似合いすぎじゃない??(2回目)
「浴衣••••••」
「あ、柚斗さん! どうでしたか温泉! すごい良くなかったですか!?」
「浴衣だ••••••」
「ですよね良かったですよね! 私もホントに癒され••••••ん?」
「浴衣すがた••••••」
「全然聞いてない!? どうしちゃったんですかー!」
莉亜さんに軽く肩を揺すられる。
「はっ? あ、莉亜さんやっぱり先に戻ってたんすね。 それで何の話でしたっけ? 浴衣の歴史とかでしたっけ?」
「ぜんぜん違いますよ!?」
「あ、そうだそうだ。 莉亜さんの浴衣姿が似合いすぎててヤバいって話でしたね」
いや〜 思い出せてよかったよかった。
「それも違••••••んぇ?」
聞いたことない声出たな!? んぇって聞こえたよ今。
「前に買い物したときも思いましたけど、莉亜さんて白が似合うっすよね〜」
ーー白を基調とした生地に藍色の花模様があしらわれた、大人っぽさを引き立てるそれ。
うん、 やっぱ似合うわ。 似合いすぎだわ。
「あ、ありがとう••••••ございます?」
「何で疑問形?」
「だ、だって......! そんな直球で褒められると思ってなかったから、 だからちょっと気になったんです! もう〜!!」
そう言って俺の肩をポカポカやってくる莉亜さん。
確かに、会ったばっかの頃の俺なら意識して口に出したりはしなかっただろーなあ••••••
「まあ、 もう短くない付き合いですし、褒めるとこは素直に褒めるっすよ? ホントのことなんで」
俺がそう言うと、 莉亜さんはますます顔を赤くしてこう返した。
「付き合いって、それじゃカップルじゃないですかっ!」
「そうきたか!?」
◇
「結構時間経ったと思ってたら、まだ夕飯まで1時間あるっすね」
「私すでにけっこうお腹減ってます〜」
「食べ歩きしたんすけどねー」
「旅行中だと消化も早くなるんじゃないですか〜?」
「あると思います」
現在時刻は17時30分。
我らが502号室にて、 2人してこの上なくダラダラモードである。
莉亜さんがこんなにぐでーってなってるの初めて見た。これが温泉地の魔力か••••••
ところで、莉亜さんは浴衣で俺は家から持ってきた私服というこの状況、いかがなもんだろうか? 雰囲気ぶち壊しじゃないだろうか?
せっかくだから俺も浴衣を着ておきたい。 いや着なきゃいけない気がしてきたぞ!!
「莉亜さん莉亜さん。 その浴衣ってどこで借りたんすか?」
「これですか? ロビーで借りられるって貼り紙を見たので、 お風呂出てすぐ借りてきました〜」
「りょーかいっす。 じゃーちょっと行ってきますね」
「行くって...... もしかして浴衣ですか!? 着るんですか!?」
「え、ええ。 莉亜さんの見て俺も着ようかなって思ったんすけど••••••」
「着てみてください! 是非!!」
いやものすごい勢いで元気になってんな!?
俺なんぞの浴衣がそんなに気になるとでも••••••?
「気になりますよ! だって柚斗さんが浴衣とか、絶対似合いますよ!?」
「今ナチュラルに心読んだっすね!? あと、莉亜さんもだいぶ素直に言うようになってるっすよ!」
着る前からこんなに期待されるとは••••••
目の前に浴衣似合いすぎの莉亜さんがいるので謎のプレッシャーがあるが、 今更借りないという選択肢はない。
「じゃ、借りに行ってきますね」
「はーい!」
もはやダラダラ感も完全に吹き飛んだ様子の莉亜さんを尻目に、ロビーへと足を運んだ。
◇
「ただいま〜」
「あ、おかえりなさい! どんなやつですか浴衣は!?」
部屋に戻って早々、莉亜さんが駆け寄ってくる。
「いや、これから着るんすよ! 」
浴衣は意外と綺麗に着るのが難しい。それは男ものであっても変わらない。
前に母さんに教わっといてよかった。
ありがとう母さん。内緒で温泉旅行してすまない••••••
「ていうか、莉亜さんは着付け方知ってたんすか?」
「知らなかったですよ? やっぱりスマホって便利だなーって思いました!」
「良い時代になったっすね」
「まったくです」
今のご時世スマホから得られない情報の方が少ないって言うしな•••••• 綺麗な着物の着付けかたも余裕で守備範囲内なわけだ。 スマホ恐るべし。
そんなことを考えながら、自分の着付けを完了させた。
「っと。 とりあえず着られました。 変に乱れてないっすよね?」
俺が着たのは 黒い色柄の浴衣。 シンプルイズベスト!
ロビーの人が渡してくれたやつだから特に選んだりはしてないけど、莉亜さんにはどう映った••••••?
「••••••イイ」
「あ、あの莉亜さん? 聞いてます••••••?」
「凄くいい••••••!!」
「全然聞いてない!? いや似合ってるってのは嬉しいっすけど!」
莉亜さんの目が何もない虚空を見つめてるぞ!?
今になってのぼせた?
「はっ! わたし今、 さっきの柚斗さんみたいになってた気がします••••••!!」
「俺あんな感じだったんすか!?」
どうしよう記憶がない••••••
◇
「さて。 そろそろ夕飯ですかね。 浴衣のままでも問題ないみたいなんで、このまま行きますか」
「そうしましょう!」
その後、2人して浴衣で旅館の夕食に舌鼓をうち(刺身の後にステーキというハードすぎるメニューだった)、 部屋に戻ったらロビーで借りてきたウノを寝落ち寸前までやった。 (ウノ初プレイの莉亜さんがどハマりした)
そんなこんなで気づいたら朝。 温泉旅行は2日目へ。
ここまで読んでくださったあなたに最大の感謝を。
活動報告にも書きましたが、今回の投稿(9/20)をもちまして、都合により2週間程度休載という形を取らせていただきます。
エタることは絶対にありませんので、温泉旅行2日目編、待っていていただければ幸いです。




