57_言魂干渉
「アルミちゃん 大丈夫だ インキアスは君の今の姿を知らない」
僕はインキアスと直接出会い小さく震えているアルミちゃんの手をそっとにぎった
「そうだね ラスト ありがとう すまない 大丈夫そうだ」
そう言うとアルミちゃんはカンナさんの後ろで額の目を見開きインキアスの言動に注意をはらった
「カンナ 来るぞ 最初の言葉は 者共ひれふせ だ 3,2,1」
「者共 ひれふせ」
「者共 ひれふせ」
インキアスの言魂とカンナさんの言魂がぶつかり魔法干渉で強くなった部分は光り縞模様が周りに出現する
僕たちはタマちゃんとの練習の通りカンナさんから1 2 3 5 8歩分の位置に陣取り魔法の効果を受けないようにした
基本形ではナバがカンナさんから一番遠くへ位置する配置であったが実戦ではカンナさんから一番遠くになったのはうちの祖母であった
「んんんんん 奇妙 珍妙 懐疑 なぜ我が言魂が聞かぬ?・・・・」
「カンナ 次は 3日後にしね! だ」
アルミちゃんの次の予測にカンナさんが即座に反応した
「3日後にしね!」
「3日後にしね!」
再度干渉の縞模様が地面へと浮かび上がるその光の縞を僕らは避ける
きっと祖父の死をおもいだしたのだろう
その言魂を聞いた祖母の表情は一転し干渉の縞が消えたあと猛スピードで上に飛びその体制から巨大な魔弾を放った
「きさまがぁ」
直撃したかに見えた祖母の魔弾はインキアスの右側の腕をもぎ取ると洞窟の壁にぶつかり巨大な穴を開けた
「あぶない あぶない 危険 邪険 抑揚 あははは さすがはラミスさま ラミスさまだ」
すんで飛び去りインキアスは左手でなくなった右腕を押さえながら少しうわずった声を上げじりじりと後ずさりしている
「言魂が聞かぬ以上 元魔王共と戦うのは 虚無 無駄 回避 ひとまず 撤退するよ 魔獣!」
インキアスはまわりに控えていた魔獣化した触鬼を僕たちにけしかけ自分は逃げるような素振りをした
「カンナ 次の言葉は3日後に死ね だ」
インキアスの言動を予測したアルミちゃんがカンナさんに言魂を進言する
インキアスは逃亡すると見せかけ振り返り言魂を発した
「3日後に死ね」
「3日後に死ね」
皆不意をつかれたようだが戦いながらもなんとか安全地帯へと移動できたようだった
「っく やはりだめか 魔獣どもあとは適当にやっとけ あははは」
インキアスは猛スピードで飛び去ろうとする
「魔弾 魔弾 魔弾 ・・・・・・」
それを追う祖母の魔弾
しかしそれはインキアスに命中することなく軌跡を描き岩肌へと着弾する
「っく 逃げられてしもうたか・・・・」
一方僕達はけしかけられた魔獣と戦闘していた
「一閃!」
インキアスの影が消えたアルミちゃんはもとの動きを取り戻し大剣により魔獣を倒している
「魔獣は 暗くて 黒い 漆黒の 闇の炎に 焼失して焼かれるのです 黒炎!」
一度に数匹の魔獣に濃い紫色の炎で燃え上がった アガレスちゃんは祖母の隣に陣取ると魔獣たちに攻撃を加えた
僕はサキさんや梨花の近くで戦闘班が打ち漏らした魔獣たちに強力な魔気をまとわせた小石を親指で弾いて攻撃する
その攻撃はまるでライフル銃のようだ
しばらく戦闘は続きほぼ洞窟内の魔獣が一掃された
「!」
なにか タマちゃんの様子がおかしい
「タマちゃん どうしたの 大丈夫?」
僕はタマちゃんに駆け寄るとその顔を覗き込む
「だ 大丈夫 にゃ にゃは は タマとしたことが インキアスの言魂に あたってしまったようにゃ・・・・・・」
タマちゃんは時折襲う激痛に顔を歪めながら無理に笑顔を作ろうとする
「タマ!」
「アルミ 魔獣は やっつけられたのかにゃ・・・・・・」
「そんなことは気にしなくていい タマ どうすれば助かる? タマ タマ」
アルミちゃんは涙目になりながらタマちゃんに質問を投げかけた
「解除の方法はないにゃ・・・・・・」
タマちゃんからの回答は非情なものであった




