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その魔女に祝福を  作者: 晴海翼
第一部:第一章 その魔女、不老不死につき

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10.一日の終わり

 シンが地下牢への入り口を開けると、緊張感がその場を支配した。

 牢屋には五人の女性と簀巻きになっている何かの姿が確認できる。

 恐らく、簀巻き(あれ)が賞金首だろう。


 突然現れた男に対して女性達は警戒心を露わにし、目を合わせようともしない。

 シンとしても、気まずい空気が流れる。


「俺は怪しいものじゃない」

「……」


 誰ひとり、シンの言葉に反応する者は居なかった。

 自分で「怪しくない」と言っている人間が胡散臭いのはその通りだが……。

 

「ええと、フェリーって言う女に言われてあんた達を迎えに来たんだ。

 腰まで掛かった金髪の――」


 このままではいけないと、フェリーの特徴を簡単に伝えていく。

 彼女達はじっと選別するように聞き入ると、ようやく視線をシンの方へ向けた。

 どうやら、信用はされたらしい。

 

 牢の扉が開き、女性達がシンへと集まる。

 

(牢、開いていたのか……)


 牢をどうやって開けようかと考えていたのだが、杞憂に終わる。

 

「あの女の子はどうなったんですか?」

「無事なんですか!?」


 フェリーの安否を尋ねて、五人がシンへと近付く。

 自分の事も大変だっただろうに、心根のいい人達だと感じた。


「あいつなら大丈夫だ」


 のだが、シンは少し状況に困っていた。

 目を逸らしながら彼女達に応える。

 

 彼女達はどうやら服も満足に着ていないらしく、薄い布で自らの身を覆っている。

 そのせいでボディラインがはっきりと分かってしまい、目のやり場に困る。


 思い返せばこの部屋に入った時も不審者というよりは男に対して警戒している節があった。

 それだけで何が起きていたのか察するものがある。

 

 庭先に居た怪物や、館中に転がる死体等の事もあり、凄惨な状況は多少なりとも覚悟していた。

 しかし、まさかこういう状況だと思っていなかった。

 彼女達をどう扱えばいいのか、非常に困る。フェリーはいつも一言足りない。


「……この外には、正直あまり見ない方が良いものも転がっている。

 それでも、いいか?」

 

 シンは唯一牢から出てこなかった簀巻き(ゴッドー)を拾い上げ、彼女達に問う。

 顔面が腫れ上がってきちんと顔は認識できないが、恐らくこれが賞金首だろう。


「村に帰れるのなら、大丈夫です!」


 五人全員が頷く。グッと歯を食いしばっている女性もいて、強がっているのは明らかだった。

 いや、それでも地下牢に居るよりは遥かにマシなのだろう。


「分かった。……急ごう」


 せめて、死体を見なくて済むようなルートを選んでいこう。

 出来れば、羽織るものでも見つけられればより良い。


 シンは出入口に人の気配がない事を確認し、扉を開いた。


 ……*


 腰が抜けて動く事もままならないマーカスの胸ぐらを、フェリーが乱暴に掴む。

 力任せに身体を起こされ、怯え切ったマーカスの顔が近付く。


「ひっ……」


 先刻までとは打って変わって恐怖に満ちた表情を見せるマーカス。

 こんな男に弄ばれた命があるという事実が、フェリーを憤らせる。


「どうして! どうしてあんなコトを――!」

「い、命だけは……! 金ならいくらでもやる! だから……!」

 

 マーカスは狼狽えながら、命乞いをする。


「違う! あたしが訊きたいのはそんなコトじゃない!」


 フェリーが苛立ちを加速させると、呼応するように腕の力が強かった。


「じゃ、じゃしん……」

 

 恐怖に感情が支配されているマーカスはフェリーから顔を逸らしながら、ぶつぶつと呟くのが精一杯だった。


「じゃしん……って邪神? それってどういうコトよ!?」


 唐突に出てきたワードに理解が追い付かず、フェリーはマーカスの頭を揺さぶる。


「ま、まて! 首が…」

「早く言いなさいよ! 邪神ってなに!?」


 続きの言葉が欲しいフェリーにとってその行動は逆効果なのだが、本人には気付く由もなかった。

 やがて、首が完全に極まっているマーカスはその身を脱力させた。


「あ……」


 ぐったりと項垂れるマーカスに気付いて慌てて手を放すが、時すでに遅しだった。


「フェリー……お前、何してるんだ?」

「シ、シン!?」


 気がつくとシンが地下牢に捕らわれていた女性を連れて、庭に戻って来ていた。

 捕らわれていた女性達も、簀巻きとなった賞金首(ゴッドー)も無事に連れてきてくれているようだった。

 特に、女性陣はみんな上着を羽織っていて安心した。

 シンはなんやかんや、他人に対して気を遣ってくれる。


 もう一人の賞金首(ブルーゴ)は、後で運べばいいだろう。


「あの怪物はどうした?」


 フェリーが安堵をしていると、いきなりシンから答え辛い質問が飛んで来る。

 彼女達は怪物の事を知らなかったのだろう。お互いの顔を見合わせて、不安そうな表情をしている。

 尤も、知らなくてよかったという安堵も同時にしていた。


「大丈夫。ちゃんと、殺した……よ」

「……そうか」


 あえて『殺した』と強い言葉を使って返答をしたのは、自戒のためだった。

 決して『救った』なんて奢りを持たないように。自分のエゴを貫いた事を忘れないようにするためだった。


「あ、あの……。他の娘たちは、どうでしたか?」


 不意な質問に、フェリーの身体が硬直する。

 その質問が来ることは判っていたはずなのに、いざその時を迎えると辛い。

 

「え、えっとその……。他の女の子たちは……」


 なんて説明をすればいいのだろうか。

 目の前で気絶しているこの男に怪物にされたなんて。

 そして、それを『殺した』のが私だなんて。


 はっきりと人を殺めたという感覚は持っているというのに、それを口にするのは憚れた。

 

 自分が殺したと彼女達が知ったら、どうなるだろう。

 やはり批難されるだろうか。そうなっても不思議ではない。

 頭では理解しているのに、それを伝える覚悟がフェリーには足りなかった。


 眉が下がるフェリーの頭を、ポンとシンが触れた。

 

「コイツも俺も館の中を探したが、既に間に合わなかった。

 ……すまない、助けてやれなくて」


 その言葉に「そうですか……」と彼女達は肩を落とした。

 フェリーが顔を上げると、シンは軽く頷いた。


 何も言っていないのに、彼は察してくれていた。


(かなわないな……)


 泣いてはいけないと思いながらも、フェリーは目頭が熱くなった。


 ……*


 マーカスが意識を取り戻すと、そこはピアリーの広場だった。

 身動きが上手く取れず、手足が縛られていると気付くのはすぐ後の事だった。


 隣には雇っていた賞金首の姿もあった。

 あの小娘の姿をした化物に連れてこられたのだろう。

 主人より長く眠っているとは、役に立たないにも程がある。

 

 舌打ちをしながら顔を上げると、大勢の人間に見下ろされている。

 彼らは自分が普段見下している村人の姿だった。

 視界の端には、忌々しいあの女(フェリー)(シン)の姿もあった。


「おい、起きたぞ!」


 一斉に村人の視線が自分に向く。

 軽蔑と敵意が入り混じった、否定の視線だった。


(まずいな……)

 

 自分は村人たちに相当な恨みを買っている。

 このまま私刑に遭ってもおかしくない状況だった。

 

 どうすればこの状況を切り抜けられる。

 マーカスがそれのみに神経を集中していると、小石が彼の頭を捉えた。

 

「母ちゃんを……母ちゃんを返せ!」


 初めてぶつけられた暴力に、歯を食いしばる。

 あの子供は確か居酒屋の息子だ。母親は……いい女だったが、餌にしてしまった。

 

 正直に伝えても理解できるはずはない。逆上するのが目に見えている。

 ここは誠意を見せるフリで、赦しを請うのが得策だと判断した。


「君のお母さんには、悪い事をしてしまった。心から謝罪を――」

「嘘よ! アンタたちは……ひどいことばっかり!」


 マーカスが発しようとした口だけの謝罪は、少女の声にかき消された。


「私たちだってそう! この人たちが助けてくれなかったら、どうなっていたか……」


 少女が涙を流すと、村人が集まって彼女を心配する。

 彼女に対して「お前たちだけでも戻ってよかった」「辛かったね」と同情的な言葉が投げかけられているのを聞いて、マーカスは不愉快になる。


 下民が心配されて、貴族である自分が拘束されているのはおかしい。

 赦す赦さないの前に、それはマーカスにとっての摂理だった。


 この場と、自分の傑作をあっさりと消滅させた化物(フェリー)

 あいつさえ居なくなればどうにでもなる。

 拘束されてもハワードがいればすぐに解放されるだろう。

 その時にこの村人にはたっぷりとお礼をしてやろう。


 復讐の内容を妄想で膨らませていると、蹄の音が村へと響く。

 マーカスを含め村人全員が大きくなる音の方に頭を向けると、二頭の馬が人を村へと運んでいた。


「ここがピアリーの村ですか」

「え、ええ……」


 その片割れの姿を確認したマーカスは口元を緩めた。

 ハワードだ。タイミングが良いにも程がある。


 あの男なら、この場を収めて自分を良い様にしてくれる。

 多額の賄賂がこの場面で存分に活かされると、マーカスはほくそ笑んだ。


 下民の表情は見えないが、苦虫を嚙み潰したような顔をしているに違いない。

 そう思うと、今受けている屈辱も興奮のためのスパイスに感じられるから不思議だった。

 

 もう一人は若い女の声だったが、姿がよく見えない。

 新人を連れてきたのであれば、格好悪い所を見せてしまうかもしれない。

 それは追々、可愛がってやればいいだろうと舌なめずりをする。


 下民から起こるどよめきはハワードが来た事によるものだろう。

 折角立った優位が終わる事に、悔しがっているに違いない。


 この事態を軽く考えていたのがマーカスの落ち度であり、運の尽きだった。


 ……*


「……これは、どういう事ですか?」


 アメリアの凛とした声が、その場を支配する。

 いくらピアリーが田舎だといっても、彼女の事を知らない者は居なかった。


「……あの人、有名人なの?」


 突如現れた女性に場の空気が支配された事を不思議に思ったフェリーが、こそっとシンに訊ねる。


「アメリア・フォスター。この国の第三騎士団長だな。

 宮廷魔術師も兼ねていると聴いた事もあるが」


 流石に有名人なので、シンはその存在ぐらいは知っていた。

 まさかお目にかかる機会があるとは思っていなかったが。

 

「……えっと、つまり偉い人ってコト?」

「まぁ、そうなるな」


 生返事をしつつ、シンは仮説を立てる。

 呼んでもいない衛兵が突然現れた理由は、彼女(アメリア)ではないだろうかと。


 先刻からマーカスの表情に余裕が見て取れる事から、あの男(ハワード)が汚職の取引相手だろう。

 位置的にまだアメリアの姿は確認出来ていないと見た。

 そうでなければ、余裕が生まれた理由が説明出来ない。

 

 逆に言えばチャンスでもある。

 流れ的に今後この場を支配するのはアメリアだろう。彼女の理解を得られれば、勝ったも同然だった。


「えっと……」

「俺で良ければ説明しよう」


 村人が言い淀んでいる所に、シンが割って入る。

 本来ならフェリーが適任なのだろうか、これ以上気を病ませるのはやぶさかでは無いと判断した。


「貴方は……? あぁ、いえ。宜しくお願いします」


 明らかに村人とは違う出で立ちにアメリアは顔を訝しめるが、すぐに考えを改めた。

 

 村人達はなんだか興奮しているようだし、正確な情報が得られるか判断が難しい。

 感情に押されて先入観を持つ事を避けたい。

 

 この男は装いから察するにそこに停められているマナ・ライドの持ち主……つまりはマギアの人間だろう。

 ミスリアとマギアは方向性の違いから、国家間では決して仲が良いとは言い難い。


 だがそれはあくまで国家間の話。

 アメリア一個人としては、他国の人間と話してみたいという思いもあった。

 内容が的を射なければ、その分を村人から補足すればいいと考えた。


「あ、あの。騎士団長殿……私はどうすれば?」

「そうですね……」


 本来ならハワードも一緒に話を聴くべきだが、どうにも様子がおかしい。

 この村に行きたくなさそうな素振りを見せていたし、今でも挙動不審だ。

 村人からの視線も心無しか突き刺さるような鋭さを感じる。


「私と一緒に話を聴いて頂けますか?」


 目を話した隙に村人と衝突されたく無い。付け加えるならば、自分の目の届く所に置きたかった。

 ハワードは「わかりました……」と肩を落とす。

 チラチラと縛られている男を気に掛けていたる姿にアメリアは眉を顰めた。


 ……*


 シンの話は簡潔で、分かりやすかった。


 領主の息子であるマーカスの横暴も。

 衛兵長であるハワードが賄賂を受け取っている事も。

 村の女性がマーカスの手により、多くが命を落とした事も。

 そして、怪物の存在とそれを討伐した少女の事も。


 その全てが彼の体験した物ではないからこそ、アメリアは先入観を持つ事なく聴き入った。

 そしてその上で、自分は判断と決断を下さなければならない。


 賄賂の下は間違いないだろう。青ざめているハワードが自動的に答え合わせをしてくれている。

 アメリアが腑に落ちないのは、怪物……邪神の下りだった。


 仮定の話となるが、村人と共謀して彼らが多くの命を奪った可能性もゼロではない。

 もしくは、シンとフェリー(ふたり)が全員を騙している可能性。

 疑っていてはキリが無いとしても、アメリアは立場上そうしなければならない。

 性善説をモットーに生きてきた彼女にとって、それは辛いものだった。


「……邪神の下りですが、そのような存在は私も聴いた事がありません。

 俄かには信じがたいのですが、なにか証拠となるような物は残っていますか?」


 当然の反応だろうと予測していたシンは、フェリーから預かった石をアメリアへと手渡す。

 

 悪意を煮詰めたような、ドス黒い色の石。

 この石に対するアメリアの第一印象は、悍ましい物だった。


「これが、その怪物から出てきたと?」

「どうやら、そうらしい」


 こうして持っていても何ひとつ反応しない石だが、これが異質な物だという事を魔術師としての本能が訴えてくる。

 あまり長時間持っていたい物とは思えない。そんな不気味さだった。

 

 それと同時に、シンの話に真実味が増してきた。一連の騒動の中心に、この石が関わっている可能性は十分にある。

 この石の調査は王都に戻ってから行えば良い。今、この場の人間が求めているのは裁決だ。


「……ご協力、感謝します」


 シンへ礼を伝えると、アメリアは「ふう」と大きく息を吐いた。

 マーカスの居る方へハワードを連れて歩き始めると、彼と自分を隔てていた人だかりが左右へと分かれていく。


 そこで初めてアメリアの姿を確認したマーカスは、目を丸くさせた。

 何故、王国騎士団長がこんな辺鄙な村に居るというのだろうか。


「マーカス・コスタ卿」


 凛とした声が、この場を一瞬にて支配する。

 

「は、はい!」

「貴方が拘束されている理由は聞きました。

 何か、申し開きはありますか?」


 マーカスもここで言葉を誤れば、自分に逆転の芽が無いというのは容易に理解できた。


「これは誤解です! 村人が共謀して、私の家に押し入ってきたのです!

 今、あなた方が来て下さなければ私はこの男たちに命を奪われていました!

 あなた様は命の恩人です!」


 周囲の村人から「ふざけるな!」という声が聞こえてくるが、マーカスはなりふり構わず泣き落としにかかる。

 すらすらと自分が被害者であるかのような言葉を吐き続けては、村人の反感を買う。

 ただ一人、アメリアを口説き落とすためだけに嘘に嘘を重ねていく事に罪悪感などまるでない。


「そうですか……」


 アメリアがひどく悲しそうな顔をした事に、マーカスは手応えを感じた。

 所詮は小娘、自分の手に掛かれば丸め込む事は容易だと。


「コスタ卿、残念です」


 しかし、続く言葉はマーカスの想像しているものとは違っていた。


「それは……どういう……」

「貴方が衛兵長へ賄賂を渡していた事も、村人に無理を強いていた事も既に伺っております。

 衛兵長も、貴方から賄賂を受け取った事を認めています。

 貴方がもう少し誠実な方であれば、私としてはとても嬉しかったのですが……」

「ハワード、貴様……!」


 さっきから目を合わそうとしないハワードに腹を立ててはいたが、既に裏切られているとは思いもよらなかった。


「それに、貴方の元でたくさんの村人が命を落としているそうですね。

 ……極めつけは()()です」

「そ、それは……!」

 

 シンから預かった石を見せると、マーカスの顔が青ざめる。

 アメリアとしてはこの場で問い詰めたい所だが、シンが邪神に村の女性が使われいる事を伏せている以上、自分も配慮すべきだと考えた。


「この件につきまして、詳しく話を伺わせていただきます。……よろしいですね?」


 そんな事になれば、今まで築いてきた物全てを失う。今まで何ひとつ不自由をしなかったマーカスにとって、それは受け入れ難いものだった。


「……ハワードォ!!」


 マーカスは大声でハワードの名を叫ぶ。


「こうなれば、お前も道連れだ! お前の汚職も全て洗いざらい吐いてやる!

 困るなら私をここから逃がせ! 私とお前は一蓮托生だ!」

「ひっ……!」


 自分の罪を暴露されるという恐怖から、ハワードは反射的に腰に差した剣へ手を伸ばす。

 やるしかない。あのバカ息子を連れて、ここから逃げ出す以外に自分が生きる道はないのだ。


「仕方ありませんね」

 

 アメリアは焦る様子もなく、憂いに満ちた表情で指をパチンと鳴らす。

 刹那、リング状となった水がハワードの両手両足、加えてその口を覆った。


「フゴッ……!?」


 水の牢獄(アクアジェイル)。アメリアが得意とする水属性の魔術のひとつだった。

 ハワードのついでに、マーカスの口も同様に塞ぐ。彼の様子だと、次は何を口走るか分からない。


「……本当に残念です」


 自分が命を懸けて守っている国に、こういった一面がある事をアメリアは心から嘆いた。

 他国の人間に救われた事に対して、騎士団長としての情けなさを痛感する。


「……終わったの?」


 人だかりから離れた位置で様子を見ていたフェリーが、シンに尋ねる。


「そうみたいだな」


 シンは銃を収めながら答えた。万が一に備えて銃を構えてはいたが、杞憂だったようだ。

 どうやらアメリアもシンの様子に気付いていたらしく、会釈をしているのが気恥ずかしかった。


 こうして、ピアリーの村で起きた騒動は終わりを迎える。

 シンとフェリーにとって、とても長い一日だった。

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