。
装備をつけて剣をつけている人や、魔法の杖のようなものを持っている人が出入りしている建物だ。
きっと、あそこは、冒険者の溜まり場みたいなところだろう。
もしくは、酒場か。
見た目は、結構てきとうだ。マイ○ラでいう、豆腐建築だ。
俺は、その建物に入ってみることにした。
建物に入ると、建物の中にいた人のほとんどが、俺の方を向いてきた。
あれ、できるだけ、目立たないような服できたつもりなんだけどな。
いや、この建物の中には、多くの人が、装備をつけている。
今、俺が身につけている、『ザ・異世界』みたいな服を着ていても、周りが違ったら、そりゃ、おかしく見えるか。
陸上の大会で、サンダルを履いてくるようなもんだ。おかしいに決まってる。
しかし、みんな、俺の方に、一瞬視線を向けたが、すぐに視線を戻した。
俺、なんか、気にする相手じゃないってことかい?
まあいいか、違うところに行くか。
「何か御用ですか」
俺が帰ろうとしていると、店員のような女の子が声をかけてきた。
いや、それにしても、この子、おっぱい大きいな。
ハリウッド級ならぬ、異世界級だな。
そんなことは置いといて、
「いえ、今帰ろうとしていたところです」
「そうですか、またのご来店をお待ちしております」
「すいません、一つ質問をしてもいいですか?」
「もちろんです」
「ここは、どういったところなのですか?」
「ここは、冒険者が依頼を受ける依頼受付所です。ぞくに、『冒険者ギルド』と呼ばれています。ここで、冒険者は、魔物の討伐や、資源の採取、人の警備・護衛などの依頼を受け、その依頼を達成すると、その難易度に応じて、お金をもらいます」
なるほどな、だから、こんなに、眼光のするどい人たちが集まっているのか。
「また、冒険者になるには、冒険者登録が必要です。さらに、冒険者にはE〜Sランクがあり、それぞれのランク帯で、受けられる依頼が決まっており、規定の条件を満たすと、次のランクに上がることができます。」
「ありがとうございます」
冒険者か、、、とても面白そうだな。
「冒険者登録してしていきますか?5分ほどで完了しますよ」
登録するか、、、、どうしよっかな
『腹減ったな、なんか飯食いに行かねえか?』
不意に、後ろからそんな会話が聞こえてきた。
待て、何時だ、、、
「すいません、今何時ですか?」
「今は、11時ごろかと思います」
なんてことだ、外で遊びすぎた。
どうしようか、ステークストさんは、宿に戻る頃じゃないか。
まずい、非常にまずい。
「すいません、用事を思い出したので、今日は帰ります」
「そうですか。冒険者登録は、世界中どこでもできるので、冒険者になりたくなった時は、最寄りの冒険者ギルドに行ってください。登録の仕方も教えてもらえると思います。」
「親切に教えてくださり、どうもありがとうございます」
「いえ、これが仕事ですので」
「それでは、失礼します」
俺は、急いで、冒険者ギルドから出て、急いで帰ろうと走った。
5分くらい走っただろうか、、、
さて、、、、、、ここはどこだ。
うん、迷子だ。
どうしよう。
落ち着け。こんな時こそ、ゆっくり考えて行動しろ。
そうだ、俺は、言葉を話せる。
やっぱり、こういう時は、人に頼るべきだ。
「すいません、道に迷ってしまいまして、、、」
俺は、近くにいる男の人に聞いてみた。
「いいですよ、どこに行きたいのですか?』
どこ???????
わからない、宿の名前もその辺りの建物も。
宿に看板は立っていたが、まだ俺は、文字は読めない。
「いや、思い出しました」
「そうですか、それはよかった」
彼は、にこやかにそう言い、さっていった。
くそう、頼ろうにしても頼れない。
ほんと、宿から出なければよかったな。
とりあえず、歩こう。
1時間ほど歩いた。
きっとステークストさんは宿についているだろう。
でも、本当に、どうすればいいんだ。
さらにお腹も空いてきた。
そんなことを考えていると、とてもいい香りがしてきた。
スパイスの効いた、肉のような匂いがしてきた。
もう、俺のお腹は限界だ。
食べたい。食べたい。
「すいません、この肉をください」
「あいよ、銀貨1枚ね」
俺は、空腹に耐えきれず、お金をはらって、肉を買った。
肉は、串に、大きな肉が三つついていた。
すごくでかい。
俺は、それを勢いよく食らいついた。
「うめぇ」
匂いからわかっていたが、スパイスが効いていて、舌を心地よく刺激してくれる。
手と口が止まらない
うまい、うまい、うまい
煉獄○寿郎みたいになってしまった。
すごく美味しかった。
『ご馳走さまでした』
腹ごしらえもできたから、また歩こう。
7時間ほどたった。
まだ、迷っている。
てか、ここはどこだ。
いつの間にか、スラム街のような場所に来ている。
元の世界では、地図というものが普及していたので、わからなかったが、俺は、方向音痴らしい。
「おい、テメェ誰だ?」
迷っていると、俺と同い年くらいの6人組に絡まれた。
あぁ、最悪だ。
どうにかして、くぐり抜けたい。
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