32_BBQと燻製
触鬼の特性として討伐されたあとは霧散して消えドロップ品を落とすのが通常のプロセスである 故にこの世界における触鬼は人々の重要な食料 素材の供給源となっているらしい
触鬼の魔獣化は触鬼の輪廻を阻害するだけではなくドロップの食料 素材 の供給不足を引き起こす要因でありこのまま放置すればいずれこの世界の人々は滅ぶであろうというのがタマちゃんの見解であった
そんなことを討伐の帰り道にタマちゃんアルミちゃんとぼんやり話していたがとりあえず遠くの魔王より近くのバーベキューである
僕等は梨花やナバがカマドを用意して待っている河原のベースキャンプへと急いだ
触鬼ジビエールはこの異世界の山や森などにごく一般的に生息するやや中型の触鬼だそうだ
ジビエールの姿は元いた世界のイノシシによく似ていたが目は4つ大きな牙は下向きに6本生えていかにも凶暴そうな触鬼であった
僕等の討伐したジビエールのドロップ品はジビエールステーキというもので生肉だ
「うわぁ これ ごっつい うまそうだなぁ うち こんな分厚い肉食べるのひさしぶりだわぁ」
ナバは今にもよだれを垂らしそうだ
「おお うまそうだじょ このお肉はこのハーブを使うと臭みが消えて絶品になるじょ」
ユグドラは開いた手から沢山の葉っぱをとりだす その香りは清涼感はあるもののかなりきつい匂いである
「おや ユグドラ 樹木の妖精である君でもお肉を食べるのかい?」
アルミちゃんがちょっと意地悪にユグドラに聞く
「ふふ もちろんだじょ アルミ 触鬼たちはユグドラたちの木の実や木の根を食べて育っているんだじょ その触鬼たちのドロップしたものユグドラが食べる・・・・・・いたってシンプルな理論だじょ」
「なるほどにゃ ここにも輪廻の法則がはたらいているってわけにゃ ラスト そういうことにゃ」
(タマちゃんそういうことにゃって どういうことにゃ?)
ジュー
「こら ナバ 僕が切ってるそばから焼くんじゃない」
「いひひ まぁ いいがぁ アルミちゃん アルミちゃんのぶんも焼いとくけー」
「こら ユグドラ 肉を焼いたそばから食べるんじゃない」
「にゃーら タマもいたただくにゃ ニャハハ」
ガヤガヤとした雰囲気の中バーベキューの美味しい匂いが立ち込めていった
「さ ラストも食べろよ 僕が料理したこの味きっと気に入るとおもうよ」
アルミちゃんはそう言うと嬉しそうに僕に皿に盛り付けたジビエールの肉の薄切りをわたしてきた
(料理って切っただけだよねとは言えないな)
「ああ そ そうそう ラ ラスト お塩をふってあげよう」
額の目で僕の反応をしっかり見ていたアルミちゃんはなぜか真っ赤になりながら僕のお肉に塩をふってくれた
まるで僕の思っていることが伝わっているかのようだ
実際僕はこのとき僕の思っていることがアルミちゃん筒抜けになっていることを知らなかった
「ふう くったー くったー うまかったー うちのお腹もぱんぱんだー うっさうさー」
食事も終わりナバは膨れたお腹をポンポンたたきながら満足そうに鼻歌を歌っている
(ナバ べっぴんさんがだいなしですよ)
「残った肉は燻製にして持っていくにゃ そうしておけばしばらくは食料に困ることはないにゃ ユグドラ頼めるかい」
「じょ」
ユグドラは両手から木のかけらをまるでマジシャンの様に出していく
「タマ どんな 香付けがお好みじょ? これはいい匂いだじょ」
燻製はスモークチップと呼ばれる木を細かく切ったものを燻してその煙を肉に当てるため味はスモークチップで決まると言うことらしい
僕は実際に燻製を作ったことはないがとあるサイトにそのような情報がのっていたのをふと思い出した
「じゃあ これとこれはどうにゃ?」
「これとこれとこれがいいとおもうじょ」
「にゃーら これと これを・・・・・・」
タマちゃんとユグドラは燻製にかなりこだわりがあるのか2人でチップのブレンド方法をめぐって討論を開始したようだ
焚き火の残り火が揺れる中 小さな精霊たちが光りながら河原に飛び始めた
今日はここで野営ということになりそうだ




