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事実は小説よりも奇なりという

『小説の新刊読んだ後はめちゃくちゃ執筆捗る説』は正しいと確信しました。

「いや〜、一時はどうなることかと思いましたけど無事終わって良かった••••••!」


「莉亜様が本気で怒りかけたときが一番焦りましたね」


「だ、だってあれは父様がやりすぎるから••••••!! 玲ちゃんもそう思うでしょ?」


「まあ•••••• 流石にいかがなものか、とは思いましたが。 あとちゃん付けやめましょう」


「••••••••••••あの〜」


「? どうされました。柚斗様」


「あ、柚斗さん顔色悪くないですか!? ウチの父様のせいで疲れちゃいましたか••••••!?」


「い、いやその辺は全然なんすけど•••••」


「何です?」


「えっと、一言で言うとですね」


「ええ」


「この状況が未だに理解できてないっす••••••」



ーー田山家と竜胆家の顔合わせが終わった午後。

やたらと人の少ない電車の中で隣に座る莉亜さんと、メイド服に身を包み真正面に立つ三上さん(空席だらけなのに座らない)を見ながら、俺は痛切に呟いた。


いやホント、どうしてこうなった••••••?




「簡単に説明するなら、『仕事』と『お礼』でしょうか」


「はい???」


俺は思わず問い返した。 隣の莉亜さんも軽く首を傾げている。


「ですから、私がお二人について来たことと、柚斗様の通帳残高の桁が八つも増えたことの理由ですよ。 説明が欲しかったのはこの二つなのでは?」


あっさりと正解する三上さん。 まあ正直これくらいしか思い浮かばないか。


「ま、まあそうっすね」



「私のほうは単純なことです。『今日からはあの二人が主人になる』と、旦那様が」


「••••••それだけすか?」


「ええ。 ですからこれも仕事です」


ホントに単純だった。 あまりにも単純でビビった。


「えっとその••••••理由とか聞きました?」


俺のその問いに、三上さんはさらりと答える。



「主人の•••••• いえ、『元』主人でしょうか。

ともかく、お仕えしている方の意見にいちいち疑問など持っていては、メイドなど務まりませんよ?」


「••••••そういうもんですか」


「そういうものです」


「玲ちゃん、プロだねえ••••••」



心底感心した表情の莉亜さん。 俺も同意だ。

これぞプロのメイド、というやつを見せつけられた気がする。


••••••いや、メイドにプロとかアマチュアとかあるのかは分からんけど。


「この仕事も長いですから。 あとちゃん付けはやめましょう」


「そこに関しては頑なだよね」


「呼ばれるたびに不似合いだなと実感するので」 


「そんなことないと思うよ〜? あ、柚斗さんはどう思います?」


「へ?••••••あ、俺っすか?」


すっごい自然に敬語に切り替わってびっくりした。


こっちが普通で、三上さんが例外って感じなんだろうか。



「そうっすねえ•••••• 個人的には全然合ってると思いますよ?  俺は『三上さん』って呼ぶと思いますけど」


俺がそう言うと、三上さんはほんの少し訝しげな目をして


「••••••? 呼び捨てで構いませんが」

と返すのだった。


「いや、無理っす」


たとえ主人とみなされても、俺にはまだ無理である。 

年上だもの。 三上さん大人だもの。



「よりによって人の多い電車でこれからする話を始めるのはいかがなものかと思ってましたが」


「そうっすね」


「うんうん」


「とうとう1人もいなくなりましたね••••••」


そうなのだ。 俺たち三人より先に乗ってて、あとから乗った俺達(具体的には三上さんのメイド服)を唖然と見つめていた年配のご夫婦が下車し、とうとうこの車両は俺たち三人だけになった。


「これで実質個室っすね」


「電車を『個室』と呼ぶ方にこれからお仕えするのかと思うと若干不安になりますが、 話を進めましょう。

今回の件のお礼の三億円についてですが」


お礼の三億円。 改めて聞くととんでもない言葉である。



「これに関しては簡単です。 莉亜様が約束したのでしょう?」


「えっ?••••••あっ私ですか!? うん確かに約束した!」



「敬語なのかそうじゃないのか分かんなくなってますよ莉亜さん!?」



「あっ•••••• 二人と話してるとつい••••••」



可愛らしさと恥ずかしさが同居したような表情の莉亜さんを横目に、三上さんは続ける。


「約束されたのでしたら、 支払われるのはごく自然なことではありませんか?」


それはそうなんだよ。 そうなんだけれども。



「実際、信用はしたけど確信はしてなかったって感じで」


「私が払うって言ったんだから払うんです! 私は約束守るんです!」


「近いっす莉亜さん、近い」


顔を近づけてくる莉亜さん、圧が強い。 あと可愛い。



ーーとりあえずこんな形で、特に俺の意向とかは関係なく、

俺と莉亜さんの生活に『三億円』と『美人メイドの三上さん』という二つの要素が加わることになる。


すでに『平凡』の二文字がはるか遠い何処かへ旅立っていったような気がするけど、まあ気のせいだよな••••••!

























































ここまで読んでくださった貴方に最大の感謝を。

正直今回はラブの字もコメの字も見当たらない回になってしまったのでは?(不安)

次回は100パー今回より面白いと思うのでお楽しみに!!!


執筆中BGM•白日(King Gnu)


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