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こちら魔族領魔王城前教会 ~このすばらしい異世界でゼロから始めるハウスダストクルセイダーズ~  作者: 名久井悟朗


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ガハハハッ!勝ったな!風呂入ってくるわっ!!



「これは絶景ね!!」

 涼花が見下ろす眼前では、魔王軍四万二千、聖教軍二万三千、総勢六万五千もの軍勢が相対しピリピリとした空気が渦巻いている。

 涼花とその指揮下の兵約五千は魔王軍の中央やや前方、小高い丘の上に布陣していた。

 陣営内には、陣幕の内側にテーブルや椅子のみならず、涼花お気に入りの黄金の湯船まで持ち込むという勝利を確信した余裕を見せていた。

 そんな緩んだ空気の中、カワサキは心配そうにオロオロとうろたえていた。

「センパ~イ、本当に大丈夫なんでしょうか?」

 涼花はそれとは正反対に余裕の表情でワインを飲み干して言った。

「バカね。数、質、戦場。あらゆる面でアタシ達が圧倒的に優勢なのよ?どこに負ける要因があるって言うのよ?」

 それでもカワサキは不安そうに物見台の上から、習った遠見の魔術で聖教軍を覗いた。

 聖教軍の陣営には、聖教の旗、諸侯の旗、そして、反涼花を示す白地に二股ポニーテールをバツで潰した旗が翻っている。

 その下では、数こそ魔王軍の半分程度でありながらもあまり疲れの見えな兵達が槍や剣を掲げ士気を高めあっていた。

「たしかに数はこちらが有利ですけど、結構元気に見えますよぉ?」

 カワサキは見たままの感想を言ったが、涼花は戦場すら見ずにそれを否定した。

「バカ言うんじゃないわよ。金に困っている聖教がアレだけの兵をこんな遠くまで寄越したのよ?長旅となれない土地、食事さえ満足に用意できてないはずよ。どっしり構えて持久戦に持ち込むだけで勝手に自壊するに決まってるわよ」

 涼花はワインを注いでいた親衛隊員に風呂の準備をするよう指示を出す。

「でもでも、本当に餓えてるようには見えませんよ?」

「貴族とか一部の兵だけよ」

 言われてカワサキは聖教軍の陣営中を見渡すが、何処にも餓えた兵は見られない。

「う~ん……あ、テレジアさん!?」

「ナニィィイィッッ!!?」

 カワサキの言葉に涼花は腰掛けていた椅子から飛び上がり敵陣に目を凝らした。

「何処よ!?何処にテレジアさんがいるの!!?」

「ほらあそこですよ……って、裸眼で見えるわけないj──」

「──あ、あれね!」

「見えてるし……相変わらずどんな視力してるんですか」

 呆れるカワサキの横で涼花はギリっと歯軋りをした。

「報告で討伐軍の総司令になったとは聞いていたけど、本当にいたし、それにあの様子、最前線で総司令自ら突っ込んでくる気じゃないわよね……」

 涼花は悪寒を感じブルっと身震いをする。

「しかし、いくらテレジアさんでも鉅鹿の戦いの項羽じゃあるまいし、倍近い兵力差をどうにかできるわけがないわ」

 不安そうに見つめるカワサキに涼花は自らをも説得するように言葉を続けた。

「テレジアさんの実力がどれほどかは知らないけど、一人で戦況を引っくり返せるわけでもなし、時が経てば不利な状況に脅えて脱走兵だって出てくるはずよ。勝敗は戦う前に決まっているもの。この戦いアタシ達に敗北はないわ!!」

 涼花が高笑いと共に勝利宣言をし、拳を掲げると周囲の親衛隊は歓声を上げた。

「「「おおーーーーっ!!!」」」

 歓声と手や武器で音を立てる親衛隊に涼花は更に気をよくする。

「ガハハハッ!そうよ!アタシ達は無敗の神の軍!勝利は常にアタシと共にあるのよ!!」

 涼花は上機嫌のまま向きを変え奥の陣幕へと向かう。

「どうしたんです?」

「もう勝ちは決まったようなものでしょ?ちょっとお風呂で汗を流してくるわ」

 機嫌よく風呂に向かう涼花の後姿を見ながらカワサキはため息をついた。

「はぁ……(何でそう死亡フラグを乱立させるのかなぁ)」

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