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第八十話 真夜中の夜に

 教会を出た俺達は自分達の宿へ向かっていた。

 結局、無差別殺人の犯人を特定することはできなかった。

 ロスティーナの檻を壊した犯人と同一人物だろうというところまで分かったんだがな。

 明日の昼には東へ向かう馬車が出るというし、俺達がやれるのはここまでだな。

 そういえば、ロスティーナはどこに行ったんだろうか。


「宿に戻ったら厨房を借りてご飯を作らないとね」


「ねえ、今日のご飯は?」


「う〜ん、今日はグラタンって食べ物を作ってみようかなって」


「ああ、グラタンか。いいね」


 どんな食べ物か知っているが味は知らないからな。

 楽しみだ。


「グラタンといえばここら辺の郷土料理でしたか」


「うん。せっかくだから作ってみたくて」


「いいじゃない。ソラは食べたことあるの?」


「えっ? いや、食べたことはないけど」


「それなのに知ってるなんて、あんたの知識は偏ってるわね」


「そんなことないだろう」


「早く帰ってご飯作ってあげるね」


 そんな会話をした後、俺達は自分達の宿へと戻った。




「それにしても無差別殺人の件といい、ロスティーナとかいう盗賊の脱走といい、今のクライシス神聖国は大変ね」


 部屋でゆったりしているとジブリエルがそんなことを言い出す。


「そうね。そういえば、教会で聞き回ってて本当に犯人は居なかったの?」


 シャーロットがベッドに寝っ転がりながらジブリエルへ質問する。


「ええ。正直、私はキリコが犯人かと思ってたんだけど、違ったみたい」


「どうしてキリコを疑ってたんだ?」


「だって、教皇という立場なら無理矢理ロスティーナを逃すことだってできた筈よ」


「そんな強引なことできるのか?」


「だって、教皇の言うことは絶対。あの本にそう書かれていたじゃない」


「ああ…」


 そういえばそんなこと書いてあったな。


「だからキリコをより注意して心の声を聞いてたんだけど、ハズレだったわ。ただの普通の信徒って感じだった」


「そう。それじゃあ後はヴァルキュリー達に任せるしかなさそうね」


「ええ」


 ヴァルキュリーか…。

 どうして彼女は突然襲ってきたんだろうか。


「なあ、どうしてヴァルキュリーはいきなり襲ってきたんだ?」


「彼女は怖かったのよ」


「怖かった?」


「自分の妹が殺人の犯人かもしれない。もし、本当に妹が犯人だったら自分が彼女を斬らなければならない。でも、そんなことできない」

「そんな自分の執行人としての立場と妹を家族として守りたいという気持ちがぐちゃぐちゃに混じり合ってた」


「……」


 彼女もどうすればいいのか迷っていたんだな。


「彼女の剣には迷いがありました。ですが、あのジブリエルに止められる最後の瞬間、それが消えた。彼女は妹を守る為に全てを捨てるつもりだったようです」


 そこまで覚悟してたのか。


「私が止めなかったら大変なことになってたんだから。感謝してよね」


「そうですね。感謝します」


 そう言ってヒルダは軽く頭を下げる。


「まあ、私達もヒルダに守ってもらったからお互い様かしら」


「剣士というのはみんなを守るものですよ。当然のことをしたまでです」


「ふふ〜ん。ありがとうね、ヒルダ」


 ジブリエルがニヤニヤしながら感謝の言葉を伝える。

 もしかしてお礼を言われてヒルダは嬉しいのか?

 俺も言っておくか。悪い気はしないだろう。


「俺も助かった、ありがとう」


「私も助かったわよ」


「まっ、まあ…また何かあったらわたくしが助けますよ…」


 感謝の言葉を伝えたられたヒルダが少し声を上擦らせながら言う。

 これがツンデレってやつか?




 それからユリアが作ったグラタンをみんなで食べた俺達は明日の出発の為に寝ようとしていたのだが、


「やっぱり問題があると思うの」


 シャーロットが言う。

 すると、


「でも、昨日話し合って決めたでしょ?」


 ジブリエルが返す。


「そうだけど。流石にまずいというか…」


 シャーロットが何をまずいと言っているのか。

 その原因は俺…というかヒカリというか。

 まあ、簡単な話、ヒカリが俺と一緒のベッドで寝ることになっている。


 野宿の時は近くに寝るだけだから特に問題にはならなかったんだが、宿に泊まるとなって初めて気が付いた。

 ヒカリは俺がベッドで眠ろうとすると自分のベッドではなく俺のベッドに入ろうとしてくる。

 ベッド同士の距離が離れてるからなのか、それとも単に不安に感じるからなのかは分からない。

 が、とにかくヒカリは俺と離れそうになると慌てた様子で近付いてくる。


 それでだ。

 昨日、ヒカリが俺のベッドに入ってきて少し問題になった。

 いくら機械とはいえ男と女が同じベッドで寝るのはいかがなものなのかと。


 これに俺は何も言えなかった。

 俺自身もそう思うからだ。

 流石に一緒のベッドは良くないだろう。

 でも、だからと言ってヒカリを突き放すこともできない。

 床で寝ようかとも思ったがせっかくベッドがあるのに使わないのも勿体無い。


 そこで、だったら一緒のベッドで寝ることにして、できるだけ俺とヒカリの距離を空けて寝ることでこの問題を解決しようといことになり現在に至るのだが、シャーロットはこれを良しと思わないらしい。

 まあ、気持ちは分かるんだが……。


「気持ちは分からなくもないけど仕方がないことだから…」


 ユリアが言う。


「ていうか、そんなに問題があると思うんだったらシャーロットがソラとヒカリの間に入って寝たら?」


「そんなことできる訳ないでしょ!? なんの解決にもなってないし、色々問題があるわよ!」


 シャーロットが揶揄うジブリエルに食い付く。


「あらそう? だったら諦めて大人しく眠ることね」


「えっ?! ちょっと?!」


 ジブリエルが眠りに就く。


「ではわたくしも眠りに就きます」


「ヒルダも?!」


「お、おやすみ〜」


「ユリアまで…もう! 分かったわよ!」


 そう言うとシャーロットは部屋の明かりを消して眠りに就いた。


「俺達も寝るか」


「……」


 そして俺とヒカリも眠りに就いた。




「っ……」


 どのぐらい眠っただろうか。

 分からないが誰かに体を触れられて起きた。

 寝ぼけながら周囲を見渡す。

 すると、


「しーーーー」


 俺達の部屋の真ん中に金槌を持ったキリコが不気味に笑いながら立っていた。

見てくれてありがとうございます。

気軽に感想や評価、ブックマーク等をして下さい。嬉しいので。

今週は連休があるので金、土、日、月曜日の四話投稿予定です。

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