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第103話 恩返しの触れ合い

 気付いたら、ニペルが俺に跨っていた。

 しかも頬を赤く染めたままにニタリと笑いつつ。

 更には舌なめずりまでして見せ、お陰で艶やかな気泡が口元に。

 

 な、何をしちゃうつもりだキサマァァァ!?


 でも、そう思っても声が、出ない。

 何故か口が震えて一言も発せないんだ。

 心臓も凄く高鳴っていて、どうしても抑えきれなくて。


 ついでに言うと腕も脚も動かない。

 まるで痺雷流陣(パルパッザー)を受けたかの様に。


 ただ、それでも感覚はある。

 肉感溢れる肢体の触れた感触が。

 それも押し付けられて、俺の身体の形に合わせてよれていて。


 その感覚が、堪らなく心地イイ……ッ!?


「他の皆さんは街の散策で忙しい様ですねぇ。皆いらっしゃいませぇん」

「ッ!?」

「あとぉ、ついでに入口も消しておきましたぁ。なので何があっても、誰もここには来られませぇん……!」

「にゃ、にゃにおうっ!?」


 こうする意図は全くわからん。

 だが、だが……ッ!!


 こうされる事に抵抗どころか、受け入れてしまいたいと思った俺がいるッ!!


 その所為で全く体が動かないんだ。

 ただただ言われるがまま、されるがままで。

 彼女の姿を凝視するしか出来なくて。


 でもニペルはそんな俺に微笑んだ。

 まるで動かなくても平気だと言わんばかりに。


 そうしながら上体を降ろし、遂には腰を擦り付けて来て。

 更には小ぶりな胸を顔の傍にまで寄せて来た。


 ちょ、まッ!? ニペルさん、何してるんですかァァァ!?

 肌が、肌が近いィィィ!?


「つまり、ワタクシの好き放題に出来るって訳ですゥ。例えば、貴方の身体を思う存分に愉しむ事だって……!」


 更にはこんな囁きが耳元で。

 それも、ペロリと耳内を舌先でなぞってきて。


 その途端、背筋にゾクゾクとしたナニカが走る。

 今までに感じた事も無い感覚が。


 でも不思議と不快じゃなくて。

 むしろもっと感じたいと思えてしまうくらいに刺激的で。


 そうして気付けば、何故か息が荒げていた。

 

「大丈夫です。全部ワタクシに任せてくれれば、最後まで愉しめますからぁ」


 それはまるでニペルの甘い香りを愉しむかの様に。

 それでいてこれから起こる事に期待するかの様に。

 ただただ心と体が呼吸を求め、彼女の次なる一手を待ち焦がれてしまう。


 そんな時、ふと細い身体がまた持ち上がって。

 代わりに翼がそっと俺の両頬へと触れた。


 とても気持ち良い感覚だ。

 まるで高級な布団に抱かれるかの様な。

 人の手が触れるのとは違う優しさがあって。


 その感覚がゆるりと、俺の顔から首へ。

 次いで衣服を纏った胸部へと伝っていく。

 そうして肌から離れた事で何だか切なさを感じてならない。


「ワタクシの羽毛は天使の羽根と呼ばれるくらいに柔らかいんです。ですから、存分にお楽しみくださいねぇ」


 けどそんな切なさは間も無く、大きな期待によって押し流される事となる。


 彼女の両翼がなんと俺の服裾から潜り込んで来たんだ。

 まるで全身を撫で上げるかの様にしながらするすると。


 しかもその大きさに関わらわず、どんどんと入って行く!?

 俺の服の中一杯に、埋もれる様にモコモコと……ッ!?


「うああ、ああ……ッ!?」

「気持ちイイですかぁ? 心地イイですかぁ? ウッフフフ……!」


 凄く気持ちいい……ッ!!

 身をよじらせてしまうくらいに!

 まるで全身を同時に擽られている様でッ!!

 それでいて逃げ場が無くて、つい敷布団を掴んでしまう程だッ!!


 なんだこれ!?

 なんなんだよ一体!?

 これじゃまるで快楽の嵐じゃあないかッ!?


「主様の前で〝友〟と言われた時、キュンってしちゃいました。とても嬉しかったんですよぅ。だからお礼しなきゃって思って」

「はぁ、はぁ……!?」

「ふぅ、ふぅ、だから行く所まで、イこ?」


 どこまで!?

 まだ何かするつもりなの!?


 これ以上の何かがまだ待っているって言うのかよ!?


 互いに荒息を当て合う中、翼が引き出されていく。

 そんな感覚も刺激的で、ついピクリと体を震わせてしまって。

 勝手に動いて堪らないんだ。抑える事が全く出来ない。


 とても、抗える気がしない。


 それをあたかも知っているかの様に、ニペルの顔が再び俺に近づいて来る。

 今度は面同士を合わせる程に近々と。

 今にも唇同士が重なってしまいそうな程に。


「きっと満足出来ますからぁ、楽しみにしててくださいねぇ」


 そんな今だからこそ、彼女の唇が艶やかに見えて堪らない。

 触れて感触を確かめてみたいと願う程に。

 どの様な味がするのだろうと期待するくらいに。


 そう思うがまま、口を開いてしまうまでに。


 もう互いに留まる気は無かったんだ。

 ここまできたらもう最後まで行ってみたいのだと。

 今初めて味わった俺でさえ求め尽くしたいと思って止まらない。


 故に今、俺達の唇は何よりも近づいていた。

 互いの想いと同様にして。




「ニペルー洗濯物溜め過ぎーなのーよ――ア"ッ」




 でもこの時、想定外の来客が雰囲気を打ち崩す事に。


 フィーが俺の部屋を覗き込んでいたんだ。

 しかも明らかに身を固まらせて。


 なので俺達ももう目を見開いて眺め返す事しか出来なかったよ。

 互いに冷や汗をダラダラと流しながらな。


 なんなの、この後ろめたさ。

 これも初めての事で何故か全くわからないんだが?


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