82_誕生
「うひゃひゃ ナバ姉ちゃん 聞いて聞いて グレモちゃんが生まれたのは魔王城なの イヒヒ グレモちゃんが生まれたときはグレモちゃんとあと2人 グレモールとインキアスって人が一つの体の中にいたの グレモちゃんはなんだかとてもお腹がへっていたのでその人たちを食べちゃいましたとさ ウヒヒ」
ナバに向かって話すグレモはまるで母親に止まらない話をする子供のようだ
(グレモールって古の魔王で毒霧の森に封印されたとかじゃなかったっけ?ということはインキアスとグレモールは同一人物だったってことなのかな・・・・・・そしてこの子はグレモールとあのインキアスを同時に倒したってことなのかな?)
「あ なあ グ グレモちゃん・・・・・・ちょっとナバのいうこときいてくれんかぁ?」
「うひゃひゃ なに?」
「あの ナバ姉ちゃんはちょっと強い魔気が苦手でなぁ 少しだけおさえてくれるとうれしいんだけど」
ナバはグレモちゃんの機嫌を損ねないよう優しく懇願する
「ウヒャ なに? 魔気ってなに どうやって抑えるの? グレモちゃん魔気ってなんだかわからない イヒヒ」
「ふう あらぁ あなたぁ 魔気の抑え方わからないの こっちにいらっしゃい お姉さんがおしえて あ げ る ねぇ」
ナバと話す無邪気なグレモちゃんを見てユグドラは少し安心したのかサキさんや梨花の周りから結界のように張った蔦をほころばせ始め
そのほころびの間から顔と手を出したサキさんはグレモにやさしい顔を見せながらグレモを自分のほうへ手招いた
僕とアルミちゃんは今までのグレモへの対応がまずかったことに気づいてバツの悪い顔をしたあとお互いの顔を見合わせうなずいた
僕はそのあとナバとグレモの周りの結界をゆっくりと解除した
グレモは僕とアルミちゃんの前を不満そうな顔を向けながらさけるように距離をとってのんびりとサキさんの近くまで泳いでいった
「うひゃひゃ ナバ姉ちゃんこれでいいかなぁ イヒ」
サキさんのレクチャーを受けたグレモちゃんはすぐにその禍々しい魔気をおさえることに成功したようでまた僕の前をしかめっ面をしながら距離をとってゆっくりとナバのところまで平泳ぎで泳いで帰った
「おお グレモちゃんすげえなぁ ふつうの女の子にみえるでぇ 上等だぁ」
ナバの言うとおり強烈な魔気をまとっていないグレモちゃんはもはや普通の女の子にしか見えない
今のところ害のないように見えるグレモちゃんには聞きたいこともたくさんあったがひとまずはコミニケーションをとって信頼を獲たいという考えで僕とアルミちゃんは徐々にグレモちゃんとの距離を縮めていく作戦を考えようということになった
当のグレモちゃんは浴場から出る頃にはもうユグドラと梨花とうちとけていたようだ
「ねえ グレモちゃん どうやって インキアスたおした?」
旅館のロビーへ戻ると梨花は僕たちが聞きたいところを直球できゃっきゃっとグレモに聞いていた
「うひゃひゃ 梨花 聞いて あのね・・・・・・グレモちゃんが生まれたときは一つの体の中を3人の精神でとりあっていたの イヒヒ それでそれで どうしたとおもう? あのね だからね でもねグレモちゃんは誰よりも弱いからこのまま食べられちゃうんだとおもってたの ウヒヒ でもね でもね ちょっと考えて2人にこう言ったの 魔王は強いんだよね 誰よりも すごいんだよね もしかして誰よりも強くて大きい存在になれるの? うひゃひゃ そしたら 2人とも大きなドラゴンになってお互いを威嚇し始めたの イヒヒ なんだか 貴様はどうだ?とか聞かれたけど無視してグレモちゃんは話をつづけたの イヒヒ すごいな すごいな 2人共すごいんだ イヒヒ 2人はどちらが一番小さくなれるの?って いままでさんざん2人は威嚇しあっていたから張り合ってすぐに小さく小さくなったの ウヒヒ グレモちゃんは2人がお口にはいる大きさになったところで パクッて イヒヒ イヒヒ」
(なんと!・・・・・・僕たちがあれほど苦戦を強いられた相手をこの子は知恵を使って倒してしまったというのか?)
「おお グレモちゃん つよい 梨花を食べないで」
「うひゃひゃ グレモちゃん実体は食べないの イヒヒ だっておいしそうじゃないんだもの ウヒヒ でも お腹はへった」
(よし ここだ)
「おーい 梨花 グレモちゃん おいしいジェムラート食べるか?」
梨花とグレモちゃんのやり取りをみていた僕はグレモちゃんを食べ物でつることにした
グレモちゃんは僕の声に反応してしばらく固まったままこちらをじっとりとした目で見ていたが梨花が大きな声で食べたいと返事をしたあとこちらへやってくる素振りをみせると渋々といったかんじでゆっくりとこちらへ動き出したのだった




