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第31話 騒々たる叛逆

 ノオンの父より真実を知らされて三日後、【訪陽日】。

 遂にこの時が訪れた。


 故に早朝の今、俺達は【マルドゥーケの歴壁】の前に居る。

 それも南正門の真ん前に。


 ここまでに出来る事は全てやった。

 仲間の真価も全て知り、その上で最上の計画を練った。

 これで失敗する様なら所詮俺達もここまでだったという事になる。


 だがな、俺達はこの計画に勝利の可能性を導き出しているんだよ。

 なら今以上の想定外が起きない限り、負ける理由は無い。


 そんな自信の下で腕組む俺とノオンを前に、兵士達も困惑気味だ。

 また来たのかと半ば呆れも見せながらな。


「ノオン様、ここは通れないとあれほど――」

「いいや、今日は何が何でも押し通させてもらうよ」

「――えッ!?」 

 

 ただし戦力はと言えば本当に俺達だけだ。

 一般民をこの戦いに巻き込む訳にはいかないからな。


 この戦いは言わば皇国に対する叛逆となる。

 そんな勝てる訳も無いような戦いに誰も組するとは思えない。

 それどころか情報を売られて俺達の不利にしかならないだろう。


 ならば俺達の力で突貫し尽くすだけだ。

 その為の力はあると自負している。


「カーレイ、怪我をしたくなければ今すぐ離れるんだ。ボクはもう、剣を収めるつもりは無いッ!!」


「なッ!? ノオン様、気は確かかッ!?」


 だからこそ今、ノオンが一番に剣を抜く。

 今は彼女こそがこの〝騒々たる叛逆(ノイジーリベリオン)〟計画の旗本なのだから。


 その戦意を見せつけた事で、兵士達が途端に警戒を始める。

 俺達が何をしようとしているのかに気付いたのだろう。


 だがもう俺達は止まらないぞ。

 このまま一気に押し通させてもらう!


 しかしさすがの無敵の壁の防備は最厳重だ。

 たちまち兵士が壁の中から出てきて防備を固め始める。


 けどな、これは俺達にとっては想定内なんだよ。


「行くぞ皆! 我等【銀麗騎志団】、正義を貫く為にその力を奮う時だッ!!」

「「「おーッ!!」」」


 雑魚を蹴散らし、門を突破する。

 それは既に、前提条件だッ!!


 故に俺達は走り出そうとしていた。

 剣を拳を振り上げながら。


 しかしこの時、早々に俺達の想定外が訪れる事となる。




「待てェェェいッ!!!」

「「「ッ!?」」」




 突如として場に雄叫びが響き渡る。

 俺達でも、兵士達でも無い、猛々しいく野太い大声が。


 そして皆が堪らず振り返った時、信じられない光景が映り込む事に。


「ぬはははッ!! お前等小僧どもだけにやらせる儂らじゃあねぇぞおッ!!」

「ノオン、加勢に来たぜ!」


 なんとディアルや親方が仁王立ちしていたのだ。


 それだけじゃない。

 周囲の建物からも屈強な男達が次々と現れる。

 それも街道を埋め尽くさんばかりと大量に。


 そう、想定外といっても決して悪い方ではない。

 俺達がついついニヤけてしまうくらいの良い想定外が起きたんだ。


「ディアル兄様!? なんでこんな所にっ!?」


「ハッハー! 確かにあのホテルは皇国にゃあバレないが、組合にもバレないとは言ってないぞ! なんたって大声で筒抜けだったからな!」


 クソッ、やられたよディアル。

 お前は最初から俺達を餌にしていたんだな。

 真実を釣り上げる為の餌に!

 抜け目ない奴とは思っていたが、まさかこれほどとは。


 だが、これは嬉しい誤算だ!


「おまけにもう西と東じゃあ俺達の仲間が大暴れしてる! 兵士どもを惹き付ける為にな! つまり、後はここだけだぜ!」


「てめぇらぁ!! 組合根性見せやがれ!! 皇帝陛下を救い出すぞォ!!」


「「「ウオオオオオオ!!!!!」」」


 なにせ人数が半端じゃない。

 今いる兵士の二、三倍はいそうだからな。

 しかも全員が屈強な男ばかりときた。

 おまけに敵の増援は限り無く少ない!


 それで遂には組合員達が俺達を追い越し、兵士達へと殴り掛かる。

 凄まじい根性だ、剣を振られようが全く動じないぞ!?


「常日頃、海獣や魔物とも相手してんだ! もやし兵士どもに止められるもんじゃあねぇぜェ!!」


 親方はもっと凄まじい。

 三人相手に単身で乗り込み、筋肉で剣を受け止めて。

 更には三人同時に抱え込んでマッスルブリーカー!

 余りの力に鎧がひしゃげているぞ!? なんてパワーなんだ!!


 あれは俺でも真似出来まい。

 あの男、元は肉弾闘士(レッスルマン)の類か。


 にしても、これはまさしく騒々しい戦いに相応しい様相だな。


「アークィン! 君があの門を突破出来るという話も聞いているッ! ならやってみせろ!」


「わかった! 任せろッ!!」


 お陰で、何の苦も無く道が開けたよ。

 組合員達が道を切り開いてくれたんだ。


 だから俺達は駆け出していた。

 門へと真っ直ぐ、何一つ立ち止まる要素も無いままに。


「【輝操(アークル)転現(ライズ)】ッ!!!」


 その最中に拳で(ジクス)を描き、光を解き放つ。

 更には即座に術式を重ね、構築し、規模を拡大。

 そうして出来上がった力が両拳に宿った時、誰よりも速く駆け抜けた。


 堅牢なる無敵の扉、その中心を突く為にと。




「【輝操(アークル)拡却(エンリージェ)】ーーーッッ!!!」




 その二拳が突かれた時、たちまち輝きが拡がり扉壁面を包み込む。

 丸く強く眩しく、鳴音をも轟かせながら。


 そして皆は垣間見る事だろう。

 歴史が塗り替えられた瞬間を。

 かつてより無敵を誇った城壁の凋落を。


 正門の大扉へと、一瞬にして巨大な大穴が開いた事によって。


 誰しもが信じられなかった様だな。

 兵士達も、組合員達も、野次馬達さえも。

 揃って驚愕を見せている。


 違うのは俺を信じてくれたノオン達だけだ。

 唯一、笑みを浮かべていたからな。


「行くぞ皆!! ここからが俺達の本番だッ!!」


「「「オッケェーイ!!」」」


 だからこそ俺達はもう走っていた。

 俺がマオを、ノオンがフィーを背負いつつ。

 こうやって足の遅い二人をカバーするのも作戦の内さ。


 しかしこうもなれば他の皆も一緒だった。

 組合員達が一斉に上級民街へとなだれ込み始めたんだ。

 なら当然、あのディアル達も。


「行けェアークィン!! 門の兵士どもは俺達に任せておけ! ハッハー!」


 ディアルが歯の輝きで兵士達を眩ませつつ、サムズアップを送って来る。

 なんだ、お前の笑顔には敵だけを怯ませる【眩光魔法(フラシャール)】が掛かっているのか!?


 ――まぁいい、ここは任せるとしよう。

 彼等も決死の覚悟でここまで来たのだろうから。

 なら俺達が突破して見せねば、その覚悟さえ踏みにじられる事になる。


 だがヴェルストの豚臭い足で踏みにじられるのは、この上級民街だけで充分だ!


 だから突破してやる、罰してやるぞ愚者ども。

 戴冠式など、俺達が絶対に阻止してみせる!!


 いや、例え新皇帝となろうとも――俺は絶対に貴様等を許さんッ!!


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