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その魔女に祝福を  作者: 晴海翼
第二部:第三章 オリハルコン争奪戦
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255.去る前に確かめたいこと

 長きに亘る魔狼族と鬼族(オーガ)の諍い。

 かつて、意味のない争いだと声を上げた者が居た。

 弱が故に、高い志を持った男。彼に惹かれる、魔狼が居た。

 彼らが成就できなかった願いは、時を経て叶えられる。

 たった一人の忘形見から、紡がれた男によって。


 そして、現在。

 その男は、困り果てて眉を下げていた。


「お主らのその距離感は、なんなのだ……」


 円陣の如く並ぶ魔狼族と鬼族(オーガ)

 対等であり、和解の証になるはず……。だったのだが、とある部分にぽっかりと空白(スペース)が出来ている。


 魔狼族と、鬼族(オーガ)の境目だ。

 そのせいで、反対側の境目に座っているレイバーンが中心のようになってしまっていた。

 

 溶岩に飲み込まれてしまった鬼族(オーガ)の城は、再び住めるようになるまでどれだけの時間を必要とするか分からない。


 その間、鬼族(オーガ)は魔狼族の住まう洞窟の外で居を構える。

 近隣の種族から略奪をしない為にも、レイバーンが望んだ事でもあった。

 そこまではトントン拍子に決まったのだが。


「いやぁ、まだなんつうか。照れくさいっていうかよ……」


 全員の気持ちを代弁するのは、カスピオ。

 先日はハイになっていたが、時間が経つにつれ冷静さを取り戻してきた。

 喧嘩にこそ発展しないが、どこかよそよそしい。


「気持ちは分からないでもないのだが……」


 レイバーンもある程度、彼らの心境は理解できる。

 これまでの彼らの歴史を振り返れば、すぐに手を取り合って仲良くするのは難しい。

 だが、このままでいいという訳ではない。なんとかこの場で、互いの距離を縮めてやりたいと彼は考えている。


 レイバーンの思惑とは裏腹に、全員の視線が泳いでいる最中。

 大柄な魔狼と鬼族(オーガ)には似つかわしくない小柄で可憐な少女が現れる。


「あれ? 私はここに座ればいいの?」


 ぽっかりと空いた空白(スペース)に、ちょこんとリタが腰を落とす。

 内心ではレイバーンの隣。出来れば膝の上にでも良かったのだが、正面も悪くはないなどと考えていた瞬間だった。


「姐さん! お疲れ様です!」


 洞窟内に響き渡るのは魔狼族の遠吠えにもにた叫びと、鬼族(オーガ)の野太い声。

 次々とリタを「姐さん」と言っては、彼女を立てようと躍起になる。


「ちょ、ちょっと! 姐さんはやめてってば!」


 ブンブンと手を振るリタだが、魔狼族も鬼族(オーガ)も一向に言う事を聞き入れてはくれない。

 決して嫌がらせの類ではなく、どちらもリタに敬意を示しているが故の事である。だからこそ、リタも困っている。

 

 ……*

 

 発端は魔狼族と鬼族(オーガ)が手を取り合い、溶岩から身を護った直後にまで遡る。

 今回の一件で、重軽傷者を双方で数多く出してしまった。両者ともに魔力は有しているが、魔術は扱えない。

 そんな中、リタだけが重傷者を優先して懸命に治癒魔術を唱え続けていた。

 自身も妖精王の神弓(リインフォース)で魔力を限界ギリギリまで使ったにも関わらず、他者の命を優先した。


 治療を終えると同時に、魔力が枯渇したリタは意識を失う。

 彼女の尽力もあって、魔狼族と鬼族(オーガ)はすぐにその活気を取り戻しつつあった。

 ただのひとつの誤算を残して。

 

 目を覚ましたリタは、自分を取り巻く環境が大きく変わっている事に気が付いた。

 いつの間にか魔狼族と鬼族(オーガ)の双方から、一目置かれるようになったのだ。


 治療こそ行ったが、何やら様子がおかしい。

 感謝の言葉は解る。尊敬の念も、まあ受け入れられる。時々発生する、畏怖の念だけが理解できなかった。


 一体何が起きたのかと、彼女はレイバーンに問う。

 魔獣族の王は分厚い胸板を拳で叩きながら、屈託のない笑顔で答えた。


「なに、リタの活躍を話したまでだ!」


 リタの活躍。それはあの薄気味悪い『強欲』(マモン)を相手に、己の全身全霊を籠めた矢で貫いたという出来事。

 魔狼族も鬼族(オーガ)も、得体の知れない化物の存在は知っている。

 自分よりもはるかに小さな少女が、怯む事なくあんな化物を相手へ強烈な一撃を入れた。

 これまで力で相手を屈服させようとしてきた両者にとって、リタは敬意を表するべき相手となった瞬間だった。


「それ、私だけでやったわけじゃないじゃん!

 みんなもちゃんと私の話を聞いてよ!」


 決して自分だけの手柄ではないと主張するリタ。

 しかし、神器の継承者であり魔術に長けている。おまけに邪神へ痛烈な一撃を与えた。

 極めつけは、魔狼族にとっては獣魔王の神爪(レイシングスラスト)を差し出した時の立ち回りが記憶に新しい。

 胆力までもあると、認められてしまっていた。彼女の意思とは裏腹に、魔狼族と鬼族(オーガ)に認められた瞬間でもあった。


 ……*


「でもさぁ、結局はカシラの奥さんになるわけでしょ? だったら、姐さんで問題ないじゃないスか」

「おっ……」


 何気なく発した鬼族(オーガ)の一言に、リタが頬を紅潮させる。

 満更でもないけれど、互いに立場があるのでそういう話題を口に出した事は無い。

 一体彼は、どう答えるのだろうか。もじもじと身をくねらせながら、リタは正面に居る愛する男性(レイバーン)へ視線をやった。


「待つのだ。余はお主らの王になるつもりはないぞ。王と認めなくて良いと、言ったであろう」

(そっちかー……)


 『カシラ』という単語に反応したレイバーンが、手を上げて否定をする。

 どよめきが起きる鬼族(オーガ)に隠れて、頬を膨らませるリタ。


「でもよ、魔狼族(オレら)鬼族(コイツら)も、神器を王の証として扱ってきたんだよ。

 ま、何の因果かお互いが偽物に踊らされてたみたいだけどよ」

「……フン」


 カスピオの言葉に耳が痛いのか、ヴォルクはそっと耳を閉じて顔を逸らす。

 尤も、魔狼族も既に怒りの矛先を銀狼(ヴォルク)黒狼(リュコス)へは向けていない。

 形はどうあれ、彼らも魔狼族を護っていた事には変わりがない。そう気付いた以上、追及はしなかった。


「そんで、魔狼族(オレら)鬼族(コイツら)も思っちまったってわけよ。

 例え混ざり者だとしてもだ。王として相応しいのは、やっぱりお前さんだって」

 

 魔狼族と鬼族(オーガ)は、彼の振舞をその眼に焼き付けていた。

 他種族にも分け隔てなく接するレイバーンの姿を。心優しい、獣人の姿を。

 こうやって手を取り合うようになったからこそ、魔狼族と鬼族(オーガ)はレイバーンを正しく見極める事が出来た。


「なぁ、レイバーンよ。クスタリム渓谷(ここ)に残って、オレたちを導いてはくれねぇか?」


 リタは下唇をきゅっと噛んだ。反射的に否定しそうになったのを、堪える。

 勿論、この場に留まって欲しい訳ではない。けれど、魔狼族と鬼族(オーガ)が彼の祖先である事には違いない。

 どう受け止めて、どう決断するかは彼が決めるべきだ。自分の感情が、彼の意志の妨げになってはいけない。


(レイバーン……。やだよ……)


 レイバーンは沈黙している。

 恐らく、数秒にも満たないのだろう。けれど、その数秒がリタにとっては息苦しく感じた。


「お主らの気持ちは、よく分かった」


 顔を上げ、胡坐をかいた膝をパンと叩くレイバーン。

 その眼には、一切の揺らぎがない。彼の中では、はっきりと答えが決まっていた。


「だが、余はこの地には留まれぬのだ」


 どよめきが場を支配する。

 互いの顔を見合わせ、そして次にレイバーンの顔を見る。


「オレたちが最初は認めなかったからか? あの時は悪かった。オレらも考えを改めたんだ。だから――」

「そういうわけではないのだ」


 両者を代表して必至に引き留めようとするカスピオを、レイバーンが宥める。

 腰を据えてゆっくりと、彼は語り始める。決して、魔狼族と鬼族(オーガ)が理由ではないと。


「余はこれでも魔獣や獣人を束ねている立場でな。長年余を慕ってくれている者を、無下には出来ぬ。

 それにだな、妖精族(エルフ)と魔獣族が中心となって様々な種族で共同生活をしておるのだ。

 人間や小人族(ドワーフ)も居る。ここへ訪れた者は、皆が余の家族みたいなものだ」


 レイバーンの話に、魔狼族と鬼族(オーガ)は耳を傾ける。

 決してその場しのぎの言葉ではないと判っているからこそ、聞き漏らしてはいけないと悟っていた。


「勿論、お主たちの存在を軽んじているわけではない。

 けれど、余の居場所はクスタリム渓谷ではなく、アルフヘイムの森なのだ。

 これまでも、これからも」

「レイバーン……」


 リタは両手で、口元を隠した。嬉しくて堪らなかった。

 これからも一緒に居られるという事も、居住特区の皆を大切に想ってくれている事も。


「この場に留まれぬ余が、王を名乗っていいはずがない。

 お主らを纏め上げる者は、謹んで辞退させてもらう。余の我儘で、申し訳ないとは思っているがな」

「そうか……。まぁ、そうだよな。お前さんにだって、これまで積み上げて来たものがあるもんな」


 残念そうにカスピオが呟くと、他の者も納得をした。


「ただ、それでも余はお主たちに逢えたことを幸運だと思っている。

 もしも困ったことがあるのなら、いつでもアルフヘイムの森を訪れるが良い。いつでも力になろう。

 余も、お主らの力を借りるやもしれん。魔硬金属(オリハルコン)を、たくさん作る必要があるかもしれぬからな」

「ははっ。そういうことなら、いつでも顔を出してくれや」

「うむ! 感謝するぞ!」


 互いが顔を見合わせると、どっと笑顔が溢れた。

 それから先は、どうやって代表者を決めるか。同じ過ちを繰り返さない為にはどうすればいいか。

 魔狼族と鬼族(オーガ)の未来に向けた話が続いていく。


 リタとレイバーンは、居住特区で起きた事などを参考に両者へ提案をする。

 全てをそのまま受け入れる事は難しいが、参考になると食い入るように彼らは耳を傾ける。


 この心根の優しい者達が切り拓いた道は、遠く離れた地でも花を咲かせようとしていた。


 ……*


 ギルレッグは小人族(ドワーフ)の長老と共に、地底湖を訪れていた。


「……悪い、長老。頼まれてくれ」


 王の願いに、長老はゆっくりと頷く。

 彼にはどうしてもひとつ確かめたい事がある。

 その為に、長老へ土の精霊(ノーム)の依代となるよう頼んでいた。


「――初めまして、かな」


 クスタリム渓谷で暮らす土の精霊(ノーム)が、柔らかく微笑む。

 普段会話をしている土の精霊(ノーム)とは違う個体であるが、情報は共有しているのだろうか。

 自分の考えが、見透かされているような気がした。


土の精霊(ノーム)。すまねぇ、ひとつ訊かせてくれ」

「この地に残った小人族(ドワーフ)の最期。だね?」

「……ああ」


 やはり見透かされていたと驚くギルレッグだったが、拳を握り締めた上で強く頷いた。

 偽物の獣魔王の神爪(レイシングスラスト)に刻まれていた言葉(メッセージ)が、ずっと脳裏にこびりついている。

 魔狼族に殺されたと思い込んでいたが、本当は違うのではないか。それとも、そう思い込みたいだけなのか。

 はっきりとした答えを、ギルレッグは求めていた。


「初めに言っておくと、この地に残った小人族(ドワーフ)は魔狼族に殺されていない。

 彼らの最期は、病気だった」


 土の精霊(ノーム)は前置きなど一切なく、ギルレッグの求めていたものを伝えた。

 その上で、小人族(ドワーフ)と魔狼族の間に何があったかを補足する。


「魔狼族が神器を失った日、偶然にも小人族(ドワーフ)は彼らによって発見された。

 既に鬼族(オーガ)との争いは幾度となく繰り返され、戦闘力に長けない小人族(ドワーフ)は怯えながら身を隠していたんだ。

 そんな折に、魔狼族がある提案をしたんだ」

「……神器の偽物を、造れってか」


 土の精霊(ノーム)は真っ白な髭を、大きく縦に動かして肯定をする。


「そう。魔狼族が出した条件は、こうだ。『地底湖なら滅多に見られないから、そこで暮らせばいい』と。

 初めは疑っていた小人族(ドワーフ)も、見つかってしまった以上は受け入れざるを得なかった。

 結果、この山で採れた材料によって、偽物の神器が造られた」

「造った後、その小人族(ドワーフ)はどうなったんだ……?」

地底湖(ここ)の小さな洞穴で、隠れながら住んでいたよ。

 頼み込んだ銀狼や黒狼は、むしろ彼らの存在に気取られぬよう必死だったさ。

 神器が偽物と知られる事を恐れたのもあるだろうけど、それ以上に約束を反故にはしたくなかったんだろうね」


 土の精霊(ノーム)は「これは予測だけど」と付け加えた上で、こうも言った。

 銀狼が相手を凍てつかせる氷の魔力を、黒狼が大地を操る咆哮を放つのも、元々は小人族(ドワーフ)を隠す目的だろうと。

 天候を、地形を変える程の魔力を使えば注意を引き付けられる。その分、小人族(ドワーフ)が気付かれる心配は減っていく。

 そんな狙いが、あったのではないかと。


「尤も、彼らは小人族(ドワーフ)より寿命が短い。

 この地に住んだ小人族(ドワーフ)が歳を取り病に伏せた頃には、既に他界している。

 決して漏れないように、子孫にも黙っていた。その点をどう受け取るかは、君次第ではあるけれど」


 ギルレッグは、口を真一文字に結んでいる。

 白銀の爪に刻まれた文字から、小人族(ドワーフ)は自分を見つけた魔狼に感謝をしている。

 魔硬金属(オリハルコン)を用いて完璧な武器を造り上げたのも、職人の矜持(プライド)だけではないのだろう。

 ひとしきり考えた後、ギルレッグはゆっくりと口を開いた。


「……そうか。恨みつらみを持って死んだわけじゃねぇんだな。

 ありがとよ、土の精霊(ノーム)。それが知れただけでも、助かる」


 病に伏せてしまった事は仕方がない。

 移住の際に最も苦しんだのは病だったと、長老も語っていた。


「結局、ワシの逆怨みだったってわけだな。情けねぇ」


 自嘲気味に嗤うギルレッグを、土の精霊(ノーム)が諫める。


「そうは言っても、争いに巻き込まれて移住することとなったんだ。

 君が怒りを覚えるのも、あながち間違いではない。ただ、色々な事情が絡み合ったにすぎない」

「……あんがとよ」


 苦笑するギルレッグの頭に、そっと手が置かれる。

 彼を宥めるように頭を撫で、土の精霊(ノーム)はその身を長老へと返した。


「長老も、あんがとよ。色んなことが知れて、なんだかスッキリしたぜ」

「王様……」

 

 ギルレッグが白い歯を見せると、長老はほっと胸を撫で下ろす。

 かつて神器を複製した小人族(ドワーフ)は、一部ではあるが確かに魔狼族と共存していた。

 自分達が今、居住特区に居るように。


 同じような道を歩んでいるという事に、ギルレッグは頬を緩ませていた。


 ……*


 カンカンと鉱石を砕いていく音が鳴り響く。

 鉱石や魔石を砕いては鞄に詰め、少しずつ洞窟の奥へと進んでいくシンとフェリー。


「ねぇ、シン。ホントにだいじょぶなの?」


 頬を膨らませながらも、シンの心配をするフェリー。

 先の戦いで彼はあちこちに傷を負ったにも関わらず、鉱石の発掘に精を出している。


「大丈夫だ。今回は骨が折れたわけでもない」

「……そんなにたくさん、ケガしないでよ」


 確かに浮遊島での戦いよりは傷は浅く終わったと思う。

 けれど、背中が抉られたり細かい裂傷が身体中についていたり。とても軽傷とは言えない。

 血だって、本人が想っているより沢山出ていた。どれだけ包帯をきつく締め上げても、赤く滲む事に戦慄した。

 今行っている採掘だって、フェリーは独りでやろうとしていたぐらいだった。


 時折言葉に詰まりながら、採掘を続けていく二人。

 微妙な空気が流れる中で口を開いたのは、シンだった。

 

 理由を話さない限り彼女は納得をしないだろう。

 シンは、怪我を圧して採掘をする理由をフェリーへと伝えた。

 

「……リタから聞いたんだ」

「リタちゃんから?」


 フェリーは小首を傾げる。

 どうして、リタの名前が出てくるのか。どうして、シンは少し照れているのだろうかと。

 

「フェリーが、一緒に採掘へ行けるのを喜んでたって」

「あ……」


 確かに、妖精族(エルフ)の里を出る前にリタへは話していた。

 大層ご機嫌で、ずっとにこやかな笑顔。フェリーにとって、夢だった事のひとつ。


「言った……けど。でも、シンの身体のほうが心配だもん!

 あんまり、ムリはしなくていいよ……」


 フェリーは眉を下げて、シンの身を案じた。

 自分の為に無理をするシンを見たくはない。


「いや、無理をしているわけじゃない。俺も、フェリーと同じだったってだけだ」

「あたしと?」


 フェリーはまたも小首を傾げる。今度は、眉間に皺が刻まれている。

 シンは決して、リタにフェリーと採掘に赴く事を懇願された訳ではない。

 けれど、シンはフェリーと共にいる事を選んだ。彼自身の願いでも、あったから。


「ああ。いつかはフェリーとこうやって採掘をしたいと思っていた。

 ……昔は連れていけなかったから、余計にな」


 フェリーから眉間に刻んだ皺が解ける。

 代わりに、ぽっかりと開いたのは碧い眼と大きな口。

 瞳に灯る光は、目いっぱいの喜びを映し出していた。


 同じだった。シンも、自分と一緒にこうやって、誰かの依頼を請けたいと思っていてくれた。

 誰からじゃなくて、シン自身が言ってくれた事が嬉しくて堪らなかった。

 

「じゃあ、あたしといっしょだ!」

「ああ、そうだな」


 肯定するように頷くシンを見て、フェリーはまた嬉しさが込み上げてきた。

 満面の笑みがまるで光のように、洞窟の中を照らしているようだった。

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