58_2つの魂
アガレスちゃんの救助を終えた僕たちはインキアスの拠点であるカダ火山から僕のポータルを使いナベちゃんの宿屋へ帰ってきた
様態が徐々に悪くなっているタマちゃんの体力はサキさんのヒールで回復するものの呪いは徐々にその体を蝕んでいる
「サキ ありがとうにゃ もういいにゃ タマは自分の状態がわかっているにゃ これ以上のヒールはタマ自身がくるしくなるにゃよ」
「・・・・・・ふぅ ごめんなさい ねぇ」
「みんな そんにゃに落ち込むものじゃないにゃ 転生をしてタマはきっとここに帰ってくるにゃ まぁ触鬼になってしまって魔獣にされなければの話にゃんだけどにゃぁ」
そうだこの世界の理に従えば何年かかってもそれは実現できない話ではなかったはず インキアスの触鬼の魔獣化はそれほど罪深い
そしてついにタマちゃんとの別れの時がやってきた
「ラ ラスト 悪いんだが タ タマの荷物から ・・・・・・ タマカーの鍵を・・・・・・ やるにゃ 使うにゃ・・・・・・」
僕はタマちゃんのリュックの中からタマカーの鍵となっている杖を取り出した 確かに現状タマカーを起動させることができるのは祖父の魔導書を持っている僕だけだろう
「ふぅ アルミ サキ みんな ・・・・・・ たのし か った にゃ・・・・・・ちょっと リストに 会って くる に・・・・・・」
タマちゃんはふっと楽になったような顔になると寝かされていたベッドの中で光の粒子となった そしてその光の粒子は2つの塊となり絡み合うようにしながら天へと上がっていった空になったベッドにはタマちゃんが着ていた寝間着だけが残された
「・・・・・・タマ」
祖母がその幼い顔には似合わない悲痛な顔をして空を眺めている
「・・・・・・」
「ラミ 悪いがアスモディウスの封印を解きここに連れてきてはくれないかの・・・・・・」
「かあさん それは・・・・・・わかった」
母はしばらく黙っていたそのあとそれを了承した
「リストもここにおれ アガレスちゃんも頼む・・・・・・」
・・・・・・
「わああってるって(わかってるって)ったく めんどうなことさせやがって インキアスって小僧すぐいってぶちのめしてやる んで どこにいるんだぁ そいつわぁ」
母に封印を解かれ祖母のところへやってきた父はいつにもまして怒り心頭のようですぐにでも飛び出してしまいそうだ
「まぁ まてアスモディウスよ 今お前がめちゃくちゃに暴れれば神たちもだまっておらんじゃろなるべくおとなしく行動せい 実は今奴がどこにおるのかわからんのじゃ じゃが 奴は必ず魔気の根源を押さえてくると思っておる」
「っち ラミス こっちはじじいが死んで腕がなまっちまってんだなんでもいいからぶっこわしてぇ気分なんだ それとな ラミス アガレス そいつに俺が勝ったら魔王城もらってハーレムつくるからな それが条件だ」
(ああ やっぱり無茶苦茶なことを言い出した・・・・・・母が聞いたら発狂するな)
「まあ どのみち とどめをさすのであれば勇者の因子がはいったラストでなければ奴は倒せまい 妾たちができるのはラストをサポートするだけじゃ」
バタン せわしなくドアが開く
「失礼しますわ ラミスさま 大変ですわ キッチン王国郊外にインキアスの軍が大量の魔獣と共に駐留しているということですわ なんでも王国やエルフの町に入る物資をかたっぱしから強奪しているということですの 今 王国から討伐隊が出て戦っているらしいのですが到底かなう相手ではないとおもわれますわ」
ナベちゃんすこし焦った感じを残しつつ目鏡をなおす
「兵糧攻めとは やつの時間もまた無限というわけじゃな っく たのしんでおるわ」
「ばあちゃん 兵糧攻めって?」
僕は聞いたことのない言葉を疑問におもい祖母になげかける
「ああ これはラストが元いた世界の言葉じゃぞ 敵を囲み物資や食物を絶たせ根絶やしにする兵法じゃ」
「兵法?なんでそんな回りくどいことをするの?インキアスが一人で敵地に乗り込んで町や村を壊滅させればいいことじゃないの?」
「ラストよ 魔王は魔王であるがゆえに魔族を収める長でもあるのじゃ ゆえにそれは組織の方針でなければならん アガレスちゃんを拘束していたのはおそらくインキアス個人の嗜好であろうそうでなければ本来魔王が一人で行動することなどありえん話なのじゃからな」
「賢者であり策士であったタマを失ったのは妾たちにとって手痛い損失だということじゃよ」
ガチャ
深刻な顔をしている僕らの前に美しい女性が姿を表した




