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88_小さき夥(おびただ)しき物

 父は僕たちがエルフの村へついた時なぜだか小さな男の子の姿になっていた

 なんでもここへ来る前にエルフのお姉さんとデートだとかなにか独り言を言っていたところを母に目撃され母の逆鱗に触れたらしい 封印が解かれるのは敵が出てきたときだけらしい


(・・・・・・不憫だ)


 エルフの村は地下にあり敵の侵入を拒む強力なドーム状の結界が虹色に光り村を覆っていた

 通常この結界の入口の開閉は村の門番が警護していてエルフ族またはハーフエルフ族以外は通ることはできない上昨今のインキアスによる急襲により多くのエルフの兵隊たちがその守りをより強固なものにしていた


「おおお タマ様だ タマ様がこられたぞ 早く長老様へ」


 村の結界の手前先頭を手を振りながら歩いていたタマちゃんをエルフの兵がみつけ部下であろう子供のエルフに支持を出した

 エルフの寿命は長く子供に見えたエルフも実は僕よりも歳上なのかもしれない この世界では基本見た目で人を判断できない 僕の彼女であるアルミちゃんも見た目は愛らしいが祖母たちと共に戦い魔王の4天王と呼ばれ何度も転生を繰り返したことのある猛者だと聞いている 


 僕たちが門の前につく頃にはすでにエルフの村の結界の門は開かれていて2 3人の兵たちがタマちゃんと楽しげに会話していた


「みんな はいっていいにゃってー 」


 タマちゃんの号令によって僕たちはぞろぞろとエルフの村へと入った

 門番たちと話をしていたタマちゃんは結界の外でタマカーを待機させているサキさんの所へ一度戻ってタマカーをこの村に持ってくるらしく結界から抜けてタマカーの方へ走っていった


「それではー ひさしぶりぶりのー 登場となりあしたー わたくしー あー わたくしー アキ・カンナがぁー 村長の家まで あ 村長の家までのー 道案内とう 観光案内をう させていただき あすう」


 突然 触鬼フライパンダのイラストのついた三角の旗を持ってみんなの前に現れたカンナさんは空中でくるくる回りながら声を上げた


「おお カンナ 良いぞ カッカッカ」


 祖母は手を打って喜んでいる


(完全にガラの悪いツアー客みたいですよ)


「えー それではー 右手をごらんくださいあせー あちらに見えますのがーこちらーエルフの村の象徴となっておりあすぅー モニュメントー あ モニュメントー 小さきおびただしき者の象で ございあすー 」


 皆一斉にモニュメントの方を向くとそこには山のようにこんもりとした歪な象が置かれていた


(芸術はよくわからないな・・・・・・)


「こちらの象はーその昔エルフ族がこの地下の広大な土地を見つけ開拓が終わったときをー記念し作られたものだそうでございあすぅー あ 当初 あ 当初 この地下一層では魔気の根源からのー微弱な魔気の影響を受け巨大に茂ったぁー背の高い魔気の植物が一面を覆っておりあしたー あー 当時若者であったエルフの村の村長はとある賢者に知恵を借りー この魔気植物の駆除を始めたということでございあすぅ」


(もしかして 賢者って・・・・・・)


 カンナさんは上空でもう一度くるっと縦方向に回ると話を続けた


「賢者は言いましたー あ 言いましたー ”魔気の植物をこの階層に蔓延はびこらないようにする為には一つ下の階層からの魔気を遮断することだにゃ”とー」


(にゃ!やはり・・・・・・)


「あ 第2層ではぁー 更に下の層から伸びてきた植物がー 第2層の天井へと突き刺さりー その植物が第1層の植物へと魔気を供給していることがーわかったのでーありあすぅー」


 カンナさんは今度は横方向にくるりと回るとさらに話を続けた


「あー その後エルフたちはー タマちゃんの言うことを聞いてー 第2層の植物の伐採を始めましたぁー」


(あ タマちゃんって言っちゃった)


「伐採はまず第3層と第1層をつないでいる魔気の植物の中央から始まったということでありあすぅー 作業は難航を極めぇー 数百年の時を要したと言われておりあすぅー はじめ天井に支える程草丈の長かった魔気の植物たちはーエルフたちによりー何度も魔気を絶たれると新しい植物に魔気が供給され徐々に植生が変わりはじめー 次第に草丈を短くした植物はーおびただしき物となって2層の上下をおおいましたぁー 現在あるー第2層の大平原はー エルフたちによって作られたぁー 人工的な平原となっておりあすぅー あー 今でも年に一度程度行われるエルフの草刈り祭はー その時からのー 風習であると言われておりあすうううううううう あ ご清聴 ありあとう あ ありあとう ございあしたぁー」


 カンナさんはどこからか取り出したハンカチで涙を拭う真似をしている


 パチパチパチ


「カッカッカ カンナでかした すばらしい ガイドであった」


 祖母は嬉しそうにカンナさんに拍手をおくりそれを見た僕たちもカンナさんに惜しみない拍手をおくった

 僕はもう一度小さなおびただしき物の象の方に目をやる

 よく見るとその象の表面には小さな5つ葉のクローバーのような植物の形が沢山見えた 集合体恐怖症の人がみたら恐怖を感じるかもしれないなとおもった


 僕たちが村長の家へつくと程なくしてタマちゃんとサキさんがタマカーでやってきた

 タマちゃんは今回ダンジョン地下10層までタマカーで皆を乗せて移動できるようにと村長にお願いしたそうだ

 元来変化を好まないエルフはこういったことに対して首を縦にふることはないそうだがタマちゃんの熱心な説得によって長老も折れたようだ

 今回タマカーが僕たちにとってもエルフにとっても重大な危機を回避する鍵となることを僕たちはまだ知るよしもなかった

















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