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間話 ”水牢”と調査隊

 中央大陸のほぼ中心に聳える山脈、リバイロック。

 ここはドラゴンの巣窟として有名で滅多に人が寄り付かない。

 しかし、今ここに多くの人が訪れていた。


「どうだ? 何か分かったか?」


 銀色の鎧に身に付けた女性が一緒に来たセレナロイグ兵に聞く。


「いえ、ここからではまだ何も」


「そうか」


 彼女の名前はフィーベル。

 弓術が得意で金色の弓を背中に携えるエルフだ。

 そして、そんな彼女はセレナロイグの親衛隊隊長だ。

 そんな彼女がどうしてこんな離れた土地まで来ているのか。

 それは少し前に起こったドラゴン襲来事件が原因だ。


 ドラゴン襲来事件を簡単に説明すると、どこからかドラゴンが王都セレナロイグまでやってきて街を破壊。

 それを冒険者とセレナロイグの兵で鎮めたというものだ。


 その際、どうしてドラゴンがセレナロイグまで来たのかという原因調査と共に取り逃がしたドラゴンの行方の調査をする為、フィーベルを隊長とした調査隊を結成。

 冒険者も何名か加えて原因究明の為、ここリバイロックまで来たのだ。


「もう少しでこの山の頂上だ。上まで行けば何か分かるかもしれない」


「そうですね」


「そこまで行ったら今日は休憩にしよう。もうすぐ夜だ」


「分かりました」


「彼らにもそのように伝えてくれ」


「はい」




 それからフィーベル達調査隊は山の山頂で野宿をことに。

 少し平らな場所を見つけて何とか体を休められるようにする。


「フィーベル様。ここまで来ましたが周りにおかしな点はありませんでした」


「そうか…ここはリバイロックでいうならほぼ入り口みたいなもんだからな…」


 彼女達がいる山はリバイロックの中では一番標高が低く、危険も少ない。

 いくつかあるリバイロックの入り口の中で一番安全だと言われている。


「これ以上先はドラゴンとの遭遇も考えられるし、我々の調査もここまでか…」


「では、明日からセレナロイグへ帰還するということでいいですか?」


「そうだな。ここにくる道中で赤龍二体と蒼龍は討伐できた。危険はかなり減った筈だ」

「どうしてドラゴンがセレナロイグまできたのか、結局分からなかったが仕方がない。命の方が大事だ」


「分かりました。では、そのようになると皆に伝えます」


「ああ」


 それから少し時間が経ってみんなで食事をする時間がとられた。


「これはフィーベル様の分です」


「ああ、ありがとう。今日はシチューか」


 器に入ったシチューを見たフィーベルが嬉しそうな声音で言う。

 すると、


「フィーベル殿もこれからご飯ですか?」


 彼女に声を掛けたのはSランク冒険者のフォイだ。


「ああ、君達か」


 フィーベルは彼の後ろにいた同じくSランク冒険者のマルシラック、アッシュ、イルミナに目がいく。


「よかったらご飯を食べながら少し話でもどうですか?」


「おいおい、今度はフォイがナンパか?」


 と、アッシュがフォイを揶揄う。


「冗談はよせ。俺はマルシラックではない」


「俺の扱いが雑じゃねえか?」


「自業自得よ」


「……」


 ご飯を誘われたフィーベルは少し迷う。

 この仲のいい冒険者達の輪に私が入っていいのかと。

 しかし、彼女は滅多にないこの機会を逃すのは勿体無いと思い、


「では、一緒に食べましょうか」


 そう返事をした。




「では、フィーベル殿も昔は旅をしていたのですか?」


「まあ、楽しいものではなかったがな」


「私達も別に楽しいことばかりじゃないですよ」


「そうそう」


 一緒にご飯を食べながら話をするフィーベル達。


「冒険者ってのは常に危険と隣り合わせだからな。いつ仲間が死んでもおかしくない」


「そうだな」


「我々もそれなりに修羅場を乗り越えてきましたからね」


「冒険者成り立ての頃なんか何回死にかけたことか」


「そういえばその頃、魔物から逃げる時にイルミナが杖を落としたとか言って泣いたことがあったな」


「ああ、あれか。どうしよう、どうしようって泣きながら言うあの顔は忘れられないぜ」


「そんなことをいつまでも覚えてるな!!! もう…!」


 そう言ってイルミナがご飯をバクバク頬張る。


「ハハ。本当に君達は仲がいいな」


「それなりに長いからな」


「そうだな」


「そうか…」


 フィーベルはこの時、ハートと過ごした日々のことを思い出していた。

 フィーベルはよくハートに困らされて色々と苦労した。

 でも、それが今となっては恋しい。


「会いたいな…」


 フィーベルが夜空を見ながら小さく言葉を漏らす。


「そういえば、あのソラ達は元気でしょうか?」


「ソラ達か? そうだな…今頃はストライドに到着して、もうどこかに向かったんじゃないか?」


「唐突だな? あいつらが気になってんのか?」


「いや、まあな。あの青い炎。俺は見たことがない」


「確かにな。私も長いこと生きているが見たことがない」


「魔王の復活。謎の黒いモヤの生物。青い炎を使う少年。そして、空の亀裂。この世界で今、何かが起こっていると考えても不思議ではない」


「ふむ」


「考え過ぎじゃねえのか?」


「まあ、その可能性は大いにある。が、どうも俺には無関係のようには思えないんだ」


「またフォイの予感か?」


「まあな」


「でも、結構当たるのよね。フォイの勘って」


「私も何かが起きているのは間違いないと思う。それも私が生まれるよりもずっと前から続く何かが」


 と、その時、


「フィーベル様!」


 セレナロイグの兵士が慌てた様子で走ってきた。


「どうした?!」


「実は、ここより少し離れたところに気になるものがあるという報告が」


「気になる? なんだ?」


「それが、何かが燃えたような跡があるとのことで」


「……分かった。すまないが君達も手伝ってくれるか?」


 フィーベルがフォイ達に言う。

 すると、彼らは顔を合わせて頷くと、


「分かりました。お供します」


「助かるよ。兵士も数人連れて行く。他の者達はここで待機と伝えてくれ」


「はっ!」


「燃えたような跡か……」




 それからフィーベルはフォイ達とセレナロイグ兵数人と共に報告があった場所へと向かう。

 そこは野宿をしていた場所から少し離れた場所で隣の山を少し登ったところにあるらしい。


「もうすぐの筈です」


「分かった」


 セレナロイグ兵に案内されながらどんどん山を登っていくフィーベル達。

 すると、


「おお、フィーベル様! こちらです!」


 待っていたセレナロイグの兵士がフィーベルを呼ぶ。


「これなんですが…」


「これは…」


 そこには円形に何かが燃えたような黒い跡が残っていた。

 しかも、それが合計十四個ある。


「何かの儀式の跡のように見える…」


「これに心当たりでも?」


 フォイが聞く。


「いや。だが、これには特殊な魔力の使い方がされた痕跡がある。……もしかしたら、シャーロットが言っていた魔王の使い魔を召喚した場所はここかもしれない」


「魔王の…?! これが…?」


「あくまで予想だ」


 フィーベルは地面の黒い跡を見ながら言う。


「……」


 フィーベルは胸騒ぎがした。


「ここはまた明日、明るくなってから来よう」


「明日でいいのか?」


 マルシラックが聞く。


「明るい方が何かといいだろう」


「じゃあ、戻りましょうか」


「そうだな」


 それからフィーベル達は謎の黒い跡のある場所から離れて野営地へと戻ることに。




 しばらくして野営地へと戻ってきたフィーベル達。

 が、しかし、


「……どうして誰もいない…」


 残っていたセレナロイグ兵を始め、冒険者達も誰一人いない。


「な〜んかおかしいな…」


 マルシラックも異変を感じて警戒する。


「固まって歩きましょう」


「ああ」


 ということで、固まりながら誰もいない野営地を歩く。


「どうなってる…どうして誰もいない。物音一つすらない」


「火はついてるから場所はここで合ってる。でも、居る筈の人が誰一人いない。神隠しにでもあったか?」


「そんなわけないだろ」


「んなことは分かってるよ。そう思えるぐらい不可解ってことだ」


 フォイとマルシラックがそんな会話をする。


「それにしても、本当にみんなどこに行ったのかしら?」


「もしかしたら、ドラゴンが現れて逃げ出したとか?」


「う〜ん。その可能性も無くはないけど、それだったら誰か私達に伝えに来てもよくない?」


 と、アッシュとイルミナが話をする。


「そうだ…私達に誰も伝えに来ていないということは、それが出来なかったということだ。つまり、誰も逃げられない程一瞬で何かが起こった…」


 先頭を歩くフィーベルが考える。

 と、その時、フィーベルは異変に気が付いた。

 歩く足音が足りないことに。


 その瞬間、フィーベルは急いで後ろを振り向く。

 すると、フォイ達の後ろにいた筈のセレナロイグ兵が居なくなっていた。


「!? お前ら!? どこだ!」


「「「!?」」」


 彼女に言われて初めてセレナロイグ兵が居なくなったことに気が付いたフォイ達が周りを警戒する。


「今の今までいた筈なのに…」


 フィーベルが弓を構えながら警戒する。


「ねえ、これって…」


「ああ。なんかヤベェぞ…」


「ドラゴンではないのは確かだな」


「警戒しろ」


 フォイ達はお互いに背中を合わせながら辺りを見る。


「何か…何か異変は…」


 フィーベルが周りを注意深く観察する。

 と、地面の一箇所が湿っていることに気が付く。


「アレは…?」


 弓矢を引きながら近付く。


「濡れている…」


 不思議に思いながらその場所を見つめるフィーベル。


「!!!」


 彼女は自分の上の方から聞こえた些細な音に気が付き上を向く。


「バカな…?!」


 自分達の頭上の空中に人の入った水の球が浮いていた。


「これは!?」


「どうなってる?!」


 と、その瞬間、


「危ない!」


「きゃっ!」


 アッシュがイルミナを突き飛ばした。

 そのことに気が付きみんなが一斉にアッシュの方を見る。

 すると、そこには水の球の中に閉じ込められたアッシュの姿があった。


「んだこれ?! 逃げ出せん!」


 アッシュが水の中で踠くが逃げれる気配はない。


「おいおい、なんだよこれ!?」


「分からないが下手に触らない方がいいだろう」


「でも…!」


「もしかしてこれは…」


 と、その時、


「できるだけ暴れん方がええぞ」


 フィーベル達から少し離れたところから聞こえる声にみんなが振り向く。

 すると、そこには四足歩行の黒いモヤに覆われた何かがいた。


「やはり……」


 フィーベルは弓矢を強く引く。


「暴れるだけあの世に近付くだけじゃ」


 声は年老いた老人のような声だ。

 が、その声には不思議と警戒心が生まれる。

 それはこの声に貫禄を感じるからなのかもしれない。


「しかし、まさかこんなところで…」


 何かを喋ろうとした時、フィーベルが弓矢を放った。

 すると、四足歩行だった見た目がただの岩のようになる。


「全く…危ないの…ワシの甲羅は貫通しないようじゃな」


 そう言ってまた四足歩行の姿へと戻る。


「お前、魔王の使い魔だな?」


「いかにも。ワシは魔王様の使い魔、”水牢”のブルー・トータスじゃ。お前はセレナロイグでサニーと戦っておった弓使いじゃな?」


「私を知っているのか」


「情報は共有されると思った方がええぞ。ワシらはその為に召喚されとるからの」


「ねえ…あれ…」


「ああ…強いぞ」


「まずはアッシュをどうにかしたいが…」


「お前らは一体何をしようとしている」


「ふむ。ワシらはあくまで情報を集めとるだけじゃ。全ては魔王様が決めること。ワシらはそれに従うだけじゃ」


「では、魔王は何をしようとしている?」


「今は完全に復活しようとしているようじゃの。あの状態では魔王様でも完全に復活はできないようじゃ。まあ、無理もないがの」


「……お前はここで死んでもらう」


「ホッホっ。それは怖いのお〜。じゃが、ワシらは死なんよ。一度消えるだけじゃ」


「それで十分。お前らの好きなようにはさせない」


「では、そろそろ始めるとしようかの。でも、よいのか? ワシが消えれば上の者達は地面に落とされるぞ?」


「っ…! こいつ!」


 フィーベルが弓矢を放つ。

 それをトータスはさっきと同様自分の殻に篭って防ぐ。


「『雨鮫』」


 トータスが作った水の塊が上へ登っていき、そして、破裂した。

 すると、破裂してできた水飛沫が生きた鮫のように動き出す。


「ヤバい! 防御しろ! 『マジックバリア!』」


「『マジックバリア!』」


 フィーベルは自分で防御魔法を。

 フォイ達はイルミナが防御魔法を使って大小様々な水の鮫を防ぐ。


「なかなか勘が鋭いの。それともその弓術で鍛えた目がいいのかの」


「どっちもかな」


「クソ…とりあえず接近するぞ!」


 そう言ってマルシラックが走り出す。


「元気がいいのう。『打ち水』」


 トータスの周りに水のシャボン玉が現れる。


「このぐらい…!」


 マルシラックがそれを器用に躱しながらトータスへ近付く。

 と、その瞬間、浮かんでいたシャボン玉が一斉に破裂した。


「ぐっ…?!」


 弾けた水が物凄い勢いでマルシラックに突き刺さる。


「水を躱すのは骨が折れるぞ?」


「…そうみたいだな」


 血を流しながらもニヤリと笑うマルシラック。

 と、その時、アッシュを捉えていた水の球が凍った。

 そして、ヒビが入ると氷が割れる。


「はあ…はあ…やっと……出てこれたぜ…」


「ほう…随分と無茶をするの」


 トータスが関心した声を漏らす。


「戦えそうか?」


「任せとけ…」


 そう言ってアッシュが拳を合わせる。


「フィーベル殿。ここは一緒に協力しましょう」


「分かった」


「俺とアッシュが先頭であいつを攻撃します。イルミナとフィーベル殿は後方から援護を。マルシラックはその護衛だ」


「分かった」


「了解」


 それからすぐに陣形を組んでトータスと対峙する。


「いつでも人族は手を組んで敵へ挑む。その心意気はワシも好みじゃ。じゃが、ワシも手を抜くわけにもいかんのでな。ここからは今できる限り本気で相手しよう」


 言われてフィーベル達は警戒する。


「『ポセイドン』」


 そう言うとトータスの周りから大量の水が津波のように高い壁になって全方位に放たれた。


「おいおい、マジかよ?!」


「凄まじい魔力だ」


「どうすんのよ!?」


「俺に任せろ!」


 そう言うとアッシュが一歩前へ出る。

 そして、


「『拳心流、『氷狼!!!』」


 アッシュが冷気を帯びた拳を迫ってくる水に打ち付ける。

 すると、アッシュの拳に触れた部分から物凄い勢いで水が氷になっていく。

 そして、この水を出しているトータスの近くまで凍らせると狼の顔のようになった氷がトータスを飲み込んだ。


「ふう……流石に疲れるな…」


「やったわね」


「いや…まだだ」


 安堵するイルミナにフィーベルがそう言うと、


「まさかワシごと凍らせるとはな。恐れ入った」


 氷を砕いたトータスが元気そうに言う。


「そんな…」


「どうする? あいつ、やれんのか?」


「やるしかないんだ」


「どうやらワシとお前さんは相性が悪いようじゃな」


「それはよかった」


 グローブを直しながらアッシュが言う。


「レミーじゃあるまいに。まあ、よい。そろそろ時間じゃろ」


 そう言って空を見上げるトータス。


「っ…!? 急がないと彼らの命が…」


 フィーベルが苦渋の表情を浮かべる。


「どうにかして早く決着をつけなければ…」


「でも、どうすんのよ?」


「俺達じゃあ近付くのも一苦労だ…」


「ここは俺がなんとかするしか…」


 と、アッシュが拳を合わせてやる気になっていると、


「私がやる」


 フィーベルが弓を構えて言う。


「ですが、どうやって?」


「時間を稼いで、できる限り奴の動きを止めてくれ」


「…分かりました」


 フォイはフィーベルから感じた覚悟を信じることにした。


「アッシュ、マルシラックは俺と一緒に奴の動きを止めるぞ。イルミナはフィーベル殿を守ってあげてくれ」


「うん」


「それじゃあ、行くぞ!」


「おお!」


「ああ!」


 それからフォイ、アッシュ、マルシラックが一斉にトータスに向かうって走り出す。


「何をするか分からんが思い通りにはさせんぞ『天泣』」


「…!?」


「なんだこれ…?!」


 ここら一帯に全方位から水の銃弾が飛ぶ。


「躱しきれない…!」


「『ハイネス・マジックバリア』」


 フィーベルとイルミナは防御魔法でこの攻撃を防ぐ。

 が、ただ喰らうしかないフォイとアッシュとマルシラック。


「雨でも降れば楽に殺してやるんじゃがな…」


「このままじゃいつかやられる…こうなったら攻めるぞ!」


「…!!! 『一点突き』」


 マルシラックが物凄い速さでトータスの顔目掛けて突進する。


「!?」


 トータスは迫ってくるマルシラックの槍を殻に篭って防ぐ。

 と、マルシラックの槍が甲羅に当たって弾かれる。


「『アイスクラッシュ!』」


 アッシュがすかさずトータスの甲羅へ攻撃する。

 すると、トータスが濡れていたからが全身を凍らせた。

 しかし、一瞬でそれの状態から脱出。


「『アクア…』」


 トータスが何か攻撃をしようとする。

 が、フォイが剣を振り下ろそうとしていた為それを止めて再び殻に籠る。

 と、その時、


「もう大丈夫だ!」


 フィーベルがトータスに狙いを定めて弓を構える。


「これは?」


「なんの魔法だ?」


 彼女の弓矢は白い光を放っていた。

 それもそのはず。この弓矢は魔力で作った弓矢だからだ。


「これで終わりだ。『シューティング…』」


 フィーベルの金の弓に白い光の矢が引かれて今放たれようという瞬間、トータスの甲羅にヒビが入り、そして、割れた。


「アレは受け切れんな…」


 物凄い速さで離れていくトータス。

 今までの見た目から想像できないほど機敏な動きだ。

 が、しかし、


「『スター!』」


 フィーベルが光の矢を放った。

 その瞬間、目に見えない速さでトータスに向かっていき、そして、逃げるトータスの体を貫通した。


「っ…!? ここまでか…」


 そう言うとトータスは跡形もなくどこかへ消えた。


「ふう…」


 フィーベルが構えていた弓を下ろす。

 と、


「おい! みんなが落ちてるぞ!!!」


「!?」


 少し明るくなってきた空を見ると、水の球が割れてセレナロイグの兵士や冒険者達が地面に向かって落ちていた。

 誰も何も言わないのは意識がないからだろう。


「イルミナ! 風魔法だ!」


「「『サイクロン!』」」


 イルミナとフィーベルが怪我をしないように手加減をして風魔法で落ちてくる人の勢いを殺す。


「急いで処置をするぞ! まだ死んでいないかもしれない!」


「おお!」


「分かってる!」


 それからフィーベル達は応急処置に追われたのだった。

見てくれてありがとうございます。

気軽に感想や評価、ブックマーク等をして下さい。嬉しいので。

この話で一旦投稿を休みます。

七月五日の金曜日から再開する予定なのでよろしくお願いします。

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