オタク君、ロリ巨乳の姿で猫になる
こう言う作品が小説家になろうでだとどういう反応なのかが気になったので、ひとまず投稿してみた
イェーイ!オタク君見てるかなー?今からここにある君の体を改造していきたいと思いまーす!
って、突然かな?でも、多分これを見てるってことは、自分の状態を理解してるってことだよね?
まあいいや、とりあえず今からオタク君の体を改造していく動画を垂れ流すから、良―く見ててほしいな。このあまりにも醜いオタク君の体があら不思議、可愛らしい女の子になっていくから。
……おっほん、さてさて始めて行きましょう。種も仕掛けもないビックリイリュージョンを!
そのためにはこちらのアプリ!なんか知らないけど、気づいたら私のスマホに入ってた奴なんだよね。これが中々面白くってさ。とりあえず、これを起動させてカメラモードでオタク君の体をカシャリっと。よし、これで準備は完了。
それじゃあ、よく見ててね?これをこうすると……見て見て凄くないこれ?オタク君の貯めに貯め込んだ脂肪の塊がぎゅぎゅーっとなくなっていくでしょ?
ただただスマホを操作するだけで、あんなに太ってたオタク君の体がスリムになって、ダサい服がブカブカに!こんな簡単に痩せられちゃったら、ダイエット関係の会社とか涙目だねー。
さて、ただ脂肪がなくなっただけで、オタク君の醜い体も少しはまともになったかな。オタク君もう少し運動とかした方が良いよ?
まあ、それは置いといて、これである程度はわかったかな。このアプリってどうやってかはわからないけど、人の体を弄れるみたいなんだよね。色々怪しいアプリだから自分には絶対使いたくないね。なーのーで、今回はこれを使って、オタク君の体で遊んでいきまーす。
ところで、オタク君さぁ。やっぱり画面に映るなら男の体じゃなくて、女の子の体の方が嬉しいよね。そうだよね?
ということで、まずは性別からだね。これをこうすると……。おお、ゴツゴツした体がこんなにもドンドン萎んでいく……。胸はちょっと膨らんで……なんか私より大きくないかな?……まあ良いや、多分オタク君の股間も変わってるとは思うけど、流石にそれは見たくないから、後で確認してね。
これで良し、これでオタク君は晴れて女の子になったわけだけど、これだけじゃつまらないよねー。折角だし肌を少し弄って真っ白すべすべもち肌に変更っと。
おおー凄い、凄いよーオタク君。これは凄く良い。いつまでも触っていたくなるぐらい綺麗な肌になってるよ。これは私としても羨ましいね。
次だけど、その大きな脂肪の塊をを弄っていこうか!別に元々男のくせに私より大きのとか根に持ってないからね?ホントだよ?嘘じゃないからオタク君の胸をドーン!
大きさはバレーボールぐらいかな?これだけ大きいと動くの大変なんだろうねー。私にはわからないことだけど。あーでも、これ凄い柔らかい。破裂すれば良いのに……。
おっほん、さてさてこれでオタク君の体は誰もが羨むセクシーボディに大変身!って思ったけど、まだだったね。髪の毛がボサボサで全然ダメダメ。やっぱり、女の子は髪が命。ちゃんとこっちも弄ってあげないとね。
黒髪は……今までと変わりないし、真逆の白い髪にしちゃおうかな。長さは腰まで……あ、伸ばし過ぎてお尻が隠れるぐらいまで伸びちゃった。まあ良いや、これはこれで。
あ、そうそう、オタク君って髪の毛を洗うときとか、どうせシャンプーのみのドライヤーなしとかでしょ?それじゃあ、こんなに綺麗な白い髪なんて普通すぐに駄目になっちゃうんだけど……。
なんと、このアプリで弄った場所はそう言うのを気にしなくてオッケーみたいだよ!どんなに雑に扱っても綺麗な白髪のままで寝ぐせの心配もなし!代わりに髪の毛を切ることは出来ないし、伸びることもないからずっと、このまんまなんだけど……全く問題はないよね!
そうそう、髪の毛と同じで体もそういう風になってるみたいだから、どんなに日に当たっても真っ白お肌、年をとっても皺の1つも出てこないよ。羨ましいね!
さてさて、これでオタク君の体は誰もが振り向く美人さんに大・変・身! さっきのブヨブヨな体とは考えられない見た目になっちゃったね~。
後は仕上げなんだけど……なんか、忘れてる気がするんだよね。絶対これはやってやるみたいなことがったんだけど、ちょーと待ってね。今思い出すから。
ああ思い出した思い出した。オタク君って前に魔法少女だっけ?小さな女の子が出てくるラノベを持ってきたことあったでしょ?
それ見て思ったのよ。あーオタク君ってこういう小さな子が好きなんだって。だから、身長をこう弄ってっと、小学生って何㎝だっけ?保険の授業で習った気がするんだけど……とりあえず、100㎝ピッタリでいっか。
うわ、凄く小さくなっちゃったね……これって小学生より小さいじゃないかな……?てか、体が小さいのに胸が大きいから見た目が凄いことになってるよ……うける。まあ、オタク君って小さい子好きだと思うし、これくらい小さい子なら喜んでくれるでしょ。
ん?髪の毛って身長に合わせて変化しないのね。さっきまで、お尻くらいの長さだったのに、今は自分の身長と同じくらいじゃないかな?少しでも屈むと地面に髪の毛が付いちゃうね。でもまあ、それに関しては結ぶとかして頑張って欲しいかな。
あーそうそう、さっきも言ったけど、体も髪の毛と同じで成長するってことはないから、ずっと姿のままだね。可愛い姿から美人になるまでの家庭を見ることは出来ないけど、太ることもないし、小さい子が好きな子なオタク君にとっては問題ないかな?
後このアプリね。変化した見た目が変わらないって説明書に書いてあるんだけど、それの例としてナイフで肌が傷つくことや、銃弾で穴が開くことがないって書いてあるんだよね。ホント凄くない?
実際どうなのかはわからないから、気になって試したらその結果を教えてね~。
さて、オタク君の体が天使の様に可愛い子になったところで、これで後は仕上げだね。ちょーと待っててね。
いたっ、ち、ちょっと暴れないでってば、大人しくしてて……。よっと、この子に見覚えるかな?普段、オタク君が昼休みに一緒にご飯を食べてる黒猫ちゃん。
この子をオタク君と混ぜたいと思いまーす。
何を言ってるんだって感じはあるよね?正直私もなんだけど、このアプリを弄ってたらね。融合って言う気になる単語があったのよ。それでちょっと実験で手伝って欲しいんだよね。一体これをやったら、オタク君はどうなるんだろうなーって気になって夜しか眠れないからね。
さて、アプリをこう弄って猫ちゃん投入!
うわ……オタク君の体が水みたいになって猫ちゃんがどんどん入っていく。ナニコレ気持ち悪い……バイバイ猫ちゃん。
よし、これでオタク君と猫ちゃんは一心同体。仲の良い二人?はいつも一緒ってやつだね。
さて、これでどうなるのかなーって思ってるんだけど……。
ふむふむ、まずは頭の先に黒い毛むくじゃらの突起が生えて……耳だね。次は毛むくじゃらのコードが……尻尾だね。
おお、次はオタク君の両手が風船みたいに膨らんでってるよ。そして、クリームパンみたいな手になったら、そこから黒い毛がわさーっと生えて、あら肉球の出来上がり。小っちゃい爪もピンと生えてて凄く可愛い感じになったね。
うーん……これだけかな?他は何か変わってる気がしないけど……これじゃあ、アプリで生やしても良かったんじゃないかな?猫の毛だけ色変えられないから、真っ黒なままだし……パンダかな?
とりあえず、これで体は完成っと。色白白髪ロング巨乳猫耳ロリって言えばいいのかな?なんか適当に可愛いのを詰め込んだ闇鍋みたいな感じになっちゃったけど、これならオタク君もきっと大喜びだよね。
それじゃあ、最後に服装を変えちゃいましょう。こんなオタク君の可愛い子になったんだからね。服装もこんなダサいのじゃなくて、オタク君好みにしちゃおうか。
って言っても、オタク君の服の趣味ってわからないんだよね。だから適当に……メイド服とかで良いかな?スカートが短い奴。前に私の友達の彼氏がそう言うの好きって言ってたし、オタク君もきっと好きだよね?
これをこうして……おまけに可愛い尻尾にリボンと鈴を付けちゃおう。よし、これでオッケーっと。そうそう、オタク君のその手じゃ服とか着るの大変そうだから、服は脱げない様にしてあげたから。これで一回一回着替えなくても大丈夫だね。あ、安心して花を摘むのにパンツが脱げないと大変だから、そこは脱げるようにしたから。それにパンツもレースの可愛いのに変えておいたよ。後、その服って水で濡れてもすぐ乾くように弄ったから、その恰好でお風呂に入っても大丈夫だから。
後は何言うことあったかな……?
あ、そうだ。オタク君の今の格好って小さくて巨乳な子供がメイド服と猫耳を付けてる状態なんだけど、普通に考えたらオタク君が急にこうなったらみんな驚くじゃない?けど、このアプリを使うと私以外には元々オタク君の体はそれだったって認識されるようになるらしいんだよね。
しかも、その恰好があらゆる制服代わりにもなるらしいの。だから、その恰好のまま学校や将来会社とかに行っても全く問題なし!それで、もしここを直したいってところがあったら、学校に来て言ってくれると嬉しいな。ていうか、そうしないと直してあげないからね。
ということで、これにて私のビックリマジックショーは閉廷。
オタク君が学校に来るの楽しみにしているからね。
〇
その言葉と共に画面が止まり、朝のニュースへと勝手に切り替わる。それを見ては、近くにあるリモコンを丸い黒い手で引き寄せ、先に生えている小さな爪で慎重にボタンを押してテレビを消した。
テレビの音が消えると、背中からリィンと鈴の音が良く響く。
それを背景に彼は自分の手を見つめる。
「にゃっ……」
目に映る筈の太い指は何処へ、代わりにあるのは黒い毛に覆われた猫の様な肉球のある丸い手。それは物を持つことが出来ず、傍にあったリモコンを自由に操作すらできない。
彼は目覚めた時、心底驚いた。
なんせ手は猫の様な物に変わり、鈴の付いた尻尾が生え、体は幼稚園児ぐらいまで縮み、髪は身長と同じくらい伸びている。そして、脱げないメイド服に包まれたバレーボール程の大きな胸がある。自分と言う要素が全て失われた姿を見て、最初は夢だと思った。しかし、時間が経つにつれ、それが現実であると理解させられた。
何が起きたのか理解に苦しんでいると、布団の傍のテーブル。そこにリモコンとメモ紙があり、そこに書いてあった通りにテレビを付けCDを再生すると、先ほどの映像が流れた。
クラスメイトの女の子が自分の体を変えていく映像を。
彼の身体に異常がなければ、あの映像は作られたものであると判断できるのだが、今の自分の姿がそれを現実に起きたことであることだと理解させる。
確かにあの姿は可愛かった。彼女の言う通り好みと言っても差し支えないレベル。なれるならなりたいとも思わなくない。
だが、実際になってみてわかったのは、この体には問題しかなく、早く戻りたいという気持ちが芽生えた事であった。
その問題点とは。
「早く起きなさい。学校に遅刻する……」
「にゃ、にゃにゃにゃ!」
「ってもう、起きてるじゃない。早く下に降りてご飯食べちゃいなさい」
「……にゃ」
部屋に入ってきた母親は驚き、とっさに声を上げる。どうやって母親に自分であるかを理解させようかと悩みながら、口に出てくる声は猫の鳴き声そのものだった。
そんな、今の彼の姿を見ても母親は何の反応もしない。それが当然の様に彼の姿を彼であると捉え、ご飯の準備が出来たことを告げる。それに彼は再び猫の様な鳴き声を上げて返事をする。これは別に猫耳が生えたから、ふざけて猫の鳴き真似をしている訳ではない。
それしか口に出せないのだ。
彼が目を覚めて、今の今まで何度も普通に人間の言葉を話そうとした。しかし、何度も何度も声を出しても、猫の鳴き声しか出てこない。無論、その猫の言葉が母親に通じる訳もなく、どんなに声を上げても母親は適当な返事しかしない。
彼は失ってしまったのだ、人間の言葉を。
それ以外にも問題点があった。
「に、にゃっ」
「……何やってるのよ」
彼は座っていたベッドから、ゆっくりと降りて足を二本着けて立ち上がる。しかし、その足は震えていた。まるで生まれたての小鹿の様にガタガタと震える足は歩こうとする自分の体を支えることが出来ず倒れてしまい、その勢いで短いスカートが捲れパンツが見える。
何度やってもそうだった。
立つことは出来た。しかし、そこから一歩も歩くことが出来ず、その場で鈴の音を立てながら転んでしまう。その度に子供とは思えない程の胸が大きく揺れ、転んだ時とは違う痛みを伴う。
結果的に移動するには四つん這いになるしかなく、それはまるで赤ん坊、いや尻尾や耳がある分、猫の様だった。
正直、こんな状態で朝食を食べたくないし、学校に行きたくもない。だが、元に戻るにはクラスメイトである彼女の力が必要であり、連絡先などを持ってない彼が会うには学校に行くしか選択肢がなかった。
「にゃ、にゃ、んにゃ」
母親の様子から自分の姿に違和感を持たれないことを理解すると、強く決心を決め学校に行くために、まずは朝食を食べに行こうと四つん這いのまま、部屋へと出ようとする。
一回一回手足を動かすたび、尻尾に付けられた鈴の音が響き、床スレスレの大きな胸が小刻みに揺れる。身長と同じくらいの髪の毛が足元に広がっているが手足に引っかかる所為で歩きづらい。
それを見かねた母親が髪の毛を地面に着かないために彼の身体に巻き付ける様に結ぶと、髪の毛を踏んで頭部に痛みが走ることは少なくなった。本来は自分でやることだろうが、現在の丸い手ではそんな器用なことが出来る筈もなかった。
普段の歩きよりもゆっくりな速度で進んでいると、下へ下るための階段へとたどり着く。そして、お尻が下になるように方向転換をすると、ゆっくりと階段を降り始めた。普通の床でギリギリだった大きな胸だったは、階段では胸の先が擦れるようになる。それが一段毎に胸が擦れるため、下にたどり着いた時には異様な程疲れが溜まっていた。
「にゃっ」
ようやく下の階の炬燵にたどり着いた彼はそこで胡坐をかいて座る。そうしていると、母親が朝食を乗せた皿を幾つか持ってくる。
「にゃ……」
「ほら、そんなところにいないで、こっちに来て食べなさい」
それを見て彼は困惑した。食事が置かれたのは目の前の普段食べている炬燵の上ではない。その傍の床の上、そこに鮭の塩焼きや大根の味噌汁、白米などといった普通の朝食が並べられる。
そして、それら全ては皿の下、高台と呼ばれる部分が異様に高い平皿の上に置かれていた。汁物である味噌汁でさえ。
加えて、どこを見ても箸などもなく、まるでそのまま犬食いをしろと言っている様だった。だが、それは仕方がないことだった。今の彼は箸どころかスプーンすら握れない。その状態でご飯を食べるには犬の様に食うしかないのだ。
「ふんにゃ」
仕方がないことだと自身に言いつけながら、炬燵を離れ床に四つん這いになり犬の様に食べるため、ゆっくりと皿に顔を近づけ、料理を口に入れようとする。その時、彼は胸が床に着く感覚を覚え、それによりその皿を出されたのか理解した。
もし、これが普通の平皿であれば、胸が机や皿に触れ、食べ物に顔を近づけることすらできなかっただろう。そう考えなら、ご飯粒や鮭の脂が口の周りに付きながら食べ、口を伸ばし吸うように味噌汁を啜る。明らかに学生である彼がする食べ方ではないため、その行為に強い抵抗を覚えるが、それでしか彼は食事が出来ないため諦めるしかなかった。
全ての皿が空になれば、次は家を出る準備をしようとする、その前に彼は尿意を覚えた。四つん這いでトイレへと移動する。このままではドアノブに手が届かないため、ドアに手を置き上るようにして、ドアノブに手を掛ける。幸い、彼の家の扉はレバー式であるため、肉球に上手く引っかければ開けることが出来る。
扉を開け四つん這いでトイレの中に入ると便座の蓋を爪で引っかけて開ける。そして、尿を足すために、スカートを捲り中にあるパンツを下ろそうとしたところで彼の動きは止まった。
「にゃ、にゃっ」
パンツが上手く下せない。薄く強めに締め付ける彼のパンツに爪を引っかけようとしても上手く引っかからず、引っかかったところで四つん這いのため両手を上手く扱えず、上手く脱げない。
普段以上の時間をかけてパンツを脱ぎ這い上がるようにして便座へと座る。そうして、ようやく彼は尿を足すことが出来た。
しかし、ここで新たな問題が発生した。
お尻を拭くことが出来ない。女性がトイレをした後、紙で拭くのは知っているが紙を上手く掴めない彼には紙で拭くという行為すらまともにできない
「全く……トイレなら先に言いなさい」
そうこうしていると、母親がトイレにまで来ていた。そして、慣れた手つきで紙を巻き取り彼のお尻に着いた尿を拭きとる。それが終われば彼を便座から降ろし、脱いだパンツを履かせた。
その行為が明らかに自然で、普段からしているかのように慣れていた。
いや、実際にしているのだろう。ただ、彼の記憶にないだけで、普段からトイレの度に母親に手伝っているのだろう。それが凄く情けなく感じた。
「それじゃ、いってらっしゃい」
「にゃ、にゃー……」
学校に向かうため、荷物を背負い玄関へと向かう。普段であれば、片手にカバンを持つところではあるが、それが出来ない彼は、母親にリュックサックを背負わせてもらい落ちない様にベルトで固定してもらう。
正直に言えば、ここから先が憂鬱であった。それもそうだ、彼は猫耳メイド服の姿で外に出なければならない。それも四つん這いの状態でだ。母親は自分の姿に違和感を持っていなかったが、他の人はわからない。もし違和感を持てば完全に変態扱いされ、警察にお世話になるのは目に見えている。出来れば、母親が送り迎えして欲しい所だが、言葉が通じない上に明らかに普段から彼一人で学校に行っているような態度なため、連れて行ってもらう事は不可能だと感じた。
諦め玄関を出ると、目の前には無論道路がある。彼の家は駅や学校までの道の傍であるため、社会人や学生などが多くその道を使う。故に彼が道路に出れば誰かの目に留まることは確実である。
大丈夫だと、今日一回学校に行き元の戻してもらえれば、それでこの生活は終わる。そう思い覚悟を決めて、彼は道に出る。
今日は誰も道路にいないという奇跡を望んでいたが、そんな都合の良い事は起きず、辺りには学生や社会人、主婦の姿が多く見られた。その中を彼は進んで行く。
周りからしたら自分がどう見えているのかはわからないが、周囲の反応から母親と同様に違和感を持っていないとだけは伝わる。それでも、この姿で外に出ることは抵抗がある。
彼からしたらメイド服を着て猫耳やしっぽを付けて四つん這いで進んでいるのだ、しかも動く度にお尻を振れて尻尾に付けられた鈴が音を響かせ、その度に自分が見られている様な感覚すらする。
「にゃ……にゃぁ」
あまりの恥ずかしさに道の端に寄り、泣き言に用に声を漏らしながらも、彼は学校へと向かう。
〇
「おはよう!」
「にゃ、にゃあ」
羞恥心に苛まれながらも、ようやく彼は学校へとたどり着いた。門を見張る先生の横を通り過ぎる際、明らかな変質者である彼に何の違和感も持たれず、笑顔で挨拶すらした。
そして、彼女がいるだろう自分の教室に向かうため、のそのそと階段を上がっていく。その度に鈴が鳴り、大きな胸が階段に擦れる。
そんな光景を誰も気にしていない。聞き覚えのある声が笑い声で聞こえた。
「ふふふっ……めちゃウケル」
その声の先に視線を向けると、そこにいたのは自分をこのような姿に変えた張本人だった。彼女は明らかに自分の方を見ながら笑っている。
「にゃ、にゃぁ!」
「あ、やっべ」
彼はすぐに彼女の方へ向かっていくが、それに気が付いた彼女はすぐその場から離れ教室とは違う方向へ進む。
小さな体で四つん這いになり進むそれは、どんなに急いでも彼女が少し早く歩くだけで追いつけなくなる。必死に姿を見失わないように必死に追いかけ、人通り少ない場所にたどり着くと、そこに彼女がいた。
「はははっ、なにそれ。それあれかな?猫ちゃんと混ぜたからそうなったのかな?なるほどなるほど、これは面白いねー」
「にゃ!にゃぁん!」
「ハイハイだけじゃなくて、猫みたいな声しか出せないかなー?正直、何言ってるか全然わかんないね」
彼女は彼に起きた変化に笑う。それを見て、羞恥心が高まりながらも、彼女に元の体に戻す様に懇願する。
「うーん、お礼の言葉を言ってるのかな?その身体気に入ってくれて、作った側からすると嬉しいね」
「にゃぁん!」
「あー冗談冗談、流石にその状態だと普通の生活自体難しそうだよね……。せめて、そこだけでも直してあげたいんだけど……」
そういう彼女は申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。
「後で気が付いたんだけど、これって一回変えると同じ対象を変えるには一週間ぐらい空けないとダメみたいなんだよね」
「にゃぁ!?」
「ごめんね?だから、一週間経ったらその姿から変えてあげる。あーでも、その間ずっと引きこもりって言うのなしね?もし、一日でも来なかったから、変えてあげないから」
「にゃん!?」
「それじゃあ、そろそろHR始まりそうだし、私先に行くから、猫ちゃんもそれまで楽しい学校生活を送ってね」
そう言い、彼女はこの場を駆け足で離れていく。
「にゃぁ……」
彼はただただ立ち尽くし、この一週間の間、この姿で学園生活しなければならないことに絶望し始めるのであった。
〇
「いやまあ、嘘なんだけどね?すぐにオタク君を戻すことはできるけど……あんな面白い事になってるのに、元に戻すわけないじゃん?さてさて、今度はどんな面白い姿にしてあげようかなー」
彼から離れた彼女は不敵に笑う。
彼が元に戻れるときは訪れるのだろうか、それは誰もわからない。