打ち上げだ! 肉を焼くぞ!! ①
「ただいま!」
「柚斗さんお帰りなさい......!」
テストを終え、普段の五割増しのスピードで自転車を飛ばし帰宅した俺を、莉亜さんが不安そうな表情で出迎えてくれた。
「て、テストの結果は...どうでしたか....?」
莉亜さんの緊張と不安は最高潮に達しているだろう。
しかし、今の俺はそれを吹き飛ばせる!!
「14位• 無事条件クリアっす!!」
「あ... よ、良かったぁ••••••!」
その時の莉亜さんの表情には、今まで見たことのないほどの明るさと、安堵があった。
そして。
「柚斗さんのおかげです....! ありがとうございますぅ... ぐすっ」
「ちょ、ちょっと莉亜さん!?」
弱々しい声でお礼を言ってくれる莉亜さんの目には、涙が浮かんでいるように見えた。
「あ... す、すみません! でも私だって、結構不安だったんですよ......?」
「莉亜さん••••••」
(結構、なんてレベルじゃなかったんだろーな••••••)
実際、ここを出ても実家という帰る場所が確実にある俺とそうでない莉亜さんとでは、置かれている状況は同じなようでかなり違った。
(ホント、今回結果出せてよかったよ••••••)
改めてそう痛感し、 気持ちを切り替えて莉亜さんに再び声をかける。
どんな時でも、辛いこと•願張ったことの後には、楽しいことがあるべきだ。
「 心配かけてたのは謝るっす。 すみません」
「......はい」
「それで、そのお詫びになるかわかんないすけど、莉亜さんも一緒に打ち上げしません?」
◇
「打ち上げ......?」
「ええ」
そこでようやく、理解した!と言う表情をする莉亜さん。
「ああ! 確かにそろそろそんな季節ですよね!」
「でしょ? そろそろ打ち上げの季節ですし...... 季節?」
打ち上げの季節? 自分で言ってて意味がわからん。
「私、花火って見てばっかりでほとんどやったことないんですよ! 楽しみです......!」
「そっち!!?」
花火筒でブッ放したりするほう!?
「え? 違うんですか? 」
「違うに決まってるでしょうが!! どこの世界に勝手に花火打ち上げられる高校生がいるんすか!?」
もはやただの危険行為だろ。テロだよテロ。
久々に莉亜さんの破滅的なまでの世間知らずが発動したので、大人しく説明しておく。
「いいですか莉亜さん。 まずマッキーとか雅も含めて、俺の知り合いの中に花火職人はいません。 ここまではいいっすね?」
「は、はい」
「打ち上げってのは、 大きな行事だとか、苦労したこととか? がひと段落した時に、お疲れさんってことでご飯食べたりする集まりのことっす」
意外と言語化が難しかったけど、伝わっただろうか。
「なるほど... でもそれ、私参加していいんですか? 何もしてませんよ? 私」
「そこはそんな厳しいルールじゃないんでいいんすよ! それに、テスト期間は毎日ご飯作ってくれたじゃないすか」
「そんなことでいいんです•••••• ?」
「いいんですいいんです! さあ、今日の夜は肉焼きますよ!!」
「お、おお〜!!」
そんなわけで、俺(今月焼肉二回目)と 莉亜さん(焼肉店入店経験なし)は、マッキーと雅が待つ焼肉店へ向かった。
ここまで読んでくださったあなたに最大の感謝を。
まだ打ち上げ始まってすらいませんが、次回は楽しい焼肉回です。
ーーついに水着メルトさん宝具5を達成し、テンション上がりまくった作者がお届けしました。(fgo未プレイの皆様理解できないネタを出して申し訳ありません)




