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第69話 村に潜んでいた悪意

 楽しい食事会は終わりを告げて。

 気付けばまた静寂の夜が訪れていた。


 そんな夜の空を、俺は外で一人眺めている。

 楽しかった食事会の余韻を覚まそうと思って。


 いや、それは少し違うか。

 食事会で気付いた違和感を消したくて、かな。


 この村の様子は何か変だ。

 まるで村人達が揃って餓死寸前だったから。

 なのに何で皆がクアリオの様に必死で働かないのかと。


 飢えているなら働いて食材を得ればいいのに。

 なんなら魔物と戦って肉を得たっていい。

 だけど彼等はそこまでしている節が一切無かったんだ。

 まるでクアリオに依存し尽くしているかの様な。


 ただ、その理由は何となく察しているが。


 実は、食事会を終えた後に少し村を見て回った。

 村ならきっと畑や家畜小屋とかもあるだろうと思って。

 けれど見つけたのは、働いたとはまるで思えない光景だったんだ。


 畑が完全に放置されて荒れてたんだよ。

 それも雑草とかが生えているとかじゃあない。


 枯れ草しか、なかったんだ。


 これは異常以外の何物でもない。

 というのも、緑空界は無限の恵みをもたらす大地と言われているから。

 ありとあらゆる植物が年中育つ土地だとな。

 育ち過ぎてあっという間に木となってしまうくらいに。


 けどこの村ではその生命力が一切無い。

 まるでこの場所だけ生気が失われているかの様に。


 そこで俺は気付いてしまったんだ。

 村人が衰弱している原因は、全く別にあるんじゃないかと。


 だから今、俺はその答えを探して頭を巡らせている。

 未だそのヒントさえ得られなくて頭を抱えていた訳だが。


「アークィン、眠れなーいー?」


「フィーか。あぁ、少し悩んでいてね」


 そんな俺の下にフィーがやってきた。

 どうやら眠れなかった様だな。

 さてはさっきの食事が効いたかな?


 なんて思って微笑んでいたのだけれど。


「今は深く考えてもだーめー。明日、明るくなたーら、原因、さがそ」


「ッ!? フィー、もしかしてお前も気付いていたのか!?」


「多分みんな気付いてーる。けど、理由はわかんにゃい。でも、あちしは何となーくわかちゃった、ぐふふ」


 どうやらフィーだけは何かが読み取れていた様だ。

 療術士としてのセンスが答えを導いたのかもしれない。

 村人の体調はいずれも酷いものだったしな。


 人の体に誰より詳しいであろうフィーがこう言うんだ。

 なら今は大人しく従っておくことにしよう。

 明日、その正体を突き止めて何とかする為にも。




 それで翌日。

 俺達は早朝から揃って村周囲を探っていた。


 目的は当然、村人達の変調理由を求めて。




 というのも彼等の体調不良っぷりが明らかにおかしいから。

 それに今朝になってますますその疑念が膨らんだからな。


 なにせ昨日あれだけ精の付く料理を食べさせたのに、その成果が現れない。

 ミラリアも他の村人も皆、結局元に戻ってしまったんだ。


 それでも頑張ろうとしている人はいたよ。

 クワを持って畑を耕そうとしていて。


 けれど刃先が土にほとんど埋まらない。

 全く腰に力が入っていないんだ。

 道具を奮うので精一杯って感じでな。


 その姿を見て俺達は確信したのさ。

 この状況は明らかに普通ではないのだと。


「ダメだね、こっちは全く見つからないよ! そもそもボクは魔法とかがあんまり得意では無いからね!」


「私も探ってみたけど雰囲気くらいしかわからなかった。元々通常魔法の方はあんまり得意じゃあなくてねぇ」


「ノオンとマオはダメか。ま、かく言う俺も正体が掴めなかった。それほど高度な魔法か、別次元の何かが潜んでいるのかもしれないな」


「ここの土ダメー! なんか掘ってても楽しくなーい」

 

 ただ、魔法ではその正体を探る事が一切出来ない。

 何かしらの意志の様なものは感じ取れるんだけど。


 魔法と言っても万能って訳じゃないからな。

 探知魔法や鑑定魔法などもカテゴリ範囲じゃないと作用しないんだ。

 だから仮にそんな魔法を【輝操術】に当てても一切感知出来ない。

 それが〝次元が違う〟って意味だ。


 なので潜んだ何かを調べるなら、同じカテゴリの術をぶつけなければならない。


 ただ残念ながら俺はそこまで術法に長けてはいない。

 攻撃系なら別だけど、それ以外となるとからっきしなのさ。

 【輝操術】でなら調べられるかもしれないが、正体がわからないと少し危険だ。


 なので今、俺達は揃ってフィーを眺めている。


 それは彼女が一番の期待筋だから。

 俺が攻撃の万能者なら、彼女は防御の万能者と言えるからこそ。

 こういった探知調査などはフィーの方がずっと強いんだ。


「んー……大体わかたー」


「「「おおー!」」」


 そんなフィーが大地を杖底でトントンと突く。

 俺達の傍へとペタペタ歩み寄りながら。


 それで何を言うかと思えば。


「これは、呪術だねー」


「呪術、だと……!?」


 やはり罠が仕込まれていたか。

 しかもそれが呪術だったとは。


 今回は楽しい旅になるかと思っていたんだがな。

 全く、世界はどうしてこうまでトラブルにまみれているんだか。


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