89_アップグレード
エルフの村からタマカーで魔気の根源ダンジョン地下10階まで移動した僕たちはタマカーを拠点にそこでベースキャンプを開くこととなった
魔気の根源地下10層ベースキャンプではエルフの商人たちがさらに下の階へ挑む冒険者たちを対象に生活必需品や武器といったあらゆる物を持ち込み小規模の露天街を形成していた
僕たちはタマカーを拠点として利用する形で場所を確保しテント設営などの手間が少なかった為夕食までの空いた時間でアルミちゃん 梨花 グレモ ユグドラ ナバとともに露天を見て回っていた
「おにい これ かぎ」
歩きながら梨花が頭に乗ったみゅーをつかまえ僕に差し出す
「ミュー ミュー」
(梨花 もう少しやさしく触ってあげて・・・・・・)
みゅーは洞窟などに生息する小さくかわいいもふもふの触鬼を模した人形に祖父が生前スキルプログラミングをいれ動くようにしたものだがときどき僕等を助けてくれたりする大切な仲間だ
「梨花 まだ持ってて」
僕は差し出されたみゅーに手のひらを向け梨花に拒絶のポーズを取ったがそのときみゅーに妙な違和感を感じた
「梨花 ちょっと 待って みゅーをよく見せて」
みゅーを頭の上へ戻そうとする梨花にストップをかけてもう一度みゅーをよく見る
「アルミちゃん みゅーってこんな色だったっけ・・・・・・」
「あ たしかに何か色が濃くなっているような気がするね・・・・・・梨花ちゃん なにか変わったことがあった?」
梨花はみゅーを受け取りながら頭をブンブン振って何も知らないことをアピールした
ふとみると横でユグドラがニヤニヤしている どうやらユグドラはなにか知っていそうだ
「ユグドラ? なにか知ってる?」
僕は梨花の頭の上のみゅーを指差しながらユグドラに聞いた
「ユグドラは知ってるじょ けれど・・・・・・」
「けれど?」
「じょじょじょ 野生のこの触鬼は ある時期になると色を変えたあと形を変えるんだじょ ただ これはただの人形だじょ したがってただの日焼けだとおもうんだじょ」
梨花と同じ背丈のユグドラは長い髪に緑の光を体にまといながらうれしそうに話した
「へぇ そうなんだ ちなみにその触鬼は姿がかわるとどんな触鬼になるの?」
僕は梨花の頭の上のもふもふのみゅーをながめながらユグドラに聞く
「じょじょじょ 昔ラストと同じところから転移してきた人間から聞いたことがあるじょ その姿は妖精とかピクシーとかいうものに似ているらしいんだじょ」
「ふーん じゃあ人の姿なんだ・・・・・・ お おい 梨花」
僕が次に梨花の頭の上のみゅーに目をやった時みゅーはぐったりとした感じで動かなくなっていた
「ん・・・・・・ お おにい みゅーが・・・・・・ みゅーが 死んじゃった」
梨花は頭の上のみゅーを静かに手のひらにおろすとそれをじっと眺めたままそういった
その瞬間みゅーはまばゆくひかりだした
「きゃあ」
「おお なんと これは・・・・・・」
驚いてのけぞってしまった梨花を支えた祖母は驚愕の声を上げた
梨花の手から離れた光の玉は徐々に中空に浮き僕等の頭上で形を変えた その後一瞬ひときわまばゆい光を放つとその姿を羽のついた美しい少女の姿へと変えた
「おはミュー」
(おお まさしく いわゆる 妖精です)
その妖精は僕たちの頭上を飛びながら言葉を発した
「みゅう」
梨花が心配そうにそう叫ぶと形を妖精の姿に変えたみゅーは梨花の鼻先までパタパタとおりていきキスをしたあと丸く光の軌跡を描いて飛んだ
そしてその光の円は徐々にモニターのような光を帯びた
「サプラーイズ はっはっは どうだ おどろいたか みんな おどろいたか?」
光のモニターから写し出されたのは祖父の顔だった
「おじいちゃん!」
僕と梨花は一斉に叫んだが祖父に反応はないどうやら事前に組み込まれたもののようだ
「なあに ちょっとしたスキルプログラミングの応用だよ 自然界に存在する触鬼が変体するのが妙に魅力的でね まぁ 中身はあんまり変わらないけど飛べるようにはなってるはずだ それじゃあ ニューみゅーとなかよくしてやってくれ はっはっは」
祖父がそういったあと光の円は小さくなり消滅してしまった
みゅーは光の粉のようなものを振り撒きながらゆっくりと梨花の頭の上のほうへ戻ったあとキョロキョロとあたりを見回している 後でタマちゃんに聞いた話だが本物のこの触鬼の顔は獣の様で飛んでも光などふりまかないらしい 随所に祖父の趣味と妖精への憧れが連想させられる仕様だ
・・・・・・
僕等は一通り露天を見て回りベースキャンプであるタマカーへ帰ることとなった
ベースキャンプでは皆明日からのダンジョン踏破へ向けて士気を上げているように見えた




