7月•それはとある戦争の季節①
短めです。導入部分とお考えください。
7月。俺と莉亜さんが出会ったあの日から1ヶ月が経とうとしている。
正直言って、こんなに早く時間が経過していったのは初めてだと思う。本当にあっという間だ。
「柚斗さん、今日の煮物はどうでしょう? 前回のものを多少アレンジしてみたんですけど••••••」
「俺はこっちの方が好きっすね..! 薄味が好みなもんで。めっちゃ旨いっす」
「そうですかー! 良かった...!」
莉亜さんが作ってくれる晩ごはん。これにもすっかり慣れてしまった。今では何かしらの材料を切らしている時くらいしか、コンビニ飯に頼ることもなくなったほどだ。
というか正直、旨い飯に慣れてしまってコンビニのもので済ますのがちょっとつらくなっている••••••
「莉亜さん、また料理の腕上げたんじゃないすか? ほら、食べてみてください」
「はむ.. あ、ほんとだ、今日のは特に美味しいですね! 今回も我ながら感動です...!」
自分の作った、今まで食べた経験のない料理の美味しさに感動する莉亜さんと、 それを見つつ一気に食べ進める俺。それがウチの一か月の間変わらない夕食風景だった。
そこから会話が始まるのは、いつも二人して綺麗に完食したあと。
「そうだ莉亜さん。 明日からは少し帰りが遅くなると思うんで、そこだけ把握しといてくれると助かります」
「明日から何かご用事でも? 手伝えることなら私が...」
莉亜さんの申し出はありがたいが、今回はそういうわけにもいかないのだ。
「いや、今回は俺達学生の宿命•••••• テストという名の戦争の準備っす」
「せ、戦争•••••??」
聞いたところによると莉亜さんも、いわゆるお嬢様学校に通っていた経験があるらしい。 どんな学校なのか全く想像できないが、テストの経験はあるんじゃないだろうか。
その莉亜さんの頭の中には現在進行形でクエスチョンマークが踊っているようだが、俺にとってのテストは間違いなく闘い•戦争と呼べるものだった。
•期末テスト開始まで、あと15日
ここまで読んでくださった貴方に最大の感謝を。
次回から本格的に期末テスト編開始となります。 柚斗ら学生たちメインにはなりますが。莉亜さんもバッチリ登場予定です。
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