99_案件
「そんでなぁ うちらぁが次に会うのは3日後の午後だでぇ イシューには端末プログラムの広告の写真撮りっちゅうことで出てきてもらうことになっとるけぇ なぁ 板さん」
「お おう・・・・・・」
(だから 板さんにふらないであげて・・・・・・)
ナバはGWC社長と直接話をして僕達がイシューと直接話ができるお膳立てをしてくれたようだ
イシューはこの前の試合では負けてしまったが会場の歓声を聞いたとおりこの世界では非常に人気のあり事務所にはられた他の広告にも多数顔を出していたようで機転を効かせたナバはすぐに写真撮りという具体的な案を提示して社長を取り込んだらしい
ナバから詳細を聞いた僕達はさっそくアジトへ戻りスタジオの手配を始めると同時にミカエルちゃんへと連絡をとった
「・・・・・・ まだ 私は会えないよ 会うのは私の名前を出してかつイシューが納得した状態であることが条件 ただしそれだけではラストちゃんたちには少し不利な条件になるかもね・・・・・・わかった それじゃあ もしイシューにあえることになったらこのキーワードを会話にまぜてほしいキーワードは有翼の巫女・・・・・・この言葉を出せばイシューからなにか反応があると思うの じゃ よろしくねー」
ミカエルちゃんはそれだけ伝えるとそそくさと端末の会話を切ってしまった
「有翼の巫女だって? それって神たちがグレモールを毒霧の森に封印したときのアイテムじゃなかったのか?」
僕が皆にこのキーワードを聞かせるとアルミちゃんが首を傾げながら僕に聞いた
「ああ そうだ 確かにミカエルちゃんは有翼の巫女像を使って封印したって言ってたような 有翼の巫女・・・・・・有翼の巫女像やっぱりイシューとなに関係あるのかな」
「・・・・・・ラスト すまねぇ 悪いが用事を思い出しちまった ちょっと家に帰ってくらぁ 」
板さんは有翼の巫女のキーワードを聞いた途端急に真顔になり僕達に告げる
「えー 板さん どうしたぁ?うちぃうざすぎってかぁ えー まじかぁ?ごめんって 」
「バァろう ナバ てやんでぃ そんなことで拗ねるほど女々しくねえってんだ だがここでみんなとは一旦お別れだ すまねぇな」
板さんが自分のせいで帰るなどと言い出したと思ったナバはすぐにフォローを入れたが板さんからはあっさりこれを否定した言葉が帰ってきたためナバは少しだけ安堵の表情を見せた
・・・・・・
板さんと別れた僕達は次の日イシューとの案件まで少しだけ時間が余った為 休息をかね街をぶらついていた
「ふーん じゃあ この街の作りほとんどはラストがいた街にそっくりなんだね」
「うん ミカエルちゃんも言ってたけど完全に僕達が住んでいた町並みと一致してるみたいだよ そうだ アルミちゃん ナバ 水族館にでも行ってみない?」
「水族館?それはなんだ」
「あー この世界の魚や水生動物をたくさん展示してあるところだよ」
「えー ラストの世界にも魚っておったぁかぁ?あんな恐ろしいものよう飾っとるぞなぁ」
「恐ろしい?」
水族館の話をすると 眼の前に顔をぬっと持ってきたナバが驚いた顔で僕に聞く
(ちかいって)
「だってあれだろう 魚っちゃあ(と言えば)冒険者を歌声でさそって食べてしまうあの魚だでなぁ?」
「違う違う そんな魚・・・・・・ 魔獣や妖魔の類はここにはいないよ(たぶん)あー どっちらかって言うと触鬼ににているかもしれない こちらでは漁師さんがそれをとって食料として売っているからね」
「そうなのか?ぐぬぬ まぁ ラストが行きたいなら僕達はついていくだけだ」
アルミちゃんは僕の顔に近づきすぎたナバの間に手を入れ僕からナバを遠ざけながらそう言った
・・・・・・
僕達は電車を乗り継ぎ郊外にある水族館へとやってきた
「おお 結構でけぇ(おおきい)なぁ」
ナバは水族館の手前の広場で建物を眺め子供のような笑顔を見せて喜んでいる
アルミちゃんも初めての場所に少々緊張気味だがうれしそうだ
「ラスト ・・・・・・ 君たちの国は平和なんだな・・・・・・」
アルミちゃんはボソリとそう言って僕の方を向いた
転生ができるといってもいつでも死と隣合わせで生きている魔王の世界に比べれば遥かに平和で過ごしやすいだろう
「そうだね」
このままイシューと会わずここでアルミちゃんと平和に暮らすことができれば・・・・・・そんな考えがふと頭をよぎった瞬間 ダンジョン地下でグレモちゃんを封印している祖母とそれを悲しそうに見守るタマちゃんの顔が浮かぶ
「ナバ アルミちゃん 行こう」
僕達はは平穏な一瞬とも思える時間を楽しむため水族館へと足を踏み出した
「おお すげぇ でけえ これ大丈夫か 割れらぁせんだかぁ」
入口で受付を済ませ中に入ると中央に大きな水槽がありそれをぐるりと取り囲むよう他の小さな水槽が並べてあり順路となっている
館内は薄暗い感じではあったがライトアップと静かな環境音楽がながれておりおしゃれな感じだ
「ほんとだなぁ この生き物はどっちかって言うと触鬼ににとるかもなぁ」
ナバは顔を右や左に傾けながら水槽にへばりつき魚を眺めている
アルミちゃんもキラキラと眼を輝かせながら巨大水槽の上から下まで眺めている2人共楽しそうだ
・・・・・・
「あれ ナバは?」
気がつくとナバの姿がなく焦った僕があたりを見回しているとアルミちゃんはトンと小さく腕を叩きナバがいる方向を指差す
僕はすぐにナバに駆け寄ろうとその場を動こうとしたその時 アルミちゃんは僕の腕をぎゅっと握った
ナバは遠くからそれを確認すると気が付かないふりをして違う水槽の影へと隠れてしまった
どうやら最初から僕達を少しの間2人にさせるつもりだったらしい
・・・・・・
数十分後 僕とアルミちゃんは少しの2人の時間を楽しんだあとナバに合流した
「ご来館の皆様 これより巨大プールにより当館スタッフとの3匹のシャチによるショーを開催いたします」
「お ショーが始まるみたいだね 行ってみよう」
この水族館のメインイベントであるシャチのショーが始まるようだ
僕達は館内から出てショーのある館外のプールへと急いだ




