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疲れてても旅館に着くとテンション上がったりする

「すみません。 チェックインをお願いしたいのですが」


「チェックインですね。 お名前お伺いしてもよろしいでしょうか?」


「竜胆と申します」


「竜胆様ですね。 お待ちしておりました。 ではこちらに必要事項の記入を••••••」


ーーえ? 誰あれ。 莉亜さん? ホントに??



旅館に到着し、 未成年の俺ではチェックインの手続きに時間がかかるということで不安になりつつも莉亜さんに任せたところ、 別人のように冷えた口調、 淀みない動作で手続きを進める莉亜さんを見ることになった。


なんというか、アレだ。 すごいデキる女って感じになってんだが。


いや、そりゃ旅館のチェックインくらいで何いってんだと思うかもしれないけど、 失礼ながらもうちょっとあたふたすると思ってたんだよ••••••



「柚斗さん、 鍵受け取れましたよ〜!」


「 へ? あ〜...... 莉亜さん?」


「もうっ。 何言ってるんですか私に決まってるじゃないですか〜! ほら! チェックイン終わりましたよ?」



そう言って俺に部屋の鍵を渡してくれた莉亜さんは、いつも通りのニコニコ顔だった。


その顔に、 明らかに 「ほめてほめて!」 と書いてあるのが見える•••••• 見えるぞ••••••!!



3回目ともなると俺だって少しは慣れる。頭をわしゃっと撫でると、莉亜さんはまたうっとりした表情を見せた。


••••••ちくしょう! 可愛すぎない!?


自分でやっといて何だが、コレ見るとなんかよくないことをしてるような気分になってくる。 煩悩退散っつってんだろ!


そんな感じの内心の葛藤を、一切見せずに会話を切り出した俺を誰か褒めてくれ。



「あの莉亜さん、ひとつ聞いていいですかね?」


「? ええ。どうぞ?」


莉亜さんは首を傾げたが、 質問することを許してくれた。


「さっきのチェックインは、前世の記憶とか使ったんすか?」


「前世!!?」



「いやだって、 莉亜さん気づいてないかもしれないすけど、さっきまでの莉亜さん今と全然違ったっすよ? 別人と疑うレベルっす」


「ゆ、柚斗さんとか他の学生さんだって、家と学校でちょっと様子が違う時があると思いますっ! それとおんなじことです!」


な、なるほどそりゃ確かに俺も心当たりがある気がする••••

うーむ••••••



めちゃくちゃあっさり論破された気がするけど、 気のせいだと思うことにしよう。


「私だって、外でくらいちゃんとしますもん••••••」


ちょっと頬を膨らませて不服をアピールする莉亜さん。


「じゃあ、もしかしてひとり旅の経験とかあったんすか? やけに手慣れてましたけど」


「家族に教わったんです〜!」


「••••••な、なるほど」


そのときはもちろん声に出さなかったが、俺の内心はこうだ。


『竜胆家の皆さんはもっとほかに教えることあると思うよ!?』




「おお••••••!! いいじゃないっすか!」


「くつろげそうですね...!!」


莉亜さんが鍵を開け、 俺たちが泊まる『502号室』へと一歩足を踏み入れる。



そこは2人で使うにしてはかなり広い和室。 中央にはこじんまりとしたテーブルがあり饅頭が置かれていた。

暖色の光源や、 畳や障子なんかも最近は全く目にする機会がなかったがすごく落ち着く。


「柚斗さんここ! 外が見えるようになってますよ!」


「お、ほんとだ! いい景色じゃないすか」


そんな感じで広縁から外の景色を楽しんだり、 置いてあった饅頭を2人で食べたり。


思い思いにくつろいでいると、あっという間に時間が経ってしまいそうになる。 家ならともかく、 こんないい場所でダラダラして終わりなんてもったいないにもほどがあるよな。



「どうします莉亜さん。 夕飯まで少し時間あるっぽいっすよ?」


「それなら、 入るしかないでしょう••••••!! 」


「ええ。 入るしかないっすね••••••!!」



『いざ温泉へ!!」


俺たち2人の念願。 見事に声が重なる俺と莉亜さんだった。



「あ、 一緒に入ります? 」


「いや何言ってんの!?」


なに? やっぱ別人!?



「やっぱ湯船は良いわあ•••••• 最高••••••」



夕焼けを見ながらの露天風呂。 それがついに叶った•••••••!


湯船にゆっくり浸かれるのが温泉に入る時くらいってのがウチの哀しいとこだが、そのぶん温泉の充実感も増すというもの。 うん、 そう思うことにしよう。



「つくづく癒されるわ〜。莉亜さんもこの景色見てるかねえ••••••」



さっきの発言には超ビビらされたけど、莉亜さんにも温泉を楽しんでほしい。


そんなことを考えながら、旅行中初の温泉を満喫した。




「いや〜 いいお湯でしたっと」


まだ少し濡れたままの髪をドライヤーで乾かし備え付けの麦茶を一杯飲んだ後、 急いで着替えて部屋へと向かう。莉亜さんはもう戻ってるだろうか。


「お、開いてる」


やっぱり莉亜さんの方が早かったか。


「ただいま〜。 莉亜さん温泉どうでしたか〜って••••••

んん••••••??」


そこで俺が目にしたのはーー























ここまで読んでくださった貴方に最大の感謝を。

次回で温泉旅行1日目終了予定です。

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