邂逅•田山家と竜胆家①
突然新キャラ登場します。
「ずいぶん久しぶりですね。 ここへ来るのも」
「••••••••••••えっと、莉亜さん」
「あ、はい! なんでしょう柚斗さん?」
「ここ、家っすか? 美術館とかじゃなくて••••••?」
「ばっちり我が家ですね! あ、でも絵とかもいっぱいあったような••••••?」
「••••••••••••」
「••••••••••••」
でかい。 でかすぎる。
莉亜さんの案内に従って親父が車を走らせ、 辿り着いた都内某所。
俺たち家族と莉亜さんは、 無事目的地である莉亜さんの実家にたどり着いたんだが••••••
そのあまりのスケールに、 莉亜さん以外の全員が言葉を失うことになった。
なお親父と母さんは現在進行形で絶句中。
「こういうのを『豪邸』って言うんすね••••••
なんかもう、 「大きくて広い』みたいな言葉で表せるレベルを超えてるっすよこれ」
「ね、ねえ莉亜ちゃん。ここ、何坪くらいあるかわかる?」
ここで母さん復活。
「えっと•••••• 諸々の土地含めると、たしか700くらいだった気がします」
「な、700坪••••••」
「親父、わかりやすく表すと?」
「ウチがちょうど35軒入る広さだな•••••••」
「いや広すぎだろ!!!」
隣に座る莉亜さんのことを一瞬忘れて、 俺は車内に声を響かせた。
◇
「莉亜ちゃん。 車はどこにつければいい?」
「あ、今見えてる駐車場に入れていただければ!」
「了解した」
「わ、駐車場一つとっても広いねえ••••••」
「うちはお手伝いさんとかもあんまり雇わないことにしてるので、 使わないスペースの方が多いですけどね!」
「な、なるほど〜••••••」
どことなく曖昧な返事を返す母さん。
あの様子だと、母さんも感づいたな?
◇
「ここです! 到着ですよー!」
「こりゃまたすごいっすね••••••」
車から降りて、少し歩いて辿り着いた場所。
目の前に広がるのは、威圧感すら感じさせる大きさの、真っ白な門だ。
普通に生活してて見る景色じゃないよなこれも••••••
「おい息子よ。 俺は早くも学習したぜ? いちいち驚いてたらそれだけで体力尽きそうってことをな••••••」
「右に同じ」
「••••••それもそだな」
大人二人の適応力にちょっと感心した。
そして莉亜さんはと言えば、 俺たちの会話を聞き取りつつも門の目の前をうろうろしている。
「莉亜さん? どうしたんすか?」
「ん〜•••••• ちょっと待ってくださいね? もう少ししたら来ると思うので」
「へ?」
ーーその時。
ごうん、という重々しい音とともに、なんの前触れもなく目の前の門が開いた。
そして、門の奥に人影。
「お待たせしました。お久しぶりです。莉亜様」
「うん。玲ちゃんも元気そうで良かった」
「••••••ちゃんはやめましょうって、何度も言ったはずですが」
「同い年なんだしいいでしょ? ってこれも何回も言った気がする!」
「もう何回目でしょうね、このやりとり」
「誰か数えてたりしないかな?」
「誰もそこまで暇じゃないです」
「••••••なあ、親父、母さん」
「••••••おう」
「うん」
「••••••俺たち、忘れられてるよな? 完全に」
「たぶん今感動の再会ってやつだろ。 邪魔しちゃ悪い」
「そっか。••••••そうか?」
初めて聞く、どこか気安い口調で話す莉亜さん。
その話し相手の、整った黒髪の女性に興味を抱きつつ、 俺たち家族は成り行きを見つめるほかないのだった。
ここまで読んでくださった貴方に最大の感謝を。
竜胆家編、思ったより長くなりそうです。
まだ莉亜さんの両親すら出てきてませんもんね(汗)
前にもお伝えした通りしばらくは遅めの更新ペースで行きますが、お付き合いいただければ幸いです。
執筆中BGM さよなら(beco)




