94_神界への階段
「てやんでぇ ったく 魂の分離だぁ?賢者の石だぁ?そんなこたぁ 昔っから神様の仕事だぜ そりゃ 無理に神の領域に踏み込んじまうから賢者の石や魔王の命なんてものが必要になってくるってもんだ たのめ たのめ ミカエルちゃんに頼んでみな ちょっと待ってな連絡とってやる」
そう言いながら板さんはカウンターを離れ奥の部屋へと入っていった
生を授けるのが神の仕事 死を授けるのが魔王の仕事ってことか・・・・・・しかし ミカエルちゃんって僕のファーストキスを奪ったあのドジっ子女神だよなぁ 本当に大丈夫なのか?
「あ ミカエルちゃーん うん そう ぼく 板さん・・・・・・いま大丈夫? うん うん・・・・・・そうだよねぇ ひさしぶりだよねぇ 」
なにか奥の部屋から妙に可愛い感じの板さんの声が聞こえてくる
さっきこのカウンターにいた人とは別人の声のようだ
「おうおうおうおう べらんめぇ 今からミカエルちゃん来てくれるってよ っかー ちくしょうめい 」
奥の部屋から出てきた板さんはニコニコして手で額を叩きながら猛烈に感動している
・・・・・・
「おう すまねぇ ちょくら 野暮用だ しばらくここで待っておいておくんな」
数分後板さんは僕たちをお店に残したまままた奥の部屋へと入っていった
・・・・・・
「い 板さん? そ その格好は?」
一同驚きの声をあげる 最初に声を上げたのはアルミちゃんだ
何故か板さんはタキシードのようなものを着てカウンターへと出てきた
「な 何言ってやがんだ い いつもの格好じゃねーか てやんでぃ」
板さんは少しだけ動揺しながらもいつもの感じで返答した
ガラッ
扉が開く・・・・・・
「こんにちはぁ いつも おしゃれで キュートで プリティな 女神の ミカエルちゃん来ましたぁ キャハハ 板さん 入るよぅ あっ」
その時・・・・・・ミカエルちゃんは何に躓いたのかわからないが盛大に体勢を崩した
「あ」
まるでスローモーションのように時がながれる
「おっと・・・・・・ あぶねぇ 大丈夫ですか お嬢さん・・・・・・」
僕たちがスローモーションの時間を過ごしていたその時 板さんはナバもびっくりのスピードでミカエルちゃんに駆け寄り体を支えた
星をちりばめきらきらひかるその顔はまるで少女漫画に出ている調のおじさまのようだ
(板さん・・・・・・ 一体 だれなんですか・・・・・・)
「板さん ありがとう ミカエルちゃん またつまずいっちゃった テヘッ」
頭に自分の拳をコツンと当て舌を出すミカエルちゃん
「おっと レディを助けるのは紳士のたしなみ 当たり前のことをしたまで・・・・・・フフ」
板さんは星をちりばめきらきらひかるその顔のままミカエルちゃんにニコリと笑顔を返した
ミカエルちゃんは少し引きつりながらも笑顔を返し起き上がった
「あ ありがとう 板さん ありゃりゃ ラストちゃんにアルミちゃんに ナバちゃん・・・・・・みんな集まっちゃってどうしちゃったのー?」
ミカエルちゃんはカウンターにいる僕たちを見つけると嬉しそうに近づいてきた
板さんは即座にカウンターの中に戻るとミカエルちゃんにお茶を振る舞いながら話を始めた
「ああ ミカエルちゃん へへ 実はこの子達がどうしてもミカエルちゃんに会いたいってもんで 僕が連絡をとらせてもらったって寸法なんですよ・・・・・・てへ」
「ラスト つっこまなくていいからな 板さん・・・・・・昔からミカエルちゃんのことが大好きなんだよ」
アルミちゃんが小さな声で僕に耳打ちし僕はそれにだまってうなずいた
「ふーん そうなんだぁ それで 私に用事ってなに?」
「ああ ミカエルちゃん 説明はあっしがさせてもらいますぜ あ 僕が 僕がしますよ てへ」
(板さん 普通に話したほうがいいんじゃ?)
板さんはそう言うと僕等が来た理由をちょっと気持ち悪い感じでわかりやすくミカエルちゃんに説明した
・・・・・・
「ふーん そうなんだぁ タマちゃんもねぇ・・・・・・ 前にタマちゃんにあった時気づいてあげられなかったの私の不備だね・・・・・・あるよ 魂の分離方法・・・・・・もちろん神のやり方だけどね でも ちょっとだけ厄介なことがあってさ 3人には少しついてきてほしい所があるんだけど・・・・・・いいかな」
ミカエルちゃんは少しだけ顔を曇らせたあときりりと真面目な顔をして話を続けた
「魂を操る方法は神界といえど少々の代償をはらわなければならないんだよ まぁ 魔王のそれとは違い何百何千の魂の集合体や魔青雨の雫と言った直接死と直結するような物は必要ない・・・・・・神の求めるものは・・・・・・意思だよ・・・・・・ナバはこの世界へとやって来る時やってるよね 神の箱庭・・・・・・神たちはその意思の強さによってその人の願うものを形にできるかどうかを決めるんだ だから君たち3人には少しの試練をうけてもらいたい ・・・・・・いい?」
僕たち3人は顔を見合わせたあとうなずく
「あはは うっわー ミカエルちゃん 久しぶりに面白いもの見せてもらえそうじゃーん てへへ さ そうと決まったらいこいこ 板さんも一緒にくるぅ?」
「も もちろん でさぁ です」
その後ミカエルちゃんから神界へ行くための注意事項を聞いたあと僕たちは板さんのいる世界から神界へと旅立つこととなった
僕たちは板さんのお店を出ると何もない真っ白な空間へと景色が変わる
「はーい みなさーん こちらですよー 右手をごらんくださーい ハイっ」
ミカエルちゃんが声をかけるとそこから金色の螺旋階段が天上へと伸びていく
「おお」
僕はその荘厳さに圧倒されおもわず声を漏らした
「ね ね みんな 見た? すごいでしょ ミカエルちゃんすごいでしょ ね ほめて あがめて たてまつって」
「おい ミカエルちゃんが褒めてって言ってんだ 拍手だ拍手 うおー パチパチパチ」
板さんはミカエルちゃんのまわりで一人盛大な宴を開いている
「左手をごらんくださーい はい じゃあ ここから天界にいきますよ」
そこには古びた木の扉が一つあった
(あ れ さっきのきらびやかな螺旋階段なんだったの?)
「ここの神様はこんな感じだ ラスト 気にするな」
僕の心を3つ目の額の目で読んだアルミちゃんがコソッと僕に言う
ギィ
「あ どうぞ」
先ほどとはうってかわって少しだけテンションの低いミカエルちゃんが僕等を扉の中へと案内した
そこで見た神界は僕の想像していたものとはまったく違うものだった




