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100/115

100_アルミ 水をかぶる

「・・・・・・特に前の方に座っていらっしゃるお客様・・・・・・当ショーではシャチが大量の水を降らせる場合がございます 貴重品 端末など・・・・・・」


「それでは開演です ごゆっくりご観覧ください」


 水族館スタッフトレーナーがステージにたちシャチのショーの説明したあと口にくわえた笛をならすと一匹のシャチがプールの中央から飛び出した


「おおお」


 プール中央から飛び出したシャチの巨大さとジャンプの高さで周囲からどよめきがおこる


「お おい ラスト 君たちの世界にもあんな巨大なものがいるのか? ウオータードラゴンの子供くらいの大きさはあるぞ あのテイマーたちもなかなかのものじゃないか」


 観客席のやや前方に座った僕達はスタッフから濡れ防止用の簡易なナイロンを受取りショーを観戦している

 ナバもアルミちゃんもスタッフの笛とジェスチャーの動きに合わせてそのつど動く巨大なシャチを眼を輝かせて見ていた


 ・・・・・・


「最後になりました 今回のショーの目玉でございます お客様のすぐ近くでジャンプするシャチくんの勇姿をご覧くださいませ」


 ピッ


 笛の音とともに僕らの前を悠然と泳いでいたシャチが急にプールの深みへと消えていった


 ピッ


 そして次の笛の音が僕らに届いたとき僕らの眼の前の空中に巨大なシャチの身体が舞った


「うおー」


 ドッバーン


 シャチが着水すると巨大な水柱があがる


「ラ ラスト ナ ナバ 」


 僕とナバは水が降り注ぐ事を予想していた為すぐに用意してもらっていたナイロンを被ったがアルミちゃんは僕らにそれを確認しようとしたため一瞬判断が遅れる


「シールド ウインド!」


 アルミちゃんは即座に右手を上げ簡易な魔法を唱えたがそれが発動することはなかった


 ドババババ


 そして豪雨


「うわぁーー」


 アルミちゃんは悲痛な叫び声をあげるがそれは降り注ぐ水の音によってかき消されることとなってしまった

 魔法の発動のため右手を天にかざしたまま固まっているアルミちゃん・・・・・・

 祖母たちの待っている世界であればきっと助かったであろうアルミちゃん・・・・・・・


(僕は君のことを忘れない)


「ラストー ナバァー」


 ずぶ濡れになってしまったアルミちゃんは恨めしそうな眼を僕らに向けた


「わははは アルミ ビショビショだがぁ わははは」


 ナバはアルミちゃんに指を指しながら笑っている


(ナバ それはひどいよ・・・・・・・がその姿は面白い プクク)


「ナバも ラストもひどいぞ 僕はもう君たちとは口を聞かない」


 アルミちゃんはずぶ濡れのまま頬を膨らませそっぽを向いたがその姿が妙に可愛らしくて僕は思わずキュンとなってしまった


「わははは ジョーク ジョークだでぇ アルミ 怒んないなぁ な な 後でナバがそこで売っとった可愛い服かってきたるけぇ な な」


 なんとかアルミちゃんをなだめた僕達は着替えを購入するためシャチスタジアム近くのショップに立ち寄る

 お店はシャチミュージアムで皆ずぶ濡れになることがわかっているのでお手頃価格のTシャツや下着といった衣類を売っている うまい商売だ


「・・・・・・ど どうかな ラスト」


「ぶっ」


 僕はおもわずフィッティングルームから出てきたアルミちゃんを2度見してしまった その格好はおへそを出した過激な格好でありピッタリと身体に張り付いた小さなシャツについたキャラクターのシャチはアルミちゃんの胸のところで大きくつぶれて間抜けな顔を晒していた


「おお アルミ よう似合っとるでぇ かわいいでぇ でへへ なぁ ラストちゃん」


(目の保養にはなるが・・・・・・これは完全にうさぎの策略)


「ア アルミちゃん すごく可愛いけど ちょっと あの あっちのほうがいいかも・・・・・・」


 僕はナバと沈黙の視線バトルを始めながらアルミちゃんに普通のサイズのTシャツを勧めた


「チッ」


 近くでナバの舌打ちが聞こえた


「ラスト 今日は有難う すごく楽しかった」


「そうだなぁ うちもおもしろかったわあ 向こうに帰ったら触鬼集めて触鬼館つくろうかなぁ アルミ ラスト 手伝ってえな」


 アルミ ナバの2人共子供のような笑顔を見せながら話している

 僕は今日はここへ来たのは正解だったな等と思いながら端末の時間を確認した


 ・・・・・・


 水族館の観覧を終えた僕達はイシューとの約束の時間が近づいたため気持ちを入れ替え僕達が指定したホテルのロビーへと

 向かった


「あそこにおるでぇ 」


 ナバはイシューとその付き人のいる方を見えないように小さく指差し僕らに伝えると今までのへらへらした顔をキッと厳しい顔を作った


「あ こんにちは」


 僕達もイシューたちもお互いの存在を気づいていたが小さな声で届く範囲まで近づいてからの挨拶となった

 今日の目標は次の機会でイシューをプライベートな場へと連れ出すことだ


「ん?」


 イシューは僕の顔を見た途端少しだけ考えるような素振りを見せた


「あー たぶん初対面だとおもうんだが 君 どこかで会ったことがあるかなぁ?」


 僕はイシューはきっとこの前の試合の観覧のときどこかで僕達を見かけたのだとおもい返答する


「イシューさん この前の試合見に行ったんでその時じゃないですか?」


 少しフレンドリーな答え方だとは思ったが距離を少しでも縮めておきたい


「んー そんなんじゃねぇような気がするんだがなぁ・・・・・・」


 イシューはまた少し考えるような素振りを見せたがそれを切り替えるように付き人とアイコンタクトをとったナバが話し出す


「それでは 早速ですがスタジオの方に向かいます イシューさん今日はよろしくお願いいたします」


「イシュー それじゃあ いきましょう」


 イシューの付き人はナバとイシューの間に割って入るようにナバに返事をするとイシューを見た


「・・・・・・はいはい」


 ホテルのロビーから撮影スタジオには歩いて向かう

 僕がイシューと砕けた話ができるのはこれが最初で最後のチャンスになるかもしれない


「イシューさん」


「ん?」


 僕はここでうまく有翼の女神像のワードを持ち出しイシューとミカエルちゃんを会えるようにしたかった






















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