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37_ビュッフェと月とアルミちゃん

「どうしたんだい 大丈夫?」


 皆 個々それぞれ高級ホテルのビッフェ形式のディナーを楽しんでいる中僕は一人でホテルの中庭にあるバルコニーでその様子を眺めていた 

 異世界へやってきて色々と考えることはあったのだが今日はそんな悩みで一人になったわけではなくただ楽しそうに笑っている人たちを遠くで眺めていたい気分であった

 そんな僕を心配してかアルミちゃんは僕に声をかけてきた


「ふふ 君が悩んでここにいるってことではないことは僕にはわかるよ 異世界には慣れたかい?」


 少しだけ照れているようにも見えるアルミちゃんはディナー前にシャワーを浴びてきたらしくすごくいい匂いがする


「あ アルミちゃん」


「なんだい?」


「アルミちゃん 僕の心が読めるって言ってたけどどれくらい読めるの?」


「ふふ ああ この能力ね」


 アルミちゃんは前髪をかきあげて自分の額の目を指差すとその目をパチパチと瞬きさせてニッコリ笑った


(かわいい)


「そ そうか?」


 アルミちゃんは頭をふって前髪を下ろすと顔をふせたままぼそっとそう言った


「まぁ これぐらいわかるよ 実はこの能力でわかるのは思念そのものではなく思念の色が見えるんだ 攻撃的な考え方などは赤系統に色が傾く 邪悪な考え方や死を連想させる考え方は黒に傾く そんな微妙な色の変化を読んでるんだ・・・・・・ ラスト 僕はラストが思いもつかないくらい 長く 長く生きている だからね・・・・・・この能力でほとんどの感情や意思がわかるようになったんだよ」


 そしてアルミちゃんはビュッフェで楽しんでいる人たちを眺めると少しトーンを落として続けた


「この能力ね いいことばかりじゃないよ 人の心が見える時 それはね・・・・・・ その人の痛みを自分が受け取る行為でもあるんだよ 見て・・・・・・このビュッフェに集まっている人たちだって・・・・・・幸福な人たちばかりじゃないよ」


 アルミちゃんは見てと僕に言ったが僕には楽しそうに食事をする人たちにしか見えなかった


「少しだけ つらいんだよ」


 そういったアルミちゃんの目には涙が薄っすらと浮かんでいた

 僕はとっさにアルミちゃんを抱き寄せた 自分でもなぜそんなことができたのかわからなかったがとにかく体が動いてしまったのだ


 静かな2人の時間が過ぎていく・・・・・・


「ラスト ありがとう もう落ち着いた 久しぶりに安らいだ気分だよ」


「もう少し いいかな」


「ふふ」


 僕たちは包容を解くとお互い少しだけ離れた

 アルミちゃんはすごく照れくさそうにしていた 僕も照れながら異世界に昇っている2つの月を見上げこう言った


「月がきれいだね・・・・・・」


「だね・・・・・・」


 アルミちゃんはぼんやりと僕に答えた














 

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