表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/115

103_煩悩 嫉妬 憤怒

「はぁはぁ・・・・・・・あ あぶねぇ もう少しでモンスター化するところだったわぁ」


 あわやというところでアルミちゃんに声をかけられたナバは自分の精神を箱の外へと戻した


 僕らは神の作った世界の中にある古びた神社の中でこの世界から抜け出すための試練を受けている

 この神の箱庭は自分たちの精神を2分しその一つを反映した姿が箱庭の中の粘土に投影されるという奇妙なシステムだ

 箱庭の中の粘土に投影された精神は・・・・・・上から見ている僕達と共有され箱の中の狂った姿を矯正し自分を本来の姿に戻したものだけが神の道を通り元の世界へと帰ることができるということらしかった

 箱庭の中では様々な精神の課題をなげかけられその課題の反応によって箱庭の中の粘土は形と行動を変えてしまう

 それを修復すること・・・・・・すなわち精神の矯正をすることができれば本来のあるべき姿を取り戻せるということだった


「ナバちゃん あなたが元いた向こう側からこちらへ来る時もこの神の箱庭を克服したんでしょ その時と同じように精神を整えればいいのよ」


「ミカエルちゃん わかっとるでぇ わかっとるだけど うちい あんときみたいにうまくいかんだがぁ なんでだとおもう?」


 箱の外に精神を戻したナバは息を整えながらミカエルちゃんに聞く


「うん まあ今回のナバちゃんの精神の形は割とよくある形で強欲 怠惰 といった兆候がみてとれるねぇ」


「がーん しょっくだぁ うちぃ 知らんうちにすすけちゃったってことかぁ うわぁ ショックだー ナバさん ショックだでぇ」


「はーい じゃあ ちょっとナバちゃんは休憩・・・・・・えーっと 次ラストちゃんでいいかしらぁ」


 ミカエルちゃんに呼ばれ僕は一度目の箱庭がうまく行かず落ち込んでいるナバの隣を通って箱庭へ近づきその中を覗き込んだ


「はい じゃあラストちゃん 中の粘土があなたの分身 あの粘土にあなたの精神の半分を投影させる あなたはその姿をみてあなた自身の姿を取り戻す いいかしら?」


「はい やってみます」


 僕はミカエルちゃんにそう言うと箱の前に立ち目を閉じる

 ミカエルちゃんが持ってきた木の枝のような物を頭の上で振る音がしたあと僕の精神は箱の中へと導かれた

 みんなの顔も見えるが箱の中の景色も見えるという奇妙な状態だ


「それじゃあ 試練を見せるわね・・・・・・」


 ミカエルちゃんはもう一度木の枝を箱の外の僕の頭の上で振る


(ん アルミちゃん?)


 箱の中にいる僕の目の前に現れたのはアルミちゃんだ これはどこかの会社の出口だろうか・・・・・・アルミちゃんは紺のパンツに白いシャツ 短めの紺のジャケットを羽織ったスタイルだ


「アルミちゃん・・・・・・」


 僕は声をかけようと2,3歩近づこうとした その時 アルミちゃんの後ろから出てきた2,3人の若い男たちがアルミちゃんを囲む


「ねぇ 仕事も終わったんだしさぁ これから飲みにでも行かない? 社会人お付き合いも大切だよ ねぇ」


「あ 先輩 私 お酒飲めないんで・・・・・・」


「大丈夫 ちょっといてくれるだけでいいんだよ 男だけのアフター5は花がなくてねぇ ああ それからアルミちゃん・・・・・・今日のアルミちゃんの仕事のミス 僕が処理しといたから心配しなくて大丈夫だよ うん 気にしなくていいんだ うん」


「アルミちゃん 行こうよ」


 もう一人の男がニヤつきながら間髪いれずアルミちゃんを誘う


「今日のミスは気にしなくていいんだよ ねぇ・・・・・・ ヒヒ さ 行こう行こう」


(圧だろこれは・・・・・・完全なハラスメント・・・・・・)


「・・・・・・一軒だけ お付き合いします」


(っく)


 アルミちゃんは困惑したような表情になりながら男たちとともに歩いていく


「アルミ!」


 僕は精一杯虚勢を張り男たちの注意をこちらに向けるように声を出したがそれが男たちに届くことはなかった


(ああ そうだこれは神が僕に見せている絵空事か?こちらから干渉することはできないんだな・・・・・・)


 そしてその後場面が変わる


「もう一杯! もう一杯! いいねぇ おねえさん もう一杯お酒持ってきてよ」


 男達ははアルミちゃんを囲み談笑しながら酒を勧めている アルミちゃんはもうかなり酔っているようだ


「す すみません ふぅ 私 もう かえりますんでぇ 今日は ありがとう ふぅ・・・・・・でした」


「あらら もう帰っちゃうの? じゃ もう一杯 飲みなよ 飲んだら帰っていいよ いひひ」


 男は下卑た笑いを浮かべながらコップを片手にアルミちゃんに近づき肩を抱く


「はいこれ どうぞ おいしいよ 」


「うぅ ング 」


 男は困惑しているアルミちゃんの右腕を掴み動けなくしたあと無理やり酒をアルミちゃんの口元に持ってくる


(お前 アルミちゃんから今すぐ離れろ 離れろ 離れろ)


 怒りで何も考えられない・・・・・・今すぐあの男を殴りたいそんな衝動に駆られる


 ・・・・・・


「おやおや アルミちゃん こんな所で眠っちゃいけないよ・・・・・・イヒヒ」


「先輩 いいっすねぇ お持ち帰りっすか」


「なんだ お前 一緒に来るか ああ 来い来い 3人で楽しむかぁ」


 店から出ようとしているアルミちゃんは完全にグロッキー状態でほぼ男2人に支えられていないと歩けない状態だ


(やめろ どこに行く やめてくれ くそう くそう)


「アルミ アルミ !」


 僕は幻影に向かい届かない声を叫ぶ いつの間にか憎悪と殺意で何も見えなくなっていた


 ・・・・・・


「・・・・・・おい ラスト しっかりしろ 僕はここだ ここにいる・・・・・・」


 箱の上でかすかな声を感じる


(箱の上・・・・・・そうか ここは箱庭の中・・・・・・)


 意識が覚醒してくるとともに箱の外にいる僕の本体の右手に暖かさを感じた


「ラスト しっかりしろ 僕はここだ ここにいる・・・・・・」


「はぁはぁ・・・・・・アルミちゃん」


 箱庭の外の自分が落ち着きを取り戻し中の自分を見た 粘土の形はおぞましいモンスターの姿から元の粘土の形へと戻ろうとしていた


「はい ラストちゃん 休憩ね・・・・・・」


 僕はどうやら試練によって我を失ってしまったようだった


「ラストちゃんもちょっと時間かかりそうだねぇ えーっと 板さんは精霊だから免除 ハイ次 アルミちゃん どうぞ」


「ラスト じゃあいってくる 僕が危なくなったら君がこちらへ戻してくれ」


 アルミちゃんはそう言い残し箱庭がセットしてある机の一角へと座った僕とナバはアルミちゃんを挟むように座り箱の中の様子を見守った




























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ