輝操・場所紹介
第一章に登場する地名の紹介です。
本編とは関係無いので読み飛ばしても問題ありません。
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虹空界
本作の舞台。球状を描く様に配置した六大陸で成り立つ世界である。
【陽珠】と呼ばれる太陽を中心に、各大陸がサイコロの目の様に存在している、と言えばわかりやすいだろうか。
一の目の所に青空界があるとして、二に緑、三に白、四に赤、五に黄、六に紫という配置で成り立っている。その色合いが空から見ると虹に見えるのでこう呼ばれる様になった。
昔は全部陸続きだったらしいのだが、伝説の出来事によって分離、間の陸地は全部【空の底】と呼ばれる外側空間へと堕ちて消えたそうな。
世界構造の特性から、統一された東西南北は存在せず、大陸別に方角が定められている。なので大陸間を渡る時は割と不便。南から発進したのに着いたのが東、とかはざらである。
世界自体はとても狭い。高速機空船を利用した場合、わずか半日程度で世界一周が可能(ただし燃料が持てば)。ただ白空界以外の大陸横断は基本禁じられている為、実際にそんな横断をする事は出来ない。空からのテロを防ぐ為の止むない措置である。
重力は【陽珠】を中心に各大陸へ引っ張られる様な形で分布している。ただし【陽珠】付近へ到達すると徐々にバランスが中央へ向けられる様になり、最終的には【陽珠】入口付近に合わせた重力へと変化する。無重力空間は存在しない模様。
【空の底】とは本世界を包む黒い雲のこと。常に雷雲が張り巡らされ、落ちて来た者を瞬時に消し去ってしまう。しかし現状の大地などは跳ね返し、陸地に叩き付ける様になっている。その様な性質があるので、近くでの機空挺航行は原則禁止となっている。(落雷等による撃墜の可能性を考慮して)
一日は約22時間。一年は350日と地球時間より僅かに少ない。なので登場人物の年齢を時間係数から換算すると一年が7700/8544(虹空界/地球)=約90%。よってアークィンなら20歳なので地球年齢換算で言えば18歳という事になる。おっさんにみえて実は違った。
四季も存在する。ただし白空界と赤空界はその限りではない。白空界は年中雪にまみれ、赤空界は熱風にさらされている。
世界の名称は以下の通り。
・紫空界…海と花あふれる温暖国
・緑空界…深い森を有する最大級の国
・白空界…雪に閉ざされた僻地国
・赤空界…火山と岩に囲まれた灼熱国
・黄空界…黄金の砂に包まれた金の国
・青空界…清らかな河川が多く巡る豊かな国
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聖ラドルファ王国
青空界に存在する王国で、当界を実効支配している。王国を名乗っているのは昔からの慣習で、王自体はそこまで権威を必要としない。
王は基本的に任命式。しかし今期はエルナーシェ姫という存在がいたので必然と世襲となった。
軍備よりも産業を推進しており、各国への農産物輸出も主導。世界で最も多く食料を生産している農業国とされている。国土が全体的に肥沃だからだろう。
そんな国柄もあって全体的に温厚。差別観こそ抜けないがそこまで敵意を向ける事は無い。アークィンが村で責められていたのは混血だからという事よりも、過去にあった出来事を忌み嫌われたから。何があったかは今後語られるかもしれない。
なお今回の事件では紫空界の行いにある一定の理解を示した。責任を問わない代わりに問題解決に協力して欲しいと願った上で。本来は戦争にもなりうる事だったが、青空界自体が疲弊していたのと、紫空界宰相とファウナーの素早い動きと真摯な対応が功を奏して事なきを得たという。今後のマルディオンとの関係が改善していく事を祈りたい。
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商業都市アンカルースト
青空界の台所、世界の輸入品が揃う街。至る所に水路が巡り、昔は綺麗な水が流れる美しい街だった。しかし今は汚れに汚れきり、見る影も無い。人口も大幅に減少し、街を出る者も後を絶たないのだとか。
全ては紫空界から派遣された盗賊達のせい。だが問題は解決、これからきっと街に人が戻ってくる事だろう。攫われた人々は帰って来れるのだろうか。
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ケストルコート
元はギルドと呼ばれていた日雇い業務斡旋所。仕事の紹介から人員の募集・応募、信託銀行や仲介交渉など多くの仕事を受け持っている。また会員登録制度を敷いており、登録者情報は数日後に機空船郵便を介して世界の同店へと届けられる。それであっという間に世界へ通じる身分証明書に。なのでその為に登録する人も多いそうな。
昔は新規客に「よう兄ちゃん、大人しくママの所に帰りな」と脅す洗礼係も居たらしいが、今はリストラの波に揉まれて消えた模様。
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中央皇国マルディオン
紫空界を支配する騎士の国。皇帝が統率し、今なお誇りと秩序を忘れない国だった。だが第一皇子ヴェルストの反旗によって現在は情勢が悪化、国中から不満の声が上がる程の悪政へと変わってしまった。
この国はかつて旧マルディオンとワイアードという二国で別れていて、統一後に現在のマルディオン首都ワイアードが造られた。かの二国の首都は今も一都市として生きており、現首都を含めた要の三拠点として紫空界を今も支え続けている。
昔は他大陸に攻め入る程の強硬派国家だったらしい。しかし現マルディオン皇帝が即位してからはそういった活動を辞め、平和的政策に傾倒する事となる。おかげでこの数十年で大きな発展を遂げ、その事が多くの国民にとっての誇りともなった。
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水産都市ウルスーヤ
紫空界の南東に位置する漁業都市。世界有数の船着き場でもあり、港へと行けば十何隻もの船を一挙に見る事が出来る。とはいえ現代と違って小ぶりな船が多いが。そもそも海の規模が小さいので大型帆船を必要としないからである。
紫空界自慢の海鮮料理もここで堪能する事が出来る。近くには機空船発着港の街もあり、観光で最初に訪れる者も少なくは無い。
産業組合の漁業部はここを拠点にしている。ディアルの家もここにある。
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産業組合
紫空界を担う産業の大元締め。多くの業者が結託し、一種のカンパニーの様になっている。あくまで皇国指導下の存在だが、政治に食い込む程の権力を持っているという。しかし基本は口出しせず、都合が悪い事にのみ異論をはさむといった程度。
海洋漁業のみならず、河川漁業、農業、畜産業、林業などあらゆる自然産業が纏まって出来ている。海洋漁業はその中で最も規模が大きい。やはり海産物がメインという国柄あっての事なのだろう。
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奴隷工場
奴隷という不透明な職業制度を悪用し、働かせる為だけの人を産ませる施設。もちろん犯罪行為である。混血を産ませるのは、そもそもが蔑まされた存在だから。彼等なら死んでも誰も気にも留めないので、幾らでも使い潰せるという訳だ。
当然、世界中で何度も解体されている。しかしその度に新しい工場が生まれているのだそう。現状はイタチごっこでしかない。
だが紫空界の解放が今後、このイタチごっこに終止符を打つ事になるかもしれない。混血にもまた正しい人権が生まれるからである。
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高級ホテル
産業組合が管理運営する、平民街の中央通り傍にそびえ立つホテル。マルドゥーケの歴壁を唯一超える高さを持つ。
その高い中立性から各国の要人が滞在する際に利用。各種娯楽施設やアメニティなどが充実しており、日用品などを持ち込まなくとも生活ができる程。ただしそのぶん割高で、宿泊費は通常の宿の十倍近い価格帯となっている。なお内部娯楽施設は宿泊客以外でも利用できるが、その際は有料。
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アークィン達がもらった上級民街一等地の屋敷
元々は貴族が持ち合わせていた高級な屋敷。反旗組だったので没収され、アークィン達に譲渡された。
ただしこの屋敷が物語中に使われる事は無い。あるとすれば全ての冒険が終わった後、と言った所か。帰ってくる事が出来たのであれば、だが。
なお曰く付きなので売却は不可能。よってアークィン達は今後もお金に困る事となりそうだ。
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