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ようやく人の町に帰ってくることができまし……?

 歩くこと3日、魔の森は本当にスリリングな場所だった。

 

 ――襲い掛かってくるモンスター、モンスター、植物、モンスター……まったく気が休まるときがなかったわ……。

 

 まあ今回の1件でグリムも大幅パワーアップしたので苦戦という苦戦もなかったのはいいことだけれど。。

 そしてとうとう、私たちは魔の森を抜けて町と町を繋ぐ平原の街道に出ることができた。


「はぁ……長かったわ」

 

 現在位置が分からないから右に進むべきか左に進むべきかは分からないけれど、しかし人のテリトリーに出てこれただけですさまじい安心感だ。


「ウィーズ、ここまで案内ありがとうね」

「ああ。役に立てたようでよかったよ」

「それじゃあ私たちもう行くから。またどこかで会いましょう」


 別れの言葉を告げると、ウィーズはなぜだかにっこりと笑って、


「ああ。それなんだがな、俺も君たちについていくことにしたよ」

 

 なんて言い出し始めた。


「え? ついてくるって……?」

「村長にはもう言ってあるんだ。シャルくんたちに出会ってね、少し人間に興味が出てきたんだ。だからできれば君たちの旅に付き合いたいと思っている。ダメかな?」

「いや、別にいいけど……。なんだ、それでその大荷物だったってわけ」


 ウィーズが肩に掛けていた緑色のナップザックはかなり大きめで、だから私はてっきり魔の森を抜けるのにはいろいろな道具が必要なのかしらと思っていたのだけれど。

 どうやらそこに入っていたのはこれからの旅に必要なものだったらしい。


「じゃあ改めてよろしく頼むよ、シャルくん、グリムくん」

「こちらこそ、よろしくウィーズ」

「よろしくお願いします、ウィーズさん」


 こうしてウィーズが正式に旅の仲間になることになった。

 

 ――勝手に仲間を増やしたらスド、怒るかな? まあいまここに居ないのが悪いのよ。だからサッサと見つけてあげなくちゃね。

 

 さて、それから私たちはとりあえずどこに繋がるとも分からない街道を進む。後ろからヨタヨタ歩いてくるギルバートの腰ひもを引っ張りつつ。

 そして歩くこと半日、町の門が見えてきた。

 

 ――ああ、久方ぶりの人の町……っ! 離れてからまだ2週間も経っていないハズなのに、いまはなんだかとても恋しい気持ちね!

 

 とりあえずギルバートの腰から紐は外した。

 さすがに腰紐をつけっぱなしにしていたら門番の人間に止められるだろうし。

 ウィーズもまたフードをかぶって尖った耳を隠した。ここ100年の間、人前に現れていないであろうエルフが突然現れたらみんなびっくりするだろうしね。

 そうして万全な状態で私たちは門をくぐろうとしたのだが、


「――待て。おい、待て」


 門番が私たちを止める。

 え? なに? どうしたの……?

 怪しいところはぜんぶ隠したはず。

 それなのに門番は鋭い目つきでこちらに近づいてくる。

 

「お前たち、顔をよく見せるんだ」


 ――マズい。もしかしてフードを被っているウィーズが怪しまれたのかしら……? ここで彼がエルフだとバレたら大騒ぎに……っ!


 と、しかし。門番はウィーズの横を通り過ぎて、そして私とグリムの前へと立ちはだかった。

 へ?

 

「お前たち……もしやと思うが、あの掃除者チーム【マリオネット】のシャルとグリムなんじゃないか?」

「え、えっと……? そうですけど……」

「やはりな」


 門番は数歩下がると、手に持っていた槍をこちらに向けて構えて、大きな声で叫んだ。

 

「――兵士を呼べッ! 指名手配犯が現れた! コイツらは【国家反逆罪】で手配中の掃除者チーム【マリオネット】の一員だッ!」

「――は?」


 ぞろぞろと門の内部から槍を持った門兵が現れて、私たちに槍を向け始める。

 そして甲高い笛の音と共に、さらに重装備な兵士たちが町の奥から駆け出してくる。

 

 ――指名手配? 国家反逆罪? いったい、いったいなにがどうなっているっていうのっ⁉

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「シャルロットは今後どうなるのっ……!」


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