51_言霊
「インキアスの使うスキルは言霊・・・・・・そう カンナの持ってるスキルと同じものだ・・・・・・本来言霊で使えるのはその人間の意識の中で自分の生命に直接影響のない行動のものなんだ だからね いきなり自分自身の首を締めたり息を止めろなんていう命令は使えない・・・・・・はずなんだ
しかし 奴のそれは違う 奴の言霊は呪い・・・・・・強烈な威圧と恐怖によって生命ですら絶つことができる・・・・・・僕は怖い・・・・・・」
もとに戻ったかに見えたアルミちゃんであったが僕らに話すその手はかすかに震えているように見えた
僕はその手をそっと握る
「にゃんで それだけの力がありながら そのインキアスってのは今まで魔王にならなかったんにゃ?」
タマちゃんがアルミちゃんの顔を心配そうに覗き込みながら聞く
「ふぅ それについては わたしが せつめいするわぁ ハァ まぁ予測でしかないんだけど インキアスはこの数百年のあいだ魔力暴走の コントロールに 手こずっていたんじゃないかしら ふぅ」
苦しそうに怯えているアルミちゃんを見かねてサキさんが助け舟を出した
「フゥ もう数百年前よ ねぇ キッチン王国が戦場の舞台となった 私達 そう ラミス様と神との最後の戦いは神の勝利で幕を閉じることとなったわ ハァ 力を奪われたラミス様と私達ラミス配下は魔王城へ幽閉され長い時間を過ごすことに なったの フゥ そんなときだったわぁ インキアスが魔力暴走を始めたのは ハァ 当時インキアスと恋仲にあったアルミはその変化に気づいたんだけど・・・・・・フウ 遅かったの・・・・・・アルミはインキアスの言霊の力に抵抗できず神の軍勢に一人で歯向かい死んでしまった・・・・・・ハァ 私達はその後 すぐにインキアスをさがしたんだけど ネェ 行方不明・・・・・・ まぁ 魔力暴走で自らをコントロールできなくなればあとは自滅が待つのみ・・・・・・きっと死んでしまったんだろうと思ってたんだけど ネェ」
サキさんはそういうと大きなため息をついて足を組みかえた
「ハァ まぁ そのインキアスが本当にそのインキアスなら ねぇ 現状 私達には言霊に抗うすべはないと フウ 考えたほうがよさそうよ ネェ」
「どちらにしても奴を倒すにはラミスやアスモの力が必要になるってことにゃ」
「猫ちゃん フゥ それはちょっとだけ違うわ ハァ 確かにインキアスを抑えるためには ラミス様やアスモディウス様 アガレス様の力が必要に なると思うの ネェ でも魔王を倒すことができるのは ハァ 勇者だけよ ネェ」
「リストは殺されたにゃよ・・・・・・」
タマちゃんは耳をたれながら声のトーンを落とした
「そうね フゥ だから たぶん今この世界で インキアスを倒せる可能性があるのは フゥ 勇者因子が少しだけ混ざってる ラストちゃん だけ・・・・・・ ねぇ」
サキさんは髪をかきあげながらこちらをちらっと見る
「でぇも ダメ ねぇ フウ ラストちゃんはまだ け い け ん ぶ そ く よ ハァ 今の ラストちゃんじゃ きっとすぐ はてちゃう アルミ ちゃんと 手ほどきしてあげないと だめじゃない ふぅ ねぇ わたしが 教えて あげても いいのよ ねぇ」
「な なんの 話をしてるんだよ サキちゃん」
急に振られたアルミちゃんはあたふたしている
「フフ」
固まった空気のなか本気とも冗談ともとれるサキさんの言葉で皆少しだけ緊張がほぐれた気がした
「それじゃあ アガレスを助ける方法を考えるにゃよ」
「えー それじゃあってタマちゃん 今 サキちゃんインキアス倒せんっていったがぁ どうすっだぁ」
今までちょっとだけはなれたところで話を聞いていたナバが耳をこちらに向け言葉を発した
「ナバ だからにゃ 戦闘を回避して連れ出すにゃ 次の満月インキアスにこっそりついていってにゃ気づかれずにアガレスを救出するってことにゃ ラストには ついてきてもらいたいんだがにゃ その前に一度転移ゲートでラミスのところに帰るにゃ ラミスはまだ新魔王の正体がインキアスだってことを知らないと思うにゃ なにかいい案をもってるかもしれにゃい」
僕はタマちゃんの案に静かにうなずいた




